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時は来た。すべての技を注ぎ、新たなステージへ 。紀尾井町「赤坂 桃の木」

ミシュラン二つ星店のさらなる挑戦 中国料理「赤坂 桃の木」小林武志シェフ

都心とは思えないほど豊かな緑に囲まれた、紀尾井テラス。その3階に2020年3月、東京・三田で約15年にわたり愛されてきたミシュラン二つ星の中国料理の名店「御田町 桃の木」が、「赤坂 桃の木」と名を新たにし移転オープンしました。

「桃の木」という店名の由来は、「桃李成蹊 (とうりせいけい)」という中国の故事。桃や季(すもも)は何もものは言いませんが、美しい花や美味しい実を慕って人が集まり、おのずとその下には“道”ができる。すなわち、徳のある人のもとには自然と人が集まるという意味です。「まじめに丁寧に美味しいものを作り続ければ、自然にその味わいや奥深さはお客様に伝わり、人々を幸せする」。店主・小林武志(こばやし たけし)シェフのそんな想いが込められています。

丁寧な仕込みをけっして怠ることなく 、「素材本来の美味しさが伝わる“きれい”な中国料理」を追求し続けてきた小林シェフ。伝統的な中国料理を受け継ぎつつ、移転を機に、西洋の食材や日本の調味料を取り入れた新たな料理にも挑戦します。「蓄積してきたもの、持っている技をすべて出す。“その時”が来たと思っています」との小林シェフの言葉に、期待は高まるばかりです。

固定概念を見直すことで生まれた、小林流の中国料理

辻調理師専門学校での講師経験を持ち、当時は“本場・香港”の味と技に忠実であることが何より大切だと思っていたと話す小林シェフが、「実は今、ほとんどごま油は使いません」と放った言葉には、さすがに驚きました。ごま油の香りといえば、中国料理の象徴ともいえるもの。「僕も講師をしていた頃は学校で、『仕上げに、ごま油!』って教えていたんですけどね(笑)」。日本の食材を使い、日本人の料理人が日本人のお客様のために作る中国料理であるならば、自分が素直に美味しいと思うものを作るべきではと考え始め、よりシンプルな美味しさを求めるようになったという小林シェフ。いろいろなものを削ぎ落とすうちに、ごま油もやめたといいます。「僕は料理や素材の“香り”を大切にしています。焙煎したごま油は豊かな香りだからこそ、一滴でも加わると、すべてがそれでマスキングされてしまう。使わなくなったら、今までその後ろに隠れていた微妙な焦げの香ばしさや食材そのものの味がまっすぐ出るようになりました」。

こうして少しずつ確立されていった、小林流の“きれい”な中国料理。そんな折に、伝説の料理人ともいわれる新橋「京味」の店主、故・西健一郎氏が定期的に店に訪れるようになり「間違ってなかったんだ、と自信になりましたね」と、嬉しそうに語ります。

コースの新たなスペシャリテ 「ゴルゴンゾーラの水餃子」

「ゴルゴンゾーラの水餃子」は15,000円のコースから楽しめる

「これからは自分の納得できる料理であれば、どんどん新しいものにチャレンジしたい」と意気込む小林シェフが、移転オープンと同時に満を持して世に送り出したのが、20年来温めていたレシピだという新たなスペシャリテ「ゴルゴンゾーラの水餃子」。ほうれん草の青寄せを練り込んだ皮で、えび餡とゴルゴンゾーラチーズを包んだ翡翠色の水餃子を、金華ハムでとった上湯スープに浮かべました。澄み切った温かいスープからは、仕上げに振りかけたトリュフオイルの華やかな香りがふわりと舞い上がります。「ずっと、伝統的な中国料理の範疇を超えない食材や調理法を守ってきました。でも今や、中国の料理人ですら、わさびやバターなどを当たり前のように使う時代です。僕も変わるタイミングかな、と。ずっと溜めていてお出しできなかったものも、お披露目したいですね」。

もちっとした皮に濃厚なゴルゴンゾーラとえびの餡を組み合わせた、まるでパスタを思わせる水餃子と、紹興酒と塩のみで味付けした、淡くそれでいて奥深いスープがメリハリを生み、力強くもやさしい一皿。温かいうちに召し上がれ。

ディナーの主役は「黒酢の酢豚」

三田時代からファンの多い「黒酢の酢豚」。コースのメイン料理として提供。

そして、「桃の木」の代名詞ともいえるスペシャリテ「黒酢の酢豚」もさらにブラッシュアップ。「ナイフとフォークで食べる、ワインに合う酢豚があってもいいのでは」。そんな発想から生まれた塊肉の酢豚は、まるでステーキのような妖艶な姿で登場しました。茨城県産のもち豚の肩ロースを柵のまま醤油だれで煮ておき、提供前に切り分けてさっと揚げ、まろやかな酸味のソースをまとわせます。軟らかくも、肉らしいほどよい弾力。噛むほどに醤油の香ばしい香りと肉の旨みがにじみ出ます。衣をつけずに揚げているため、ソースと肉の美味しさをダイレクトに味わうことができ、何より軽やかな仕上がりに。「合わせるワインは、軽めのピノ・ノワールでもいいし、しっかりめのカベルネ・ソーヴィニオンやシラーでも、お好みでどうぞ」(小林シェフ)。

ワインと楽しむ中国料理

各種ドリンクのほか、ワインペアリング(10,000円〜)も用意。

「桃の木」がオープンから間もないうちに注目を浴びたのは、ワインもひとつの理由です。小林シェフは、2005年のオープン当初から中国料理とワインとのマリアージュを提案してきました。「きっかけは本当に偶然でした。オーストリアのオーガニックワインの試飲会に連れて行ってもらう機会があって、飲んだらすごく美味しくて。余計なものを入れないというオーガニックの考え方が、自分の料理と合うなと思って取り入れました」。今はオーガニックにこだわらず、やはり自分が美味しいと思うものを揃えているといいます。すべてシェフ自身が味を確かめて選んでいるため、ワインに合わせて料理をアレンジすることも。ペアリングもおすすめです。

緑地に囲まれた寛ぎの空間

「都市のオアシス*」にも認定された紀尾井テラスの緑地が大きな窓から望める「赤坂 桃の木」は、プライベートスペースが保てるよう、22席のみのゆったりとしたフロア構成。特別な日に利用したい個室も備え、繊細な香り、彩り、味でもてなしてくれる小林シェフの“きれい”な中国料理を、優雅な空間で満喫することができます。*公益財団法人都市緑化機構

かつての「御田町 桃の木」に訪れたことのある人もない人も、「赤坂 桃の木」で小林シェフが技のすべてをかけて作り出す新たな中国料理に、必ずや魅了されることでしょう。伝統を受け継ぎつつ、高みを目指し進み続けるシェフの挑戦をお見逃しなく。

 

*価格はすべて税別です。

赤坂 桃の木あかさか もものき

赤坂 桃の木

住所:
東京都千代田区紀尾井町1-3 紀尾井テラス3F
TEL:
050-3155-1309(予約専用)
アクセス:
東京メトロ有楽町線・半蔵門線・南北線 永田町駅 9a出口直結、東京メトロ銀座線 赤坂見附駅 D出口より徒歩1分
営業時間:
17:30~22:00(L.O.21:00)
定休日:
水曜日
支払い方法:
クレジットカード可(JCB、AMEX、VISA、MASTER、Diners、DC、UC、UFJ)
URL:
https://momonoki.tokyo/

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

更新: 2020年3月26日

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