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ウンブリアの肉とパスタとワイン 四谷三丁目「Osteria dello Scudo(オステリア・デッロ・スクード)」|ハヤシコウの「行かねば損する東京のイタリアン」

日本人初のイタリア人! イタリア渡航歴24年。イタリアをライフワークに活躍するハヤシコウさん。自宅には醤油がない(つまり和食は食べない!)ほどイタリア料理好きなコウさんに、今行くべき東京のイタリアンを教えてもらいます。

4か月ごとにイタリア各州の郷土料理を

「自分の料理でイタリアに興味を持ってもらえたらうれしい」

小池教之シェフの料理は、まさにこの言葉とおりのもの。

四谷三丁目にはたくさんの飲食店があるけれど、そうした繁華街から少し外れた場所にお店はある。内装に派手さはなくて、提供される料理も、シェフ自らが「茶色い料理」と言うだけあって飾り付けがほとんどなく素朴な料理。

お店のメニューは4か月ごとにテーマとする地域を変えていて、ヴェネト州の料理から始まり、カラブリア州、エミリア・ロマーニャ州、そして、今回はウンブリア州のメニューだ。

素朴さが魅力のウンブリア料理

ウンブリア州は、海はないが、緑が豊かな土地。日本でも知られている街としては、州都ペルージャのほか、聖フランチェスコのアッシジあたりか。贅沢なものはなく、素朴な土地柄だ。

昔から豚肉の生産が盛んで、現在も生ハムやサラミが特産品。豚肉を加工する職人のことを「Norcino:ノルチーノ」と呼ぶが、これはウンブリアの東部ノルチャという街に由来している(ちなみに、ウンブリア州近辺では肉屋のことをノルチネリアと呼びます)。

この日の前菜も、生ハムやサラミが数種入った盛り合わせを。空豆の緑色がなければ、お皿の上はほとんど茶色(空豆もウンブリアの特産品です)。パルマのピンク色でしっとりとした生ハムに比べると、旨みが強くて男性的な味の生ハムで、こんなところにも土地柄がよく表れている。

食感を楽しむウンブリアのパスタ

続くパスタは、ウンブリケッリ(Umbrichelli)という名前の手打ちパスタをイノシシのソースで。ウンブリア州にはストランゴッティ(Strangozzi)、チリオーレ(Ciriole)、マンフリコリ(Manfricoli)といった日本では聞き覚えのないパスタがたくさんある。このウンブリケッリだけでも、長い紐状のものだったり、短いイモムシ状のものだったりと形も様々だ。

この地域のパスタは卵が入らず、コシが強い。卵がたくさん練り込まれたリッチなパスタとは違って、パスタの美味しさというよりも、不均一な太さから生まれる食感の違いやソースの絡み具合の違いを楽しむパスタだ。

この日のウンブリケッリも、そうした食感や味わいが、地味な見た目以上に楽しい一皿だった。

身体にも心にも優しい煮込み料理

メインのお肉は、あっさりとしたウサギ肉のカチャトーラに。「Cacciatora:猟師風」の名前のとおり、猟師が山の中で作るような、シンプルな煮込み料理。肉を焼いて、あり合わせのもので煮込む。軟らかくしっとりとした煮込み具合は、ウンブリア州の特産でもある、上質のオリーブオイルを使っているからだろう。

前菜からメインまで通して料理は簡素で素朴で、昔から変わっていないであろう土地に根づいてきたシンプルな料理。この「土地に根づいた料理」というのが、まさにイタリア料理の真骨頂なのだ。

イタリアというと、ファッションやデザインといった見た目の良さばかりが目立つけれど、食事に関してはとても保守的で、何百年も同じ料理を食べている。そんなイタリア人が普段食べているような、簡素で素朴な料理も知ってもらいたい。そうした普段のイタリアを知ることで、イタリアを身近に感じることが出来たら……。

この日は、レストランでのイタリア料理が初めてという若者が同席だった。

「イタリアンの洒落たイメージが消えて、イタリアへの親しみが湧いた」という感想が、とても嬉しかった。

ワインも地域に合わせて4か月ごとにチェンジ

この日のワインは、最初にスパークリングワインを飲んだ後、白ワイン、赤ワインとお願いした。肉系の料理なので、赤ワインと思われがちだけど、酸味でなく、旨みを感じるような白ワインだと、シンプルな肉料理にもよく合う。

赤ワインは、サグランティーノ種から造られるとてもボリュームある赤ワインが有名だけど、サンジョベーゼ種主体でサグランティーノ種を加えたやや軽い口当たりのモンテファルコ・ロッソを注文。

4か月ごとのメニュー変更に合わせて、ワインリストも地域から変えているそうで、料理だけでなく、ワインにもしっかりと地域性を持たせるあたりが、イタリアディープマニアを存分に楽しませてくれる。

華やかなイタリアンはもちろん楽しいけれど、こうした素朴な料理を出すイタリアンもよい。

ハヤシコウ

ハヤシコウ

株式会社ミズコルビノデザイン 代表。多摩美術大学卒、都内イタリアン勤務の後、イタリアのマルケ州ウルビーノISAに留学。帰国後、都内ワインバー勤務の後、2005年ミズコルビノ・デザイン設立。24年にわたりイタリアと日本を往復する中で培ったイタリアへの造詣を生かし、東京のイタリアンを中心に国内外の店のロゴやマーク、内装デザイン、メニューの監修などを手掛ける。2018年、「サルメリア69」の新町賀信氏と共に一般社団法人おいしい生ハム普及協会設立。

Osteria dello Scudoオステリア デッロ スクード

住所:
東京都新宿区若葉1-1-19 1F
TEL:
03-6380-1922
アクセス:
東京メトロ四谷三丁目駅から4分
営業時間:
18:00~23:30(L.O.22:00)
定休日:
日曜日
支払い方法:
カード可 (JCB、AMEX、Diners)
URL:
https://www.osteriadelloscudo.net/

更新: 2019年3月15日

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