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神田「味坊(アジボウ)」でいつも頼む3品と、ふたりの時間|サトタカの「行かねば損する東京の中華料理店」

中国料理に魅せられて、国内はもとより中国にも足繁く通って取材する中国料理探訪家・サトタカさん。“中国を食べ尽くす”プロに、今行くべき東京の中華料理店を教えてもらいます。

大勢じゃない「味坊」もいいもんだ

東京の中国料理店の中でも、かなりの人気店である。

中国・東北地方、黒竜江省チチハル出身の梁宝璋オーナーと料理人とのタッグで、本場さながらの料理を出す“現地系中華”の雄。ユニークな中国郷土料理店は都内に増えているが、「味坊」の楽しさと安心感は断トツだ。

ここに来れば、いつでもおいしい羊料理に手作りの粉もんがある。辛過ぎて死ぬこともないし、飲む人は冷蔵庫から好きなワインを気軽に選べる。高すぎないし、気取らぬ雰囲気なので宴会にもうってつけ。ついつい勢いで食べ過ぎ、飲み過ぎる。

悩ましいのは、いつも大繁盛すぎて、行きたい時に行きにくいことだ。一皿の量が多めなので、大人数じゃないとなぁ……という人もいるだろう。でも、こういう店に2人くらいで、ふらっと気軽に行けたら最高じゃないですか?

「じゃあそれはいつなんだ?」というと、週末のランチだ。できればちょっと遅めがいい。この時間帯は、喧騒の夜とは違って、いつもの声で会話できるし、人が減ってきたところで、ちょっとのびのびできる。さらに、2人ではたくさん食べられないからこそ、厳選した皿を選ぶ楽しみもある。

私の場合、2人で行く「味坊三種の神器」はこれだ。

①大きさ、弾力、焼き加減。「羊肉串」は迷わず10本盛り

大きさ、弾力、焼き加減。三拍子そろった「味坊」の羊肉串は、食べないで帰ったら損するレベル。いわずもがな、だが言わせてほしい。

より少人数向けで羊に特化した姉妹店「羊香味坊」もあるが、そちらが少し上品サイズなところ、神田「味坊」は肉感に溢れている。齧れば中からぴゅるると肉汁が溢れ、時折歯に当たるクミンが食欲を加速させる。

これを2人だからといって、5本の皿で頼んではいけない。だいたい、2本ずつ食べたら割り切れない。そもそも2本なんて瞬殺だ(2本半も同様)。焼き上げるまでにそこそこ時間がかかるので、迷わず一気に10本いこう。後悔はさせない。

②東北料理界の麻婆豆腐⁉ 「地三鮮」で野菜を味わう

地三鮮(ディサンシェン)は、中国の東北地方の料理を代表する一皿だ。料理名は「地面(畑)で収穫される3つの新鮮なものを料理しましたよ」という意味合いで、じゃがいも、ナス、ピーマンの組み合わせが鉄板。中国では、ごはんにも合い、お酒にも合う料理として親しまれている。

シンプルな料理だけに、店によって味や食材はそれぞれ。そもそも使う食材が中国のどの地域にもありそうなものなので、いろんな店で食べられるし、この料理だけでひとつの記事ができそうな気さえする。その点では、四川料理における麻婆豆腐と言えるかもしれない。

そんな地三鮮だが、「味坊」のどこがいいかって、揚げたじゃがいもがたまらなくいい。芋の中に熱がギューッと籠っており、表面はきつね色で香ばしい。じゃがいもってこんなにおいしかったっけ? と、ここで食べるたびに同じことを思う。

茄子の油通しも効いている。野菜だけの料理なのに、なんとコクのあることか。少しとろみがついているのもこの店の特徴だ。もし、まだノーマークであれば、地三鮮デビューはぜひ「味坊」を推したい。

③〆の炭水化物は、手作りの粉もの「韮菜盒子」

肉、野菜ときて、足りないものはなんだろう。そう、炭水化物です。炭水化物を食べないと、どうも食事が締まらない。そこでおすすめしたいのが韮菜盒子(ジウツァイフーズ)。平たく言うと、ニラ玉入りお焼きだ。

ニラ玉は中国・東北地方ではよく見る組み合わせ。餃子の具の定番でもあり、焼けばお焼きの具にもなる。盒子とは蓋付きの入れもののことで、ちょうど上と下の生地を合わせ、中央で縫い止めたような格好からその名がついたのだろうか。大人の手のひらほどの大きさがあるが、中のニラ玉が軽やかなので1人1個ペロリといけてしまう。

ニラ玉のさっぱりとした塩味も東北料理ならでは。焼きたては格別で、これぞ口福。やはり東北料理といったら小麦粉料理だなあ、としみじみしてしまうおいしさがある。イチから家で作るとなると、けっこう手間がかかるので、安心の「味坊」で食べるのが一番だ。

さて、これで3品だ。たった3品でちょっと寂しい気がするかもしれないが、そんなことはない。これに赤星1本をつければ、ちょっと遅めのふたり飯には十分(写真は「羊香トマトハイ」ですけどね)。

料理はもう1品頼むと、たぶんお腹いっぱいになる。でも、このくらいが「ふらっと楽しむ」のに最高。よかったら、また行けばいい。

サトタカ(佐藤貴子)

サトタカ(佐藤貴子)

食と旅を中心としたエディター、ライター、コーディネーター。大学卒業後、大手エンタテインメント企業で映像や音楽コンテンツの仕入、映画のPR等を務めた時、担当した映画監督が大の中華好きだったことから中華にハマる。
独立後、中華食材専門商社の小売向ECサイトの立ち上げと運営を通じて中華食材に精通。雑誌、会報誌、ウェブ等で中華に関する執筆多数。中華がわかるウェブマガジン『80C(ハオチー)』ディレクター。さまざまなテーマの中華食事会も企画する。

味坊アジボウ

住所:
東京都千代田区鍛冶町2-11-20 1F・2F
TEL:
03-5296-3386
アクセス:
JR神田駅より徒歩3分、秋葉原駅より徒歩10分
営業時間:
月~土/ランチ11:00~14:30、ディナー17:00~23:00  日・祝/ディナー15:00~21:00
定休日:
なし

更新: 2020年3月4日

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