RESTAURANT

編集部のお気に入りのレストランをご紹介します

野菜の個性がみなぎる、独創的フレンチ 青山 「REVIVE KITCHEN THREE AOYAMA」

手数をかけてこそわかる、野菜の底力 「REVIVE KITCHEN THREE AOYAMA」井口和哉シェフ

肉や魚を使わず、野菜だけですべての料理を構成するレストラン「REVIVE KITCHEN THREE AOYAMA(リヴァイブ キッチン スリー  アオヤマ)」。朝・昼はブランチコースやカフェラテペアリング、夜は「restaurant RK(レストラン アールケー)」と店名を変え、フルコースやアルコールペアリングなどを提供します。ここで出合えるのは、フレンチの名店で研鑽を積んだ井口和哉(いぐち かずや)シェフが作る、趣向を凝らした野菜料理。「丹精込めて育てられた野菜は、さまざまな調理をしても本来の個性を残す」と、これまで培ってきたフレンチの技法を多用し、野菜だけとは思えないほどバラエティ豊かな品々で魅了します。

野菜は野菜らしく。それが野菜と生産者への最大のリスペクト

前編の「シェフの必需品」では、自分のルーツやオリジナリティを探るうちに、野菜にたどり着いたと語った井口シェフ。すべてを野菜だけで作る「REVIVE KITCHEN」の料理において、シェフが常に目指すのは、「肉と魚が使える環境だったとしても、野菜だけで完成していること」です。

近年、プラントベースフード(100%植物性原料の食品)の技術は大きく発達し、フェイクミートやヴィーガンフィッシュは格段に美味しくなりました。しかし、井口シェフがそれらを取り入れることもなければ、ヴィーガン料理で多用されるような、エリンギや豆腐を肉に模した技法などを用いることもありません。エリンギならエリンギが、豆腐なら豆腐自体が、最高に美味しくなるように調理をしてあげたいというのが、シェフの野菜との向き合い方。

「野菜には、その野菜が持つ個性があります。わざわざ肉や魚に似せる必要なんてないと思うんです。どんなに似ていたとしても、僕にとってはかつて『タテルヨシノ銀座』で感動した、本物の子羊の肉の香りや旨みの奥深さを超えることはないし、もっと美味しいものがあると知りながら提供することは、自分にもお客様にも嘘をつくことになってしまう。だったら、野菜がもっとも個性を発揮できる料理にして提供したい」

だからこそ、全9品のディナーコースでは特に、味や食感が単調にならないよう趣向を凝らします。お客様が「野菜ばかりを食べている」と思ってしまっては、井口シェフが目指す料理とかけ離れてしまうからです。発酵や乾燥などの技法を多用し、異なる切り方、火入れのものを織り交ぜるなどしながら、味やテクスチャーにメリハリをプラス。また、珍しい野菜との出合いや、普段見慣れている野菜の新たな一面を引き出すなどの“発見”を加えることで、心の満足感も届けられるように、いつも考えているそう。

食後には、「美味しかった」という幸福で満たされるのはもちろん、野菜しか使っていないと知って訪れているはずなのに、「そういえば、肉と魚が出ていないよね」と思ってしまうほど、奥行きのある野菜料理の数々が待っています。

苦みの重奏を味わう「Ome Farmのケールサラダ」

今回、井口シェフが用意してくれた料理は、もちろん、必需品である「青山ファーマーズマーケット」で仕入れた野菜を使った2品。一皿目は、スペシャリテである「Ome Farmのケールサラダ」です。ランチメニューとして一皿で満足できるように考えたというこのサラダには、主役であるケールを筆頭に、さまざまな野菜の個性と最後まで飽きずに食べるためのアイデアが詰まっています。

ケールの下に隠れたズッキーニとナスのソテーは、あえて大きさを揃えずにカット。小さなものは油を吸ってジューシーに、大きなものはコリッとした食感に。

サラダという言葉から、色鮮やかなみずみずしさを想像すると、まずその真っ黒な見た目に驚くでしょう。ほろ苦くスモーキーな香りの粉の正体は、焼きなすの皮のパウダー。ケール特有の苦みをより強調するために、この焼きなすの皮の他にも、カカオニブ、菊芋のチップス、ライムの皮、塩漬けの柚子などの苦みがある食材を重ねました。ケールは3種類をピスタチオオイルで揉み込み、ボウル一杯にたっぷりと。隙間をぬってスプーンを沈めていくと、下からは、まだ温かいズッキーニとナスのソテー、ツブツブとした食感のブロッコリーのローストとキヌア、さらに底には発酵マッシュルームのババロアが現れます。

「ボウルに盛る際、あえて混ぜずに層にしているので、食べ進めるごとに味わいや食感の変化を楽しんでもらえると嬉しいです」と、井口シェフ。時折、鼻に抜ける柚子の爽やかな香り、クリーミーなマッシュルームのババロアが、幾重にも重なった苦みをやさしく引き立てます。

カモミール/小松菜/いちじく

「カモミール/小松菜/いちじく」。ディナーコースの3皿目に箸休めとして挟む一品。

もう一品は、野菜の青みにスポットを当てた料理。ワンタンの皮で「Ome Farm」の小松菜と松の実を包み、カモミールを漬け込んだトマトウォーターのソースでラビオリ風に仕立てました。さっと湯がいたラディッシュと大根のサヤ、「Green basket japan」のハーブを添え、仕上げには、いちじくの葉のオイルをひとまわし。カモミールやハーブの華やかな香りの中から顔を出す、このオイルの風味の涼やかなこと。力強いいちじくの香りを残しながらも、青々しさが際立った味わいはまさに新感覚。つるりとした皮から弾け出す、ナッツと小松菜のコクあるフィリングとのコントラストも秀逸です。まるで水面に花が浮かんでいるような美しい盛り付けにも見惚れる、この時期らしい一品。

甘みだけでなく、苦みや青みも、野菜の大事な個性の一つです。シェフの手によって、皿の上で生き生きと個性を発揮する野菜たちに、ぜひ会いに行ってみてください。

REVIVE KITCHEN THREE AOYAMA/restaurant RKリヴァイブ キッチン スリー アオヤマ / レストラン アールケー

住所:
東京都港区北青山3-12-13
TEL:
03-6419-7513
アクセス:
東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線 表参道駅より徒歩5分
営業時間:
ランチ 月水木/11:00-15:30(15:00 L.O.) 金土日/11:00-17:00(16:00 L.O.)/ディナー 17:00-20:00(19:00 L.O.) ※東京都の自粛要請などにより、営業時間は変更することがあります。
定休日:
火曜日
支払い方法:
クレジットカード可(JCB、AMEX、VISA、MASTER、Diners)
URL:
https://www.threecosmetics.com/shop/revive-kitchen/aoyama/

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

更新: 2021年5月28日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

他のRESTAURANT記事を見る

おすすめ記事を見る


pagetop