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編集部のお気に入りのレストランをご紹介します

ハレの日の料理を全細胞で楽しもう! 外苑前「慈華(いつか)」|サトタカの「行かねば損する東京の中華料理店」

中国料理に魅せられて、国内はもとより中国にも足繁く通って取材する中国料理探訪家・サトタカさん。“中国を食べ尽くす”プロに、今行くべき東京の中華料理店を教えてもらいます。

心を晴れやかにしてくれるのは、やっぱりレストラン!

6月になり、そろりそろりと外食を始めた方も多いと思う。きっと多くの方が感じているはず。久しぶりのレストランの、なんと染みることか。

好きな人と、心地よく整えられた空間で、誰かが自分のために作ってくれた料理を味わう。これこそ“ハレトケ”の“ハレ”。テイクアウトやお取り寄せでは、この気持ちは到底味わえないと強く思う。やっぱりレストランはレストランなのだ。

2019年冬にリ・オープンした外苑前「慈華(いつか)」

私にとって、そんな“ハレ”を存分に堪能させてくれる中国料理店のひとつが、外苑前の「慈華(いつか)」だ。

実はこちらの店、店名は異なるが、連載1回目で紹介した「麻布長江 香福筵」の田村亮介オーナーシェフの店である。以前の店はビルの建て替えにつき移転。2019年の冬に、店名も変えて、リ・オープンした。

以前と異なるのは、内装がぐっとシック&モダンになり、皿の上に広がる世界とも一体感を感じるようになったことと、ワインに詳しい支配人がいること。

なにより、シェフがイチから自分で創り上げた店だ。ここには夢がある。ひとつひとつ集めてきた器も、誇らしい顔に見える。

アイデアとメリハリに夢中!コースは二時間半の料理の旅。

そして、以前から同じことを言っているが、こちらの料理はともかく楽しい。言い換えるならば、引き出しが多い。そのことを実感するのは、コース料理だ。

これまで田村シェフにはいろんなテーマで宴会をお願いした。たとえば、四川省から持ち帰った新物の花椒(ファージャオ)と和歌山のぶどう山椒で《日中花椒・怒涛の食べ比べ》。春巻好きこと“ハルマキスト”が集い、前菜からデザートまで春巻縛りの《春巻全席》。そして。中国からの来客をお連れしての《冬の穴熊宴会》。

自分でも、よくもまあこんなにいろいろリクエストしたものだと思うが、そのたびにシェフの発想と引き出しの多さには驚嘆した。

咸蛋白芦笋双海(北寄貝、蛍烏賊、ホワイトアスパラの塩漬けアヒルの卵ソース炒め)。炒めものがおいしいのは、中華では大事な要素

ストレートな中国料理が剛速球で来たかと思えば、皆があっと驚くフェイントも。春巻きのコースをお願いしたときは、「シガール」のような “デザート春巻”の中に、生クリームとベリーのソースが、まるでタバコの火のように仕込まれていたのには驚いたなあ。こんな発見がコースの端々にあったら、そりゃあ会話も弾むというもの。

葉巻をイメージした “デザート春巻”。皿の上には、灰のようにカカオ風味のクラムが。食べ進めると、中にラズベリーの実とソースがでてきます。(以前のお店での提供)

どのコースにも共通するのは、最後まで夢中にさせてくれるアイデアとメリハリ。それはまるで、2時間半の食の旅だ。

酸辣瓢雪鲜虾(野山椒、ほうれん草と卵白でつくる翡翠珠、芥子菜の自家製泡菜ソースの車海老)。翡翠珠や酸味の決め方に田村さんの個性が。海老の下にはふんわりとすり下ろした山芋。

今の料理からは想像もつかないかもしれないが、「中国料理を追求する中で、一時は本気で中国人になり切ろうと思い、池袋に住んでいました」というくらい、田村シェフは深く中国文化にハマり込んだ時代がある。

私は、このエピソードがすごく好きだ。なぜなら、この“現地没入時代” があるかないかは、その後の中国料理の捉え方、考え方に影響を与えると思っているからだ。距離的にも近くて身近とはいえ、中国料理はれっきとした外国の料理。田村シェフの料理に、創作をしていても芯の太さを感じるのは、そんな経験があるからかもしれない。

豉辣烤鹿肉(蝦夷鹿と王様椎茸のロースト 豆豉風味)。素材の風味と食感を引き立たせるローストに、豆の発酵調味料・豆豉(トウチ)の香り。

繊細さと大胆さを併せ持つ、夢中にさせるコース料理

現在はコースのみの営業で、ランチが6,000円~、ディナーが15,000円~。昼も夜も繊細で美しい料理から始まるが、真骨頂はコースの山場で出るダイナミックな料理。たとえばこんな料理がでてきたら「ええっ、なんですか?」って思うでしょう?

こちらは香料盐焗鸡腿(大山鶏モモ肉のスパイス塩釜)。粗めの岩塩で作った香りのよい塩釜に、ぶりんとハリのある鶏のもも肉がむぎゅっ。輪切りにするとおこわが詰まっており、鶏に相性抜群の生姜だれと、五味すべてが入ると言われる怪味だれでいただくという一品だ。

個人的には、肉でもふかひれでも、食材を塊のまま豪快に調理した料理にこそ田村シェフのダイナミクスが感じられると思うので、できることなら6人くらいで行くのをおすすめしたい。ここで体験するのは家庭料理とまったく違う、レストランの料理。“ハレの日始め”にもテンションが上がること請け合いだ。

「慈華」内観。8名座れる円卓の個室もある(写真はお店提供)。

サトタカ(佐藤貴子)

サトタカ(佐藤貴子)

食と旅を中心としたエディター、ライター、コーディネーター。大学卒業後、大手エンタテインメント企業で映像や音楽コンテンツの仕入、映画のPR等を務めた時、担当した映画監督が大の中華好きだったことから中華にハマる。
独立後、中華食材専門商社の小売向ECサイトの立ち上げと運営を通じて中華食材に精通。雑誌、会報誌、ウェブ等で中華に関する執筆多数。中華がわかるウェブマガジン『80C(ハオチー)』ディレクター。さまざまなテーマの中華食事会も企画する。

慈華イツカ

住所:
東京都港区南青山2-14-15五十嵐ビル2F
TEL:
03-3796-7835
アクセス:
東京メトロ銀座線 外苑前駅 4a出口より徒歩3分
営業時間:
火~木/17:30~23:00(ラスト入店21:00)   金・土・祝・日/ 11:30~14:00(ラスト入店13:00) 18:00~23:00(ラスト入店21:00)
支払い方法:
各種カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 電子マネー不可
定休日:
月曜・第2第4日曜日
インスタグラム:
https://www.instagram.com/itsuka.official/
Facebook:
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URL:
https://www.itsuka8.com/

更新: 2020年6月6日

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