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RESTAURANT

編集部のお気に入りのレストランをご紹介します

古いマンションの10階で週に1度だけ扉を開く、小さな喫茶室「Jiccai」(ジッカイ)|RINの「行かねば損する東京のカフェ」

自称「スコーンの人」。作り手によって千差万別の“個性のカタマリ”、スコーンに魅了され、十数年
にわたりカフェを訪ねてはお菓子やお店に表れる店主の「好き」を楽しんでいる、カフェブロガ
ーRINさんが、「みんな違ってみんないい。 だからカフェって楽しい!」と思わせてくれる、個性豊
かな東京のカフェや喫茶店をお伝えします。

個人で営むカフェは、店主の分身のように思えます。内装、メニュー、器、BGM……。すべてにその人の好みや個性が表れているから。西東京市の古いマンションの一室にも、そんな店主の「好き」がぎゅっと詰まった、唯一無二の1軒があります。

玄関の扉を開けた先は、別世界

最寄り駅は西武新宿線の田無駅。都心で働く人や近隣の大学に通う学生たちの住宅地として賑わうこの街に、毎週木曜日だけオープンする小さな喫茶室が「Jiccai(じっかい)」です。築30年以上にもなる古いマンションの“10階”の一室にあることから、その名がつけられました。

店主の海老澤晴子(えびさわ はるこ)さんが「自分の好きなものだけを集めた」という“室内”は、デザインから施工までを自身で手がけたというセルフリノベーション。白壁を基調に、ヴィンテージ家具やインドのアンティークテーブル、全国各地の作家による器やアクセサリーなどの作品で埋め尽くされ、ため息が漏れるほど美しく、それでいて温もりのある世界が広がります。

この空間に足を踏み入れることができるのが週1日だけだなんて、本当にもったいないくらい。でもそれには理由が。実は「Jiccai」にはもう一つの顔があり、営業日以外は「chitosaji(ちとさじ)」の屋号で、友人が営む飲食店で販売するお菓子やギフト用のお菓子の製造を行っているのです。諸般の状況に配慮して2020年7月現在は喫茶室の営業はお休みしていますが、この場所で週に一度、焼き菓子の販売を続けています。

素材への愛とユーモアあふれるケーキ

わたしが「Jiccai」に惹かれる大きな理由は、細部にまで海老澤さんの「好き」が詰まったこの部屋と同じように、彼女の作るお菓子一つ一つから、丁寧な仕事と素材への愛情が感じられるから。そして何より、彼女の洗練されたセンスと、飾らないユーモアとアイデアがあふれているお菓子だからです。特にそのネーミングセンスは秀逸!

「バーコードプリン」は、昔ながらの固めのタイプ。

たとえば、ビターとホワイトの2種のベルギー産チョコレートを使ったスコーンには、黒と白から「パンダスコーン」という名前が。カフェで人気の「バーコードプリン」の由来は、「初めて作った時にすぐ近くに波型のナイフしかなくて、それでカットしてみたら溝にカラメルソースが流れ込んでバーコードみたいだなと思って」というから、思わずくすりと笑ってしまいます。どのお菓子にも、常に自然体の海老澤さんの人柄が表れている気がするのです。

地元の「やすだ農園」の野菜をおやつに

ズッキーニとパンプキンの中間といわれるイタリア伝統野菜、トロンボンチーノを使った「ベジケーキ」。

「Jiccai」のケーキには、すぐ近所で農業を営む「やすだ農園」が栽培している野菜を使ったものもたくさん。中でもオープン当初からの看板メニュー「ベジケーキ」は、イタリア伝統野菜のトロンボンチーノと米油で作る「Jiccai」オリジナルのケーキです。すりおろしと細切りのトロンボンチーノに4種のオーガニックレーズン、くるみ、たっぷりのスパイスを混ぜ込んで焼き上げます。ふわふわと軽く繊細な口当たりのケーキの間から顔を出す、濃厚なレーズンや香ばしいくるみの力強さといったら。コーヒーはもちろん、赤ワインとも合わせたい上品な一品。

とある日のカフェメニューの「全粒粉のスコーン」。セミドライのりんごも自家製。

しょっぱいお菓子も少しずつ増えています。草むらをイメージして、いんげんや玉ねぎなどのたっぷりの野菜を入れて焼き込んだケークサレは、「グラスホッパー(=英:バッタ)」という名で登場。屋台グルメの定番じゃがバターも、海老澤さんの手にかかれば「ジャガバタケーキ」「ジャガバタスコーン」と、見事、おやつに大変身! こちらは白が合いそうですね。

うっとりするほど美しい空間とユーモアあふれるやさしいケーキで、肩の力を抜いてくれる「Jiccai」。ピンと気を張った状態が続く今、いつも以上に恋しくなる存在です。もし木曜日にふと時間ができたら、ぜひ西東京のマンションの10階を訪ねてみてください。

RIN

RIN

スコーンの人/カフェライター/カフェブロガー。学生時代からカフェを巡り始めて十余年。 つくり手によって千差万別に表現されるスコーンに魅了され、 スコーンを通して店主の「好き」や個性を探る。ウェブを中心にオールジャンルのカフェライターとしても活動。
自主制作エッセイ「粉のカタマリ。」「粉のカタマリ。ツゥ」を手がけるほか、カフェとコラボレーションしイベントなども行う。(インスタグラム @rin_125 )

Jiccaiジッカイ

住所:
東京都西東京市田無町3-3-7-1001
TEL:
非公開
アクセス:
西武新宿線田無駅より徒歩7分
営業時間:
11:30〜17:00
定休日:
金〜翌水曜
支払い方法:
現金のみ
URL:
https://www.instagram.com/chitosaji/

更新: 2020年7月20日

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