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誰よりも熱く、美味く鶏を焼く 銀座「バードランド」|マッキー牧元の「行かねば損する東京の和食」

1年間の外食数は600軒以上。高級店からB級までをくまなく知り尽くすタベアルキスト、マッキー牧元さん。食べ歩きのプロ中のプロに、今行くべき東京の和食店を教えてもらいます。

銀座バードランド

東京屈指の焼き鳥屋。下記の部位のほか、歯ごたえを楽しむ正肉、異なるモモの部位を刺したねぎま。しっとりと繊細に焼きあがった、サビ焼き。白胡椒で仕上げる、ハツ。胸とモモ肉を使い、中に入れた麩が吸ったスープが溢れる、つくね。噛み締めるとプリッと崩れるぼんぼち、せせりや横隔膜の肉を挟み、ねっとりと濃い味わいがする軟骨などコースもあるが、ここに行ったら片っ端から頼んで、堪能しよう。締めの親子丼やプリン、砂肝の煮こごりといった前菜なども、都内随一。

和田利弘さんという焼き鳥職人

年々、焼き鳥屋は増えている。
仕事柄、新しくできた店にも行くが、どうしても納得がいかないことが多い。
それは、一人の焼き鳥職人と出会ってしまったからである。
その名は、和田利弘さんという。
ご存知「銀座バードランド」の主人であり、北千住「バードコート」や「阿佐ヶ谷バードランド」ほか、数多くの焼き鳥職人を輩出させた人である。

焼き鳥職人にとっては、当然ながら鶏肉を“焼く”という仕事が最も重要である。どんなにいい鶏肉をそろえ、様々な部位を用意し、的確に串を打ち、いい塩を使い、おいしいタレを作っていたとしても、肝心の焼く仕事が抜きん出ていないと、完成しない。

“焼く”という仕事は、難しい。

フランスの食通で「味覚の生理学 美味礼讃」を書き、それまでの料理や栄養学、味覚を化学的かつ医学的な見地で体系化させたブリア・サヴァランは、記している。

「料理人には誰でもなれるが、肉焼き師は生まれつきである」

それだけ難しい。
技術もさることながら、持って生まれた感性が必要なのである。寿司屋や天ぷら屋で、同じ魚や酢飯、衣を使っているのに、職人によって味が違ってくるのと同様に、焼き鳥屋もまさにそうなのである。

和田さんの焼き鳥の何が違って、すごいのか?

和田さんの焼く焼き鳥は、熱い。
ほかの誰が焼くよりも、熱い。

鶏肉が、限界すれすれまで熱せられて、肉汁をたぎらせ、脂を沸かせ、口の中で爆発する。噛んだ瞬間に「うっ」と呻いてしまうような、命の躍動がある。しかし、喜びはまだ始まったばかり。噛んで噛んで、噛みゆくうちに、「滋味」といえるものが滲み出して、甘い香りが鼻に抜けていく。だから僕は、「バードランド」に来た時だけは、よく噛む。噛んで噛んで、奥久慈軍鶏の命に感謝する。

1歩踏み込む焼きの勇気と眼力、感性

レバーは、ふわりと甘いだけではない。1ミリ以下に薄く薄く焼き固められた、ぷちんっと弾ける表面の張りと、ねっとりとした中との対照的なコントラストがあってこそ、甘みが生きる。巧みに焼き上げられた皮は、皮側をカリリと香ばしく、肉側には優しく火が入れられ、はらりとふられた山椒が脂を引き締める。

さらに砂肝は、他店のようにコリっとした食感ではなく、むっちりとした歯触りを引き出して色気がある。ソリは、血を含んだような荒々しい味が弾け、肉を食らう、噛むことへの喜びを与えながら、脂の切れがよく、すっと別れを告げる。

モモ肉の山椒焼きは、中で肉汁がたぎっている。噛んだ瞬間、「どうだっ」と叫んで、肉が躍動する。いずれも、部位によって異なる筋繊維や水分、脂、個性、香りを見極め、仕上がりの理想を明確に思い描いて、肉を捌き、串打つ段階から築き上げてきた形がある。

そして焼きである。
1歩踏み込む焼きの勇気と眼力、感性という才で焼かれた軍鶏は、最大限の滋味を湛えて、生き生きと持ち味を発揮する。

ここには、すべてにおいて、焼き鳥という仕事の至高があるのだ。

マッキー牧元

マッキー牧元

1955年東京出身。㈱味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。日本国内、海外を、年間600食ほど食べ歩き、雑誌、テレビなどで食情報を発信。「味の手帖」「朝日新聞WEB」「料理王国」「食楽」他連載多数。三越日本橋街大学講師、日本鍋奉行協会顧問。最新刊は「出世酒場」集英社刊。

バードランド

住所:
東京都中央区銀座4-2-15 塚本素山ビル B1F
TEL:
03-5250-1081
アクセス:
東京メトロ銀座駅より徒歩1分
営業時間:
17:00~21:30
定休日:
日曜日・月曜日・祝日
支払い方法:
カード可 (VISA、MASTER、JCB、AMEX、Diners)
URL:
http://ginza-birdland.sakura.ne.jp/index.html

更新: 2019年4月25日

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