RESTAURANT

編集部のお気に入りのレストランをご紹介します

編集部が訪れた美味しい名店『足跡レストラン』

わずか40gの小さなお菓子は、幸せへと導く“一粒の種” 南青山 「UN GRAIN」

一粒のお菓子に、大きなストーリーを載せて 「UN GRAIN」昆布智成シェフ

南青山のミニャルディーズ専門店「UN GRAIN(アン グラン)」。店名は「一粒の種」の意。ムースやクリームを使った生菓子から、サブレ、ガレットなどの焼き菓子まで、すべて一粒サイズに仕上げられた約40種類ものお菓子が、美しくショーケースに並びます。そこに込められているのは、昆布智成(こんぶ ともなり)シェフパティシエの故郷への想いや、生産者へのリスペクト、そしてお菓子を楽しみに来てくれるお客様への愛など、さまざまなストーリー。小さな一粒が誰かの手に渡った時、そこには甘くて大きな幸せの花が咲き誇ります。

難しいから、楽しい。パティシエの力量が試されるミニャルディーズ

ハケの代わりに絵筆を使うことも。「いろいろ試したけど、これが一番ちょうどいい」と昆布シェフ。

「お菓子作りにおけるどんな小さな工程一つにも、作り手の気持ちは写る。だから常に、『少しでも、より美味しいものを作ろう』という気持ちが大切」。前編の「シェフの必需品」でそう語った昆布シェフ。始めから終わりまでをすべて小さなサイズで構成していくミニャルディーズでは、より繊細で高度な技術が求められます。さらに、加えることができる要素や施せるデコレーションにも制限が。素材の力、食感や味の変化、奥行き、抑揚……、わずか直径5cm程度のケーキの中で、どれだけ自分の想いを載せ、バランスを整え、美味しく仕立てられるか。それがミニャルディーズの楽しさでもあり、難しさだと昆布シェフは語ります。

「大きく作っていたものを、ただ小さいサイズにすればいいというものではありません。コーティング一つをとっても、サイズが小さい分、それが占める割合は大きくなる。「UN GRAIN」のケーキは一つが40gくらいなのですが、その内の材料1g、焼き時間1分の差が、最終的なバランスを大きく左右してしまうんです」。フランス菓子でありながら、実に繊細な技術や細やかな配慮を必要とする昆布シェフのミニャルディーズは、まさに日本人の心を映し出したお菓子といえるでしょう。

「タルトフリュイ」は、シュクレのサクサク感とクレームダマンドのしっとり感が味わえるよう、生地の水分量を細かに計算。

ややしっかり目の味わいに仕上げるのも、昆布シェフのミニャルディーズならでは。少しの量でも、何を味わっているのかを感じられるようにするためです。味や香りのバランス、素材を大切にすることは大前提の上で、自分が心から美味しいと思えるかどうかが仕上がりの決め手。「たとえサイズは小さくても、自分の技術や経験、思い出、生産者への想い、お客様への愛情、そして僕の好きな美味しさのすべてを、一つ一つのお菓子で表現しています」。

故郷への思いを馳せて。「メガネ」という名の完熟梅のケーキ

今回シェフが用意してくれたのは、「この先もずっと使い続けるであろう、必需品」だという、故郷・福井県産の樹上完熟梅「黄金の梅」を使ったケーキ「リュネット」です。もともと、和菓子職人である父が完熟梅の大福を作っていたことから、自分も洋菓子で使いたいと構想を練っていたのだそう。

ピスタチオの生地にマスカルポーネチーズとメープルのクリーム、完熟梅のジュレを順に重ね、さらに完熟梅のムース、ジャムを載せます。そしてトップには、“メガネ”を象ったホワイトチョコレートの傘を添えて。まるで、まん丸い穴からじっとこちらを見つめているよう。さまざまな美しいケーキが並ぶショーケースの中でもひときわ 愛嬌があるケーキです 。それにしても、なぜメガネ……?

「『リュネット』はフランス語でメガネを意味します。福井県といえば、やっぱり鯖江市のメガネが有名でしょう? いちごや桃などと違い“梅のケーキ”と聞くとどうしても敬遠されがち。ユニークな見た目と発想を加えることで、楽しんで手に取ってもらえればと思って。たまに気づいてくれる方がいらっしゃると、めちゃくちゃ嬉しいですね(笑)」。遊び心を交えながら、募る故郷への思いとその魅力を小さなケーキで表現しました。

完熟梅特有の力強い酸味と爽やかな香りに、マスカルポーネとメープルのクリームのコク深い甘み、ナッツの香ばしさが合わさり、見た目のサイズ感を遥かに超えた奥行きのある味わいに。クリームやホワイトチョコのまろやかさが梅の存在感をより引き立てる、まさに梅が主役のケーキです。こっそりと隠れた梅の果肉や、ピスタチオとアーモンドの粒、ムース、ジュレの食感のコントラストも楽しい一品。

より美味しく楽しむなら、イートインで

「あれもこれも食べたい!」という、誰もが一度は夢見た願いを叶えてくれる、昆布シェフのミニャルディーズ。フレッシュフルーツのタルトにしようかな、ショコラのケーキもいいな、でも、ここにしかないユニークなお菓子も気になるな……。そうして迷いながらお菓子を選ぶ時間も、この店の楽しみの一つです。また、ぜひイートインでも味わってほしいと、昆布シェフはメッセージをくれました。「パティスリーで食べるケーキは格別です。たくさんのケーキに囲まれながら、このシックな空間で、ぜひ召し上がってほしいですね」。

選ぶ時から食べる時まで、たくさんの幸せを届けてくれるミニャルディーズ。目移りするほど色とりどりに並んだ小さなお菓子の中から、あなたはどれを選びますか?

UN GRAINアン グラン

住所:
東京都港区南青山6-8-17
プルミエビル1F
TEL:
03-5778-6161
アクセス:
東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線 表参道駅B1出口より徒歩10分
営業時間:
11:00〜19:00 ※東京都の自粛要請などにより、営業時間は変更することがあります。
定休日:
水曜
支払い方法:
クレジットカード可(JCB、AMEX、VISA、MASTER、Diners)
URL:
https://www.ungrain.tokyo/

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

更新: 2021年4月24日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

他のRESTAURANT記事を見る

おすすめ記事を見る


pagetop