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人形町に、パリがある!「EN FACE」(アンファス) | 山脇りこの「行かねば損する東京のビストロ」

ビストロってなんだろ? フランスで言うところの、気楽に食べて飲める、日常づかいのお店。語源はパリにいたロシア人が「ビストロ(早く!)」と言って、料理を急がせたからという説も……。肩ひじ張らずに、食べて飲んで、幸せになる、そんな東京のビストロを、ヴァンナチュール好きの料理家、山脇りこさんがご紹介します。

人形町に、パリがある!「アンファス」

旅に出たい。世界中で多くの人がそう願っているのではないか?
私もその一人だ。
そこで、パリへ行ってきた。うぬぬ?

アンファスのシャルキュトリの盛り合わせ、2人分だ。

星をとっているかとかそんなことはおかまいなく、パリの人に、特に近所の人たちに愛されていて、毎晩、ぎゅうぎゅうに賑わう街角のビストロ。店主とむぎゅっとハグして挨拶だけして帰る人あり、白を1杯飲んでいく人あり、隣の席と蜜蜜で、がっつりと食べ、飲み、おしゃべりが止まらない人々あり。旅人は劇場にいるみたいに、パリに来たよ! と興奮する。

「アンファス」の一皿目「シャルキュトリの盛り合わせ」が運ばれてきたとたんに、そんなシーンが喧騒まで一緒に浮かんできた。

手加減ナシの本気のシャルキュトリというだけでなく、このボリュームが、ザ・パリなんだと思う。

ぜひ、横からの写真も見てほしい。

本気のシャルキュトリが惜しみなく。

このレバぺの、アルプスの頂のような高さを見よ!

並ぶのは、リエット、レバーペースト、パテドカンパーニュ、ブーダンノワールだ。リエットはふわっとしながらも豚のよき繊維を感じる逸品。レバーペーストは大ヒット!香りとほのかな甘みが品よく止まらなくなる、ええ、この量でも止まらなくてよ。鼻血が出そうな快感をぜひ。

パテドカンパーニュは肉感がしっかりあるタイプで、丁寧な作り方を感じて嬉しくなる。出色は、ブーダンノワール。ブーダンは、豚の血と脂によるフランスの腸詰だけど、こちらではそれをテリーヌ型に。開いたブーダンノワールとでも言おうか。これが豚の様々な部位も感じる作りで、新鮮だった。普段は苦手という人も、きっと好きになると思う。

メニューは黒板に。

メニューは手書きで黒板。迷いすぎて決められない、魅惑のラインナップだ。これぞビストロ、な定番は必ずある。キャロットラぺとかね、じゃが芋のフリットとかね、もうビストロの教科書のような美しさ、バランスです。

ワインはシェフにお願いもできるが、自分で見てピックップしてもいいシステム。いろいろ頼んで、ワインをカプカプと飲み、好きな仲間とひたすらおしゃべり。
今は、こんなご時世なので、席を詰めての予約は取っていないそうだが、ワイワイガヤガヤが似合う店だ。

「アンファス」があるのはどこ?

自然派を中心に。エチケットで選ぶのもいい。

で、この店、「アンファス」は、パリではなく人形町にある。駅からすぐながら、下町の風情の残る住宅街にぽつんと灯を見つけたら、そこだ。大きな一枚ガラスの向こうに、前の普通のお宅をみながら、ここに住んでいたら、毎日軽く1杯しに来ちゃうな、と思う。帰宅前に、いや、湯上りもいいかも、なんてね。

白アスパラに惜しげもなくミモレットが。

パリを感じるのはシャルキュトリだけではない。こちらは、旬の太めちゃんのホワイトアスパラにミモレットが惜しみなく降りそそがれたサラダ。シェフが仕上げに雪のようにミモレットを……え、そんなにいいの? である。見た目は武骨ながら、味はバランスよく、酸味もほどよい。

堂々たるカイノミ。

カイノミのステーキも、見よ、このボリューム。存在感がすごい。カイノミは、中バラの一部で、赤身と脂のバランスがよく、好きな人も多い。じっくり丁寧に鉄のフライパンで焼かれ、最後はオーブンで仕上げられた肉は、特に赤身を強く感じる好みのタイプだった。赤だね。

ビストロ一筋のシェフ

それにしても、東京の下町でなんでこんなに、パリにいるような気分になるんだろう。秘密は料理だけじゃなく、シェフにもあった。気さくに話してくれる、笑顔が印象的なオーナーシェフの亀山知彦さんは、ずっとビストロ一筋。フランスにいた5年のほとんどはパリのビストロで働いた。そして、容赦なく(笑)、食材も量もパリの昔ながらのビストロのまんまの料理を出してくれるのだ。

料理するシェフがほぼすべての席から見られる。

店名のEN FACEは、仏語で「前に」。店を開けるならカウンターをと思っていた亀山シェフ。いつもお客さんと正面で向き合う、という意味を込めたそう。位置だけでなく、気持ちも、なのだと思う。

ピカピカに磨き上げられたキッチン、見事な鍋、全部が見えるカウンター。真っ正直な料理ができていくプロセスごと楽しみたい。
そうそう、大事なこと。食いしん坊、健啖家の家族や友達を選抜して、お腹を空かしていくべし!

山脇りこ

山脇りこ

料理家。東京・代官山で料理教室「リコズキッチン」を主宰。雑誌、テレビ、ラジオなどでも活躍中。「グルマン世界料理本大賞2014」で「昆布レシピ95」がグランプリ受賞。「明日から、料理上手」(小学館)、「いとしの自家製」(ぴあ)など著書多数。旅好きで、美味しいものがあると聞けば、どんなに遠くてもでかけていく、食いしん坊。http://rikoskitchen.com/

EN FACEアンファス

予約はインスタからのメッセージがおすすめ。お店はシェフ一人で切り盛りしているので、レスポンスに少し時間がかかってもお待ちを。

住所:
東京都中央区日本橋人形町2-11-9
TEL:
非公開
アクセス:
東京メトロ日比谷線人形町駅・半蔵門線 水天宮前駅から徒歩2分 
営業時間:
18:00~24:00 (L.O 23:00)
定休日:
不定休
URL:
https://www.instagram.com/en_face_ningyocho_/

更新: 2020年7月14日

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