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マスター、あなたじゃなきゃ嫌なの! 浅草橋「水新菜館(ミズシンサイカン)」|サトタカの「行かねば損する東京の中華料理店」

サービスマンこそ替えの効かない仕事

飲食店の紹介というと、料理や料理人がフォーカスされることが圧倒的に多いが、サービスマンこそ替えの効かない仕事だと、しみじみ思う店がある。

目印は、赤字に白の堂々たる看板。JR総武線の浅草橋駅を出て、横断歩道の先から目に飛び込んでくる「水新菜館(みずしんさいかん)」だ。

中華料理店として45年。先々代は明治創業の水菓子屋。遡ると120年以上の歴史がある。

扉を開けると「いらっしゃいませ!」の明るい声。おしゃれなシャツに、三色カラーのサスペンダー。胸元を見ると、日によっていろんなピンバッジが光っていて、話す前から視覚的情報満載。

現オーナー、客呼んで“マスター”の寺田規行さんは、会った瞬間から一気にゴキゲンな気持ちにさせてくれるサービスマンだ。

日式中華のダンディズム

ここはいわゆる大衆中華料理店。しかし、そのサービスと立ち振る舞いに折り目正しさを感じるのは、マスターの歩みとお人柄からだろう。

若かりし頃の寺田さんは、フランスのグランメゾンでサービスに開眼。ソムリエの資格を取得しており、秘蔵ワインはその専門家も一目置くほど。中華なのにどこかイタリアンなファッションは、年季の入ったイタリア車好きという趣味の表れで、一見派手だが実にダンディ。それだけ聞くと、気取った印象を受けるかもしれないが、サービススタイルはその真逆だ。

いじられたい空気を出している人のサインは逃さずキャッチして、黙々と食べたい人はそっとして。ひとたび話せば軽妙洒脱、この道45年の接客はいつも鮮やかで爽快だ。

揚げワンタン。甘酢だれをつければ、つまみに最高!

リズミカルに鍋を振り、無駄のない動きで料理をつくるのは、厨房の中のベテラン料理人集団。静かで熱いジャズセッションのような仕事ぶりを眺めつつ、マスターがキビキビ明るくフロアを切り盛りするさまは、見ていてとても気持ちがいい。

コース料理はおいていないので、注文はメニューから好きなものを好きなだけ。軽やかなレバニラ、葱の香る鶏のから揚げに、甘酢がキュンとくる酢豚。日本人なら誰もがほっとする味がここにある。

日式中華にどんぴしゃワイン、ビールは“アサシ”で、紹興酒は甕!

どの料理を頼んだらいい? というのは難しい質問だが、サービスという観点でおすすめするなら小籠包。なぜならマスターによる食べ方のレクチャーは、“接客芸”の域。むしろトークが聞きたくてオーダーしてしまう一品だ。また、餡かけ焼ソバは、店一番の人気メニュー。毎日新しい油を使っているから、ギンギンに見えるがぺろりと食べられる。

店の一番人気は「餡かけ焼ソバ」。

お酒を飲むなら、乾杯は「アサシ(※江戸っ子です)」。メニューには詳しく書いていないが、ワインをボトルでオーダーするのもいい。

余談ではあるが、マスターの薫陶を受けた息子さんは、グランメゾン「トゥール・ダルジャン」で長年経験を積み、昨秋ワインバー「水新はなれ 紅」を隣に開店したばかり。気のせいかもしれないが、息子さんがそばにいらしてから、ワインを合わせるお客さんは増しているようだし、マスターもなんだか嬉しそう。

料理のおいしさは言うまでもないが、やっぱりここに行く一番の理由はマスターに会いたいから。この店にマスターがいなかったら……? ううう、考えたくない!!

サトタカ(佐藤貴子)

サトタカ(佐藤貴子)

食と旅を中心としたエディター、ライター、コーディネーター。大学卒業後、大手エンタテインメント企業で映像や音楽コンテンツの仕入、映画のPR等を務めた時、担当した映画監督が大の中華好きだったことから中華にハマる。
独立後、中華食材専門商社の小売向ECサイトの立ち上げと運営を通じて中華食材に精通。雑誌、会報誌、ウェブ等で中華に関する執筆多数。中華がわかるウェブマガジン『80C(ハオチー)』ディレクター。さまざまなテーマの中華食事会も企画する。

水新菜館ミズシンサイカン

住所:
東京都台東区浅草橋2-1-1
TEL:
03-3861-0577
アクセス:
JR総武線浅草橋駅より徒歩3分、都営浅草線浅草橋駅より徒歩4分
営業時間:
ランチ11:30~15:00(L.O.)、ディナー17:30~20:45(L.O.)
定休日:
日曜日、第2・4土曜日
支払い方法:
クレジットカード不可

更新: 2019年7月10日

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