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“貧しい料理”も、今はご馳走! 代々木「オストゥ」| ハヤシコウの行かねば損する東京のイタリアン

日本人初のイタリア人! イタリア渡航歴25年。イタリアをライフワークに活躍するハヤシコウさん。自宅には醤油がない(つまり和食は食べない!)ほどイタリア料理好きなコウさんに、今行くべき東京のイタリアンを教えてもらいます。

ピエモンテの伝統料理専門店。代々木「オストゥ」

イタリアは地方によってそれぞれの伝統があり、料理にもその個性がよく表れる。伝統的ゆえに、現代的なアレンジが加えられた料理や、ほとんど口にすることのなくなった料理も多くある。今回は現地でも、なかなか口にすることのない伝統的なピエモンテ料理を求めて代々木公園『オストゥ』へ。

公園の緑が心地よい店内に入り、いつものごとく、まずはグラスでフランチャコルタ。ほんとうに暑い日だったので、フランチャコルタといっても今回は涼やかな味わいのものにした。一般的なフランチャコルタは平野で造くられるが、このフランチャコルタは、標高400メートルの高地で造られます。また、土壌も石灰岩盤なので、平野で造られるフランチャコルタに比べてミネラル感があり、どこか涼し気。お風呂上がりや、気持ちをリフレッシュしたい、なんて時に最適のフランチャコルタです。ランチタイムだったけど、せっかくだからと予めディナーメニューでお願いしました。

仔牛をツナソースで?「ヴィッテロ・トンナート」

前菜は個人的に大好きな「ヴィテッロ・トンナート」を。直訳すると「仔牛のツナソース」という不思議な名前の料理。北イタリア・ピエモンテ州の郷土料理として有名だけど、お店や家庭によって色々なバリエーションがあります。現代の家庭ではお手軽にマヨネーズを使うことが多いけれど、もともとはマヨネーズの発明前の料理なので、伝統的なソースには茹で卵の黄身を使います。お肉にツナソースというと重いイメージだけど、仔牛肉は軽やかで、ツナソースも酸味が爽やか。緑の葉っぱが描かれたお皿に鮮やかな赤い肉の花を咲かせた仕上がりは、外の暑さを忘れるほどに涼やか。

卵たっぷりのパスタにピエモンテのシャルドネを

続けてパスタはピエモンテの伝統的なパスタ「タヤリン」をサルシッチャのソースで。卵黄がたっぷり入った風味豊かなタヤリンに、バターが香るサルシッチャソース。一気に食べたい気持ちを抑えて、グラスでピエモンテのシャルドネをお願いする。どうしても赤ワインのイメージが強いピエモンテだけど、こういう安定感のある白ワインもあるのをお忘れなく。

料理の王さまのリゾット

パスタに続いてリゾットは、「ヴェルジェーゼ風リゾット」。20世紀に活躍したイタリア人料理人の名前のついた料理です。

材料は赤玉ねぎ、バルサミコビネガー、パルミジャーノとイタリアの熟成米。見た目は茶色く地味な一皿ですが、食べるとその豊かな味にびっくりする。さすがは「料理の王」と称えられたヴェルジェーゼ。このリゾットをいただくあたりでグラスの赤ワインも。いくつか選択肢があったけれど、ランチということもあり、やや軽い赤ワインの「ドルチェット ダルバ」を。

このドルチェットという葡萄品種はもともとフランス原産の品種で、11世紀頃にピエモンテに伝わりました。今もフランスと接する地域(ピエモンテ、ヴァッレ・ダオスタ、リグーリア)で栽培されています。ドルチェット(甘い)の名前のとおり、タンニンや酸味は弱く、果実味豊かでカジュアルに飲めるワインとして現地で親しまれてる。

“貧しい料理“、「フィナンツィエラ」とは?

メインディッシュは、いろんな内臓をビネガーで煮込んだピエモンテの伝統料理「フィナンツィエラ」を。鶏や豚、牛の内臓(この日は、砂肝、腎臓、胸腺、トサカ、豚の睾丸など)を使って煮込んだ、旨みはもちろん、いろんな食感も楽しめる料理。下のポレンタの素朴さが、内臓の個性的な味を一つの料理にまとめあげている。「フィナンツィエラ」のように内臓を使った料理、端肉を使った料理、豆を使った料理、パン粉を使った料理などを、イタリアでは「クチーナ・ポーヴェラ(貧しい料理)」と呼びます(パスタもクチーナ・ポーヴェラ)。 ”貧しい料理”という不名誉な呼び名ですが、シンプルで純粋な庶民由来の料理で、イタリアの食文化にとって最も重要なキーワードのひとつです。それこそ、地方料理、伝統料理のほとんどが、「クチーナ・ポーヴェラ」。この「フィナンツイエラ」のように、色々な種類の内臓を集めるのは難しいなど、現代では貧しいというより、むしろ贅沢に思える料理も多くあるから面白い。貧しさや豊かさの基準はその時代によって異なるけれど、美味しさというのはどんな時代でも同じかもしれない。伝統的な料理を食べることで昔の価値観を発見でき、伝統的な料理を食べることで、今の価値観を確認できる。そんな価値を持った料理を、僕は大事にしたい。

ハヤシコウ

ハヤシコウ

株式会社ミズコルビノデザイン 代表。多摩美術大学卒、都内イタリアン勤務の後、イタリアのマルケ州ウルビーノISAに留学。帰国後、都内ワインバー勤務の後、2005年ミズコルビノ・デザイン設立。25年にわたりイタリアと日本を往復する中で培ったイタリアへの造詣を生かし、東京のイタリアンを中心に国内外の店のロゴやマーク、内装デザイン、メニューの監修などを手掛ける。2018年、「サルメリア69」の新町賀信氏と共に一般社団法人おいしい生ハム普及協会設立。

Ostuオストゥ

住所:
渋谷区代々木5-67-6
TEL:
03-5454-8700
アクセス:
小田急線「代々木八幡」北口より 徒歩3分/ 東京メトロ千代田線「代々木公園」3番出口 徒歩1分
営業時間:
【木〜火】 18:00~23:00(L.O.21:00) 【金〜火】12:00~14:30(L.O.13:00) 18:00~21:00(L.O)
定休日:
水曜日
支払い方法:
各種カード可 (VISA、JCB、AMEX、Diners、Master) 電子マネー不可
URL:
http://www.ostu.jp/

更新: 2020年8月28日

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