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RESTAURANT

編集部のお気に入りのレストランをご紹介します

編集部が訪れた美味しい名店『足跡レストラン』

肉を食べに“わざわざ”行きたいイタリアン 駒沢大学「IL GiOTTO(イル・ジョット)」

この店のために駒沢へ行く。 高橋直史シェフの「IL GiOTTO」

駒沢公園通り沿いに立つ大きな白壁の一軒家が、今年18年目を迎えたイタリアンレストラン「IL GiOTTO」です。けっして便が良いとはいえない場所にありながら、高橋直史(たかはし なおふみ)シェフの料理を求めて、多くの食通が訪れます。彼らを虜にするのは、本場の家庭料理を軸にしたシンプルなイタリアンと、ほとんど一般流通しない稀少な肉を使った料理の数々。シェフの自宅に招かれたような、アットホームな空間も魅力です。皆「IL GiOTTO」に訪れるために、“わざわざ”駒沢の住宅街まで足を運びます。

「IL GiOTTO」と精肉店「サカエヤ」

10年ほど前までは魚料理がメインだったという「IL GiOTTO」が、肉料理の名店として知られるきっかけとなったのが、高橋シェフが必需品と語る、滋賀県の精肉店「サカエヤ」の肉との出合い。ただし「IL GiOTTO」で提供する肉の多くは、「A5」「A4」といった格付けや最高級ブランドを謳うものではなく、乳牛や経産牛など、一般的には肉質があまり良くないために精肉としては流通しない畜肉です。「サカエヤ」の代表・新保吉伸(にいほ よしのぶ)氏は、肉の水分量をコントロールすることでそれらの肉に高級和牛にも勝る凝縮した旨みをのせていく、ドライエージングのスペシャリスト。高橋シェフは、新保氏のことを「互いに高め合う存在」と語ります。「サシの量、肉質、味わい……。新保さんは店と本気で向き合い、僕の料理に合った肉を選んで届けてくれます。だから僕も本気でそれに応え、美味しい料理にしてお客様に提供します」。

驚くほどクリーミー!  脂身がとろける自家製プロシュート・コットの「ブルスケッタ」

美しい花びらのように仕立てられた「愛農ナチュラルポークのブルスケッタ」(1,000円/税別)。 

さまざまな肉を「サカエヤ」から仕入れる高橋シェフ。その中には、「愛農(あいのう)ナチュラルポーク」という出荷数年間わずか150頭程度、全国で唯一の全寮制有機農業実践校である三重県・愛農学園農業高校の生徒が授業の一環で育てる、大変稀少な豚もあります。

取材中、何度も電子音が鳴り、その度に厨房の様子をうかがっていた高橋シェフ。「愛農ナチュラルポークを使った、自家製のプロシュート・コット(加熱して仕上げるハム)です。」。ソミュール液に5日ほど漬けた肉を真空にし、71℃を保ちながら約5時間、湯煎でじっくりと火を通していくのだそう。電子音は、その温度管理のためのもの。このハムを使って作るのが、イタリアの軽食「ブルスケッタ」です。軽く焼いた自家製のパンに、ニンニク、オリーブオイル、ブッラータチーズを塗り、薄くスライスしたハムを載せます。パルメザンチーズのように見えるのは、北海道産の山わさび。「スライスしたハムと山わさびって、イタリアではポピュラーな食べ合わせなんですよ」。手に持ち、口元に近づけただけで、華やかに香り立つ山わさび。ふわりと唇にハムが触れたと思うと、その体温で一瞬にして脂が溶けてブッラータと一体になり、まるでクリームのよう! ハムのしっとりとなめらかな口当たりと脂の甘みは、思わず目を見張るほどです。

ディナーの主役こそシンプルに。スペシャリテは「炭火焼き」

「短角牛の炭火焼き」(時価)。付け合わせは、揚げたジャガイモといちじくのマリネ。

そんな繊細なハムとは対照的に、肉の力強い旨みを楽しませてくれるのが、「IL GiOTTO」のスペシャリテである炭火焼きです。高橋シェフの料理を知り尽くす「サカエヤ」の新保氏が「IL GiOTTO」のために選び届ける肉の魅力を、今度は高橋シェフが最大限に引き出します。

今回用意してくださったのは、ドライエージングの短角牛。「ほとんど炭の上に乗せているようなものです」と、シェフがいうように、肉が炎に包まれている光景には、一瞬目を疑ってしまいます。「炎の芯に近い、内炎で焼いています。外炎より温度の低いので、黒く煤けることはありません。バシッと表面だけを焼き固めます」。一度火から外し、余熱で少し火を通したら、最後に再び香ばしく焼き上げます。味付けは塩とブラックペッパーのみ。「カットしているのに肉汁が出ていないでしょ。ほどよく肉の水分が抜けている証拠です」。しかし、口に含むと非常に軟らかく、噛むごとに染み出すジューシーな旨み。濃厚な味わいもさることながら、鼻に抜ける肉の香りの豊かなこと。高橋シェフと新保氏、二人の技術が揃ってこそ完成する一皿です。

ワインは約200種類。インポーターも信頼関係が全て

常時、赤・白共に各4種を備えるグラスワインは、600円〜。

また、店内にはいくつもワインセラーが。「2階にもまだありますよ」。200種類近くはあるというワインは、シャンパンを除き、全てイタリアワインです。これだけの種類を揃えながら、取り引きするインポーターはわずか2、3社だといいます。何度も一緒にイタリアに行っているイタリア人インポーターや、25年ほど前から付き合いのあるインポーターなど、肉同様、確かな信頼を寄せる人からしか仕入れません。そんな長年の信頼関係があるがゆえに、マニアが驚くような稀少なワインがあることも。

1日4組限定 アットホームなプライベート空間

外観の美しい白壁から一転。店内は温かみのある空間。

そして、落ち着きのあるプライベート空間も「IL GiOTTO」の魅力です。煉瓦造りの壁や、ところどころに使われた木材が心地よい温もりを演出しています。厨房と客席との間に高低差や高い壁がないことも、このアットホームさを生み出している要素の一つかもしれません。16席ある店内ですが、人数に関わらず、入れるのは1日4組だけ。まさに高橋家に招かれたようなくつろぎの中で、美味しい料理を心ゆくまで楽しむことができます。

ここに来た人だけが味わえる、シェフ渾身の“肉イタリアン”。食欲の秋、「美味しい肉が食べたい!」と思った時には、ぜひ“駒沢の高橋家”を訪れることをおすすめします。

IL GiOTTOイル・ジョット

IL GiOTTO

住所:
東京都世田谷区駒沢5-21-9
TEL:
03-6805-9229
アクセス:
田園都市線 駒沢大学駅より徒歩約15分
営業時間:
18:00~24:00(L.O.22:30)
定休日:
火曜日、不定休
支払い方法:
クレジットカード可(JCB / AMEX / VISA / MASTER / Diners)

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

更新: 2019年9月26日

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