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東京で最初の本格ビストロ? 老舗にはわけがある  日比谷「La Brasserie(ラ ブラスリー)」| 山脇りこの行かねば損する東京のビストロ

ビストロってなんだろ? フランスで言うところの、気楽に食べて飲める、日常づかいのお店。語源はパリにいたロシア人が「ビストロ(早く!)」と言って、料理を急がせたからという説も……。肩ひじ張らずに、食べて飲んで、幸せになる、そんな東京のビストロを、ヴァンナチュール好きの料理家、山脇りこさんがご紹介します。

東京の本格ビストロの元祖は、「帝国ホテル」の中にあった!

La Brasserie、ラ ブラスリーは日比谷の帝国ホテルの地下一階にある

この連載を始めることになった時、必ず紹介したいと思ったのが、「ラ ブラスリー」。いまから36年前に生まれたこの店こそが、日本で最初の本格ビストロではないか? と思っていたから。

場所は「帝国ホテル」。ええ、ホテル? と言われそうなのですが、これがここまでの“ザ・ビストロ感”は、なかなかよそにはないのです。

ベルエポックのパリに迷い込んだような、麗しき空間

ミュシャ風の絵が随所で迎えてくれる。

地下1階の店内には、19世紀末のアールヌーヴォーを彷彿させるアルフォンス・ミュシャを模した絵が飾られ、ずららっーとつながる朱色のベルベットのソファに、鏡、真っ白なクロス、そして赤いバラ。映画や小説に出てくるベルエポックのパリ、華やかに賑わうビストロのイメージそのもの。グラスのぶつかる音や軽快なカトラリーの響き、粋な会話が聞こえてきそう。

ソムリエもギャルソンも、ブラック&ホワイトで泳ぐように歩き、かっこいい。ここは「帝国ホテル」、清潔感抜群、びしっと伸びた背中、身のこなしも美しい。サービスはノンストレス、距離感も絶妙だ。

ビストロのザ・定番から世界のVIPにまつわるメニューまでが勢ぞろい

ワインと楽しむのための皿がそろう

メニューは様々な変遷を経て、今の私たちがワインとともに楽しみやすいように工夫されている。オニオングラタンスープやスモークサーモン、エスカルゴ、舌平目のムニエル、鴨のオレンジソースといったビストロフレンチのザ・定番はおさえつつ、「帝国ホテル」が世界のVIP(マリリン・モンローやエリザベス女王など)を迎えて生み出した「食べてみたい心」がくすぐられるメニューも。多くにハーフポーションがあるのもうれしい。

さすが老舗ホテル。正統派グラスワインもあればフリーフローも!

グラスも充実のワインリスト

もちろん街場のビストロでは望めないような、無敵の正統派ワインリスト。グラスワインの種類も多く、グラスで、シャサ―ニュ・モンラッシュやソラリス信州というチョイスもできる。

一方で、フリーフロー(飲み放題!)があったり、ワインリストから選んだワイン3種を少なめに定額(2種2,000円、3種3,000円)で、なんていう粋な計らいも用意されている。

入り口にはいつも真っ赤なバラ(もちろん生花ですわよ)

初めてここへ来たのは、大学を卒業した頃。パリのビストロなんて行ったこともなかった。そもそもビストロってなんだっけ? なんだっけ? な子供だった。

思えば、スパゲティがイタリア料理に、焼きそばやチャーハンが中華料理に、グラタンがフランス料理に、本格化して奥深く広がったのがバブル時代。東京の食のベルエポックだったのかもしれない。そんな中、新しいフランス料理の楽しみ方=ビストロに、「帝国ホテル」が先陣を切ったのではなかろうか。

「エビと舌平目のグラタンは」、女王陛下のお気に入り

フォアグラやカニといっても上品、いんげんが効いている。 野菜がだれない、完璧な状態で食べてもらうために、目の前でサーブしてくれます。

この日お願いしたのは、その名も、グルメのためのサラダ。フォアグラやカニ肉がちりばめられたサラダは目の前でトスされて、ビネガーとオイルのシンプルなフレンチドレッシングで和え、盛り付けられる。

鹿肉のテリーヌにはピスタチオが。塩分すこし強めなので、甘みのあるプルーンのチャツネが味に変化を生む。実にワインに合う。

エリザベス女王を虜にした?という海老と舌平目のグラタン。意外な仕立ての一皿。

1975年に来日したエリザベス女王のために当時の村上信夫料理長が考えたという、エビと舌平目のグラタン。エリザベス女王がとても気に入ってくれたことから、英国大使館の許可を得て「エリザベス女王風」と冠したのだそう。アメリケーヌソース、オランデーズソースは、1ミリもぶれないお手本のよう。アレンジしないことは、もしかしたら今や最強の魅力なのかも。

1964年東京オリンピックのメニューが今夏に復活!

カツレツには、アンチョビ、ゆで卵、オリーブ。添えられたレモンのしぼりやすさよ。

メインは、著名なロシアの声楽家・シャリアピン氏のために考えたという、シャリアピンステーキ。来日時、歯痛で硬いものが食べられないという御大のために、すき焼きから想起したという玉ねぎで軟らかくされたステーキは、なるほど、ごはんが食べたくなる味。しかし、これがグルナッシュのワインにも合った。

カツレツもご覧のとおり、美しき正統派。搾りやすく絶妙にカットされた檸檬に注目!

デザートはワゴンから。ショートケーキとプリンの王道で〆てみた。今年の夏には、1964年の東京オリンピックの時、選手村のために、村上信夫料理長が考えた料理のコースも用意されるそう。

期待を裏切らない「ラ ブラスリー」。映画や観劇の後に

これがおいしくないわけがないのです・・・プリンもよかった。

老舗にはわけがある、と最近よく思う。きびきびと動く、笑顔の気持ちいいプロのサービスと、加減のよいカジュアルさ、親しみ、そして、ゆるがない料理。なにも考えずに安心して行ける東京のパリ。もちろん、パリのビストロよりずっと美しく洗練されているわけだけれど。

ビストロとしてはちょいとお高めながら、映画や観劇の前後に使いやすいし、大人の愉しみとしておすすめしたい。飲み足りない時、階段をあがれば、すてきなバーもある。

山脇りこ

山脇りこ

料理家。東京・代官山で料理教室「リコズキッチン」を主宰。雑誌、テレビ、ラジオなどでも活躍中。「グルマン世界料理本大賞2014」で「昆布レシピ95」がグランプリ受賞。「明日から、料理上手」(小学館)、「いとしの自家製」(ぴあ)など著書多数。旅好きで、美味しいものがあると聞けば、どんなに遠くてもでかけていく、食いしん坊。http://rikoskitchen.com/

ラ ブラスリーTRADITIONAL DINING La Brasserie

住所:
東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル東京 インペリアルタワーB1F
TEL:
03-3539-8073
アクセス:
東京メトロ「日比谷駅」より徒歩3分、「銀座駅」より5分、 都営三田線「内幸町駅」より徒歩3分、JR「有楽町駅」より徒歩5分、「新橋駅」より徒歩7分
営業時間:
11:30~14:30(L.O.)、17:30~21:30(L.O.)
定休日:
無休
支払い方法:
クレジットカード可 (VISA、MASTER、JCB、AMEX、Diners)

更新: 2020年1月15日

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