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編集部が訪れた美味しい名店『足跡レストラン』

奥ゆかしさに惹き込まれるフレンチ 銀座「ESqUISSE」

日本のエッセンスを取り入れた、紛れもないフレンチ 「ESqUISSE」シェフ、リオネル・ベカ氏

2013年以来、「ミシュランガイド東京」で二つ星を獲得し続ける銀座のフレンチレストラン「ESqUISSE(エスキス)」。エグゼクティブシェフ、リオネル・ベカ氏がつくる料理は、伝統的なフランス料理の技術に根ざしながら、漬物や味噌、酒粕などの日本の食材や技法を取り入れた、先進的で優しいフレンチです。しかし特別に日本を意識しているわけではなく、「この国で暮らす中で、日々触れる文化が自分に取り込まれていくのは自然なこと」とリオネルシェフは語ります。日本文化に限らず芸術作品や建築物など、リオネルシェフが触れるすべてのものは彼の中を通って消化され、確かなフレンチとして表現されるのです。

まるで始めからそうあったかのような“自然さ”がある料理

前編の「シェフの必需品」では、その並外れた感受性で、「日常のあらゆるものからインスピレーションを受け、次々と自分の中にインプットしていく」と語ってくれたリオネルシェフ。しかし、彼の手からアウトプットされる料理は、けっして複雑怪奇なものではありません。ひと目見れば、どんな食材が使われているのかは明確。付け合わせやソースも、意外性や違和感を伴わない“自然な”ものです。ただし、一つ一つのパーツは確かな理論に基づいて細かく組み立てられ、丹精込めて調理されたものばかり。リオネルシェフはそれを「折り紙みたいなもの」と表現しました。

「折り紙は、複雑で細かくて、何度も試行錯誤をして考え抜かれた折り方で正確に作らなければ、思いどおりの形にはなりません。ですが、折り上がった作品を見ると、まるで始めからその姿だったかと思うほど自然なのです。私の料理もそんな姿を目指しています」。驚きや疑問から入るのではなく、調和が取れ、すんなりと受け入れることができる説明がいらない世界観が理想だと言います。「料理人が料理の詳細やそのバックボーンを解説することは、無意味だと思っています。召し上がる方がそれぞれの想いを投影して、自由に感じてほしい。料理は激しい熱量をもってつくられますが、完成した瞬間に、料理人のものではなく召し上がる方のものに変わるのです」。

コースの魚料理は、マナガツオとカモミールと共に、人参をめぐる一皿

ランチコースは10,000円〜、ディナーコースは20,000円〜。すべてグラスシャンパンとミネラルウォーター込み。

今回は、コースの魚料理と肉料理をいただきました。魚料理は、人参を巡る一皿です。さまざまな姿かたちをした人参に、自家製の杏干しや菊の花びらを添え、ほのかにカモミールの香りをまとわせたマナガツオのポワレと盛り合わせました。皿からはオレンジオイルのソースの爽やかな香りが。人参とオレンジ、マナガツオとカモミールという調和の取れた組み合わせで、見事なまでに美しい世界観をつくり出しています。

人参は3種類。グラッセにしたミニキャロット、なめらかに仕立てたピュレ、そしてリボン状の人参は、必需品のひとつ、糠漬け用の甕で約5ヶ月間発酵させたものです。能登の「高農園」のオーガニックの人参を、温泉水と海塩、レモンチェッロなどを合わせたオリジナルの液で発酵させています。ピクルスや漬け物とはまた異なる、南仏を思わせる爽やかな酸味と香り。低温でじっくり火入れをした後、丁寧にポワレしたマナガツオは実に軽やかで繊細な口当たりに。かすかに香るやわらかなカモミールが奥ゆかしさを感じさせる一皿です。

ロックフォールを混ぜ込んだ醤油粕に漬けた鴨

肉料理は、「ミツル醤油醸造元」の醤油粕を使った鴨のローストを。そのままでは味が強すぎるため、オリーブオイル、タイム、ローズマリー、荒く砕いた黒こしょうとロックフォール(青カビ)を加えて予め2、3日馴染ませた醤油粕に、フレッシュな鴨肉をさらに2日間漬け込みます。塩分と甘みによって鴨から余分な水分が抜け、そこに入り込んだ醤油やハーブの香り、ロックフォールの自然に朽ちてゆく感覚が味の骨格となります。表面を軽く焼き上げカットすると、美しく赤く輝く断面が。口にした瞬間、まるで長期熟成させたような力強い旨みが押し寄せます。「店の厨房では熟成肉を仕込むことができませんが、どうしてもこの味を出したくて。醤油粕を使ったのは、“日本の食材を使うため”ではなく、熟成肉を思わせる凝縮した旨みと軟らかな肉質を表現したいと考えた時、自分がこれまで得てきたインプットの中から醤油粕でマリネするという製法に至っただけです」。ロックフォールと共にマリネすることで深みを増した鴨は、ただの熟成肉よりも鴨らしい力強い存在感を放ちます。鴨と相性が良い、ごぼう、カシス、小豆など、上品な旨みと野生味を持ち合わせた森の食材を添えて。

ランチから本格的なフレンチのフルコースをリーズナブルに

「ESqUISSE」では、ランチでも夜と同じ内容のものを含め、計3種類のコースを提供。よりリーズナブルに本格的なフレンチを楽しむことができます。また、すべてのコースにはグラスシャンパン1杯と炭酸のミネラルウォーターがサービスされます。「ランチでも乾杯はアルコールを楽しみたい」という方にも嬉しいもてなしです。

大地の力強さを感じさせる空間

個室は最大12名まで利用可。

2019年2月にフルリニューアルした「ESqUISSE」は、オープン当初からのピュアな印象を残しつつも、伝統的な左官技術を取り入れることで、より大地の力強さを感じさせるシックな空間に一新されました。昼は大きな窓からの太陽の光、夜はライティングが時の移ろいと共にゆっくりと変化し、寛ぎの時間を演出します。7月からは日曜日のディナーも楽しめるようになりました。大・小と2つの個室を備え、特別なシーンにも対応。白で統一されたテーブルクロスやプレートが一つ一つの料理を際立たせ、鮮明な記憶となって心に留まることでしょう。

一見シンプルかつ自然でありながら、口にした人だけが感じることができる奥ゆかしさを持つリオネルシェフの料理。食を好む人だけでなく、アートや建築、歴史を愛する人にも五感を総動員して召し上がっていただきたいフレンチです。

*価格はすべて税別です。

ESqUISSEエスキス

ESqUISSE

住所:
東京都中央区銀座5-4-6
ロイヤルクリスタル銀座 9F
TEL:
03-5537-5580
アクセス:
東京メトロ銀座線、丸ノ内線、日比谷線銀座駅「B6 出口」より徒歩1分
営業時間:
ランチ 12:00〜13:00(L.O.)/ディナー 18:00〜20:30(L.O.)
定休日:
不定休
支払い方法:
クレジットカード可(JCB、AMEX、VISA、MASTER、 Diners)
URL:
https://www.esquissetokyo.com/

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

更新: 2020年7月24日

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