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日々魚と向き合う 備前市食の大使をつとめるシェフが表現する瀬戸内海の恵み 【岡山県備前市・日生町】

瀬戸内の食の注目拠点、日生町!

備前日生大橋。この橋を渡って「頭島レストラン クチーナ テラダ」へ。途中、たくさんの牡蠣筏とツボ網漁やアマモの様子を見ることができる。

岡山駅からローカル線に乗り換え、瀬戸内の景色を見ながら赤穂方面に1時間ほど揺られると、日生(ひなせ)という小さな駅に到着する。日生は沿岸漁業を中心とした漁業の町。牡蠣の水揚げ量は、岡山県が広島県、宮城県に次ぐ全国3位を誇るという。日生産牡蠣を使用したお好み焼き「カキおこ」は、この町のソウルフードだ。古くから製塩や漁業で栄え、瀬戸内の風待ち、潮待ちの港として、多くの人が行き交ったという。江戸時代には、海路を行く参勤交代の諸大名の通船に水や薪を供給し、加古役(船を漕ぐもの)などの労役を課せられた港でもあった。

江戸時代から続くサステナブルな漁法 「ツボ網漁」

穏やかな瀬戸内海、橋の上から見る牡蠣筏は美しい光景の一つ。

日生漁港の規模は小さいが、牡蠣はもちろん、高級魚とされるサワラ、ヒラメ、スクモエビなど、水揚げされる魚はバリエーション豊富だ。小型定置網漁の一つで、明治初期に始まったというツボ網漁という漁法が、現在も続けられている。アマモ場に集まる魚の通り道に網をかけるこのやり方は、魚の生態を利用したサスティナブルな漁法。網の出入り口が開いたままなので、とり過ぎることがない。その日、自然に網に入った魚は、海からの贈り物だ。たとえ少量であっても、それをありがたくいただく。

日生や頭島では、このような光景に出合う。左側は、水揚げしたばかりの牡蠣。右側の連なるホタテの貝殻に、牡蠣の稚貝を仕込み、牡蠣棚に吊るす。

魚介類の産卵や小魚の餌場として欠かせないアマモは、「海のゆりかご」といわれるほど、海の環境にとって重要な役割を果たす植物だ。日生沿岸は水深が浅いこともあって、アマモが大量に自生する。海洋環境が悪化した一時期、壊滅的な状況になったが、危機感を覚えた日生町漁協が中心となってアマモ場再生プロジェクトを立ち上げた。献身的な活動の末、アマモは再生。現在は良質な魚場となったことで、豊富な種類の魚たちが戻ってきている。

一皿に瀬戸内の恩恵を心ゆくまで

もともとは郵便局だったという建屋をリノベーション。坂の上にある、ドラマティックなロケーション。

瀬戸内に浮かぶ小さな島々を、日生諸島と呼ぶ。その中の一つ頭島は本土と橋で結ばれていて、日生駅からはタクシーで15分もかからない。日生諸島の中心に位置する頭島(かしらじま)は、周囲約4㎞、人口が300人程度の小さな島だ。漁業と民宿が生業のこの島に、シェフの寺田真紀夫さんが本格的なイタリアンの「頭島レストラン クチーナ テラダ」を立ち上げたのは2016年9月のことだ。頭島の旧郵便局活用を模索していた備前市から、地元の食材を使ったレストランを運営してくれないかと打診があったと言う。小さな漁港の近くにある築70年のレトロな建屋。寺田さんは、地元の豊かな魚介類と、瀬戸内の島らしい風景が感じられる環境に魅せられたのだとか。

寺田真紀夫シェフ。備前食の大使も務める。

「私は、その土地ならではの食材を用い、その土地から自分が感じるインスピレーションで料理をつくっていきたいと思っています。私の料理を通じて、その土地の魅力を体験してもらう というのが私の料理のコンセプトです。その上で、私が料理をつくる際に心がけている事は、自分が感じた目の前の食材の個性を、「自分」というフィルターを通し、より輝かせることなのです」。新鮮な魚介類が豊富にあるこの土地ならではの体験をして欲しいという思いから、メニューは魚料理のみに絞り込んだ。前菜からメインまで、デザート以外は全て瀬戸内の魚という構成。「朝、目の前で様々な魚が水揚げされ、生きている新鮮な魚介類を使うことができる。どの漁師が獲って、市場に持ってきているのかも分かる。全てが見えるので、食材に対してのストレスが全くありません」。それは大胆なチャレンジだったが、今ではその特異性が唯一無二の存在になった。評判を聞きつけ全国から「頭島レストラン クチーナ テラダ」を目指し美食家が集まってくる。昨年10月には、ミシュランの1つ星を獲得した。「日々瀬戸内の食材と向き合っていますが、同じ魚種でもそれぞれ個性がある。海の豊かさ・懐の深さをいつも感じます。同時に、大切な海、大切な食材を守り、育み、きちんと次世代に繋げていかなければいけないといつも考えます」。そんな思いもあって、シェフという立ち位置から備前市の食の大使を務め、日生の海の恵みの豊かさを世界に向けて発信する。

今が、旬。 日生産牡蠣はリゾットで食すのがオススメ

牡蠣が旬の時期にお店で供される「牡蠣のリゾット」。あしらいにイタリア産カラスミを添えて。

寺田シェフのスペシャリテはリゾット。独自の調理法で、さらりと軽く仕立てる一皿には定評がある。「イタリア料理におけるプリモピアットはパスタが定番ですが、お米が美味しい岡山ならではのプリモピアットを追求するなかで、自分の料理の特徴を発揮できるリゾットが生まれました。素材が生き、軽く、瀬戸内の恵みや穏やかさを表現した料理です」。

2月にはヒラメ、スクモエビなど、旬を迎かえる魚介類も多いが、なかでも、日生産牡蠣は、1年で最も美味しいのがこの季節。1年ものながら日生産牡蠣は身が大きく、濃厚な甘みとプリッとした食感が特徴。もちろん、「頭島レストラン」でもリゾットや前菜の一品として提供される。ぜひ食べに行きたいところだが、「瀬戸内の海の滋味を凝縮した牡蠣は、ご自宅でも」と、日生町漁協が運営するお取り寄せサイトを紹介してくれた。ぜひ、取り寄せてみたい。

オープンキッチンになっている。食材の背景などを、より詳しく聞かせてもらえるから嬉しい。




日生産牡蠣のお取り寄せはこちらから。

日生お取り寄せ市場
https://hinasekaki.raku-uru.jp





頭島レストラン クチーナ テラダ

住所   : 岡山県備前市日生町日生2766-3
TEL   
:  0869-92-4257
アクセス : JR日生駅から車で10分
営業時間 : 12:00 から 夜:17:00 から
定休日  : 水曜日
支払い方法: カード可 (JCB、AMEX、Diners、VISA、Master)
URL       : https://www.okayamaterada.com/


※予約はWebサイトからのみ受付、一日昼夜1組のみ。




 

更新: 2021年2月23日

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