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特別編 テイクアウトできる贅沢。名店「辻留」のお持ち帰り|マッキー牧元の「行かねば損する東京の和食」

1年間の外食数は600軒以上。高級店からB級までをくまなく知り尽くすタベアルキスト、マッキー牧元さん。食べ歩きのプロ中のプロに、今行くべき東京の和食店を教えてもらいます。

お料理セットは週替わりで

以前、こちらのイカソン(行かねば損する東京の和食)でもご紹介した、元赤坂の懐石料理店「辻留」で、ご飯セットの持ち帰りが始まっている。週替わりの予定で、今週は春を伝える桜鯛、あいなめ、筍、蕗を使った料理が用意される。

向付:「鯛の湯引き」

皮と身の間がうまい鯛だが、皮は硬いので、湯引きにして、いわゆる松皮づくりにされている。お店で出されるより量が多く、腹側と背側の両方が盛られ、味の違いが楽しめるのがうれしい。

背側は皮が硬いので細い幅で切られているが、腹側は皮が軟らかいのでやや厚い幅で切られている。また、普段は小鯛を使うが、ご家庭では量があった方がよろしいと、立派な鯛を使っているという。そんな懐石ならではの「思いやる心」を感じながら、いただきたい。防風、寿海苔、わさび、醤油(隠し酢)つき。

椀もの:「アイナメ葛叩き」

鮮度の極めて良いアイナメの骨を抜き、さらに骨切りをし、葛を打って茹でた春特有の椀種である。ご家庭用にとやや濃いめに味をつけたつゆが、なんとも味が丸い。こっくりとした旨さが舌に広がり、上品な香りが鼻に抜けて、幸せが満ちていく。アイナメはつるんと唇を抜け、ふわりと口の中で崩れて、優しい甘みを落とす。

「はあ」。満足のため息が漏れる。アイナメの滋味が次第につゆに溶けて、味わいが膨らんでゆく。こんな素敵なお椀を家でいただけるなんて、思いもよらなかった。そして品格のあるお椀は、すべての不安を吹き飛ばすことを知った。蓬麩、椎茸、木の芽つき。

焚き物:「筍と揚げ湯葉」

京都の朝掘り筍は、なんともしとやかで、香りに雅がある。主張が柔らかながら、春が胸に迫ってくる。筍といえばワカメが出合いものだが、「ご家庭ならと思い、揚げ湯葉にいたしました」。この湯葉は、沸騰してから追いがつおではなく、追い昆布をして、若干火を弱め、5分ほど炊く。湯葉は、丸め、竹の皮で結び、揚げていくのだが、こんがり色がつき過ぎたくらいに揚げ、湯に落として、油抜きをする。さらにこれを、出汁、薄口醤油、みりんを入れて炊く。

蕗は灰汁で炊いてアクを抜き、出汁で炊いたものである。手間と時間をかけて炊かれた料理は、心を豊かにする。

ご飯:「鯛ご飯筍入り」

煮物出汁で炊いた筍を切り、その煮汁少々と共に米に入れ、さらにお出汁を入れて薄口で味を決めて炊く。炊き上がったら焼いてほぐした鯛の身を入れて蒸らした鯛ご飯である。これとて、鯛を入れ過ぎたらいいというものではない。筍の味が引かぬ適量がある。

食べれば、ご飯の甘みに鯛の旨みが馴染んだ別格の美味しさがあり、その後から筍の淡味が顔を出す。そのほどの良さこそが、品であり、エレガントであるのだ。

この4点セットで4,500円。向付なしで、3,500円(いずれも税別)。「辻留」の様々な味を詰め込んだ「葵弁当」6,500円もおすすめである。自分の家にある、素敵な器に盛って楽しんでみてほしい。

マッキー牧元

マッキー牧元

1955年東京出身。㈱味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。日本国内、海外を、年間600食ほど食べ歩き、雑誌、テレビなどで食情報を発信。「味の手帖」「朝日新聞WEB」「料理王国」「食楽」他連載多数。三越日本橋街大学講師、日本鍋奉行協会顧問。最新刊は「出世酒場」集英社刊。

懐石 辻留かいせき つじとめ

住所:
東京都港区元赤坂1-5-8 虎屋第2ビル B1F
TEL:
03-3403-3984
アクセス:
東京メトロ赤坂見附駅より徒歩5分
営業時間:
12:00~14:00/17:00~21:00(L.O)
定休日:
日曜日
「辻留のご飯セット」は3日前までに要予約で、12:00から17:00までに「辻留赤坂」店で引き取り可能。
URL:
http://www.tsujitome.com/

更新: 2020年5月1日

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