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“素敵なカップル”でなく、“仲良しな家族”のアッビナメントを。代々木上原「イル・プレージョ」| ハヤシコウの行かねば損する東京のイタリアン

日本人初のイタリア人! イタリア渡航歴25年。イタリアをライフワークに活躍するハヤシコウさん。自宅には醤油がない(つまり和食は食べない!)ほどイタリア料理好きなコウさんに、今行くべき東京のイタリアンを教えてもらいます。

七夕の夜のアッビナメント。代々木上原「イル・プレージョ」

料理とワインのペアリングのことを、イタリアでは「アッビナメント(組み合わせ)」と呼びます。フランスでの呼び名「マリアージュ(結婚)」に比べて、アッビナメントの方が包容力に富んでいるし、いろんな面白さをも表現できるので、言葉としても好き。そんなアッビナメントの楽しみを求めて、代々木上原「イル・プレージョ」へ。伺った夜は図らずも7月7日の七夕。一年に一度、乙姫と彦星が逢瀬を楽しむ日にアッビナメントを感じる食事なんて、ちょっとロマンチックでしょ。

尖った料理を包み込むピエモンテの白ワイン

着席して、フランチャコルタを飲みつつ、メニューを読む。「馬肉、パッションフルーツ…」 「シジミ、黄ニラ、鬼胡桃…」。なかなか不思議な単語の並んだメニューで興味深い。

アミューズの後、前菜一品目は 「アスパラガスと馬肉・タレッジョ・パッションフルーツ」を。それぞれの味わい、それぞれの食材の組み合わせを意識して、いつもよりも3倍ほどの時間をかけて食べてみる。アスパラガスは焼き目が付いているけど、フレッシュなハーブを口にしているかのよう。そこに馬肉のねっとりとした舌触りの赤身肉。アスパラガスのソースとタレッジョチーズのソースが香りと旨みを2つも3つも底上げし、極めつけは、プチッとしたアクセントと共に柔らかい酸味のパッションフルーツ……要素がありすぎてちょっと戸惑っているところで、ペアリングのワインを飲んでみる。こういう難解な料理もペアリングで出されたワインと一緒にいただくと、スーっと腑に落ちたりするから不思議。合わせたワインは、ピエモンテのアルネイズ100%の白ワイン。ふわりと穏やかな酸が特徴的な品種で、それがアスパラガスのハーブのニュアンス、パッションフルーツの優しい酸味を大きくまとめ上げてくれる。とても控えめなワインだけど、こうしたやや尖った料理と一緒にいただくと、 おおらかで包容力のあるワインだったんだなと、あらためて気付かされる。ピエモンテは、バローロやバルバレスコなどの押しの強い赤ワインが目立っているけれど、控えめな白ワインもある。

「クレソンの焼きリゾット・天龍鮎」に王道のアッビナメントなワインは?

前菜の二品目は、「車海老のフリット・ビエトラ・焙煎葱」。合わせるワインはマルケのヴェルディッキオ100%の白ワイン。このブドウ品種は、ミネラル感があり、余韻も長く、魚介類や軽めの肉料理との相性が良い。こういう海老料理とは間違いなしのアッビナメント。ソースだけでなく、衣に仕込まれた葱の香ばしさもまた良い。さらに、カボチャを使った前菜とパスタの後に、この日一番のアッビナメントでもあった「クレソンの焼きリゾット・天龍鮎」とピエモンテ州のルケ100%の赤ワインを。

魚料理には白ワインというのが一般的に知られた組み合わせだけど、鮎のように内臓も一緒にいただく魚には赤ワインがとても相性が良い。このルケというブドウは、バラやスミレの香りを感じる。フルーティーというよりフローラルなワインで、ワインだけで飲むのは少し抵抗があるんだけれど、料理と一緒に味わうと急に親しみが湧いてくるから不思議。今回も、鮎の内臓の繊細だけど複雑な味わいを華やかな香りで上手に引き立てていて、王道のアッビナメントでした。

この夜に感じた料理とワインのアッビナメントは、単純に「料理」×「ワイン」ではなく、「食材」×「食材」×「ワイン」や、「食材」+「食材」×「ワイン」+「食材」といった面白さを感じるものだった。意外性のある食材の組み合わせも、少し引いた視点や違う角度で見ることでまとまりを感じることもある。“素敵なカップル”だけでなく、“仲良しな家族”といったアッビナメントもあるよね。美味しさは当然として 発見や挑戦を感じることはとても楽しい。

ハヤシコウ

ハヤシコウ

株式会社ミズコルビノデザイン 代表。多摩美術大学卒、都内イタリアン勤務の後、イタリアのマルケ州ウルビーノISAに留学。帰国後、都内ワインバー勤務の後、2005年ミズコルビノ・デザイン設立。25年にわたりイタリアと日本を往復する中で培ったイタリアへの造詣を生かし、東京のイタリアンを中心に国内外の店のロゴやマーク、内装デザイン、メニューの監修などを手掛ける。2018年、「サルメリア69」の新町賀信氏と共に一般社団法人おいしい生ハム普及協会設立。

イル・プレージョイル・プレージョ

住所:
東京都渋谷区上原1-17-7 フレニティハウス2F
TEL:
03-6407-1271
アクセス:
小田急線/千代田線 「代々木上原」駅 東口より徒歩5分
営業時間:
ランチ 11:30〜13:00(L.O.)月曜および土日祝営業、 ディナー 18:00〜20:30(L.O.)
定休日:
水曜日、第一木曜日
支払い方法:
各種クレジットカード可(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners)
URL:
http://ilpregio.jp/

更新: 2020年7月28日

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