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なぜこんなにも南三は愛されるのか? 荒木町「南方中華料理 南三(ミナミ)」|サトタカの「行かねば損する東京の中華料理店」

中国料理に魅せられて、国内はもとより中国にも足繁く通って取材する中国料理探訪家・サトタカさん。“中国を食べ尽くす”プロに、今行くべき東京の中華料理店を教えてもらいます。

“名菜”ではない中華が新鮮! 力強い中国南方の味わいがここに

鮎のコンフィ 干鍋仕立て

2018年5月にオープンして以来、連日大盛況の「南方中華料理 南三(みなみ)」。ここのところ、予約は店が指定した日に電話のみ。受付日は人気アーティストのライブ予約の如く、ほぼ2時間で2か月先の全席が完売。最近は「予約が取れない」とボヤく声も聞こえてくる、超人気店がここだ。

料理は店主の水岡孝和さんが中華圏を旅し、食文化に魅了された湖南・雲南・台南という3つの「南」の味をベースにした創作。

いずれの地方の料理も、名菜として日本に古くから伝わったものではない。つまりマイナーな料理なわけだが、そこをうまく橋渡しするのが、水岡さんの脳内編集力。彼の手にかかれば、各地方単独では成し得ない、しかし実際にありそうな料理ができあがるのだ。

キッチンには常に自家製燻製がぶら下がる(左)。盛り付け中の水岡孝和オーナーシェフ(右)

たとえば人気の腸詰は、ベースはウイグルで、食感は台湾とフランスの技法を取り入れたハイブリッド。野菜炒めひとつとっても、中国南方や沖縄で食されるシダ科の野菜・オオタニワタリを、湖南式の燻製干し肉・腊肉と炒めるという台南+湖南のいいとこどり。

オオタニワタリと腊肉の炒めもの。

香りのしっかりした羊肉は、雲南テイストのニラミントソースで香り高く、かつ力強くまとめており、雲南省昆明市の市場に並ぶ山羊料理の味を彷彿させる。

コース料理は物語。ストーリーテラーが魅せる“食の旅”

中華シャルキュトリ盛り合わせ。

さらに、コース料理というストーリー作りがうまい。からすみやピータン、塩卵など、中華の珍味をひとひねりした前菜は出鼻から酒を呼び、そこに定番の中華シャルキュトリ盛り合わせが出た途端、皆がどっと沸く。

場が温まったところで、香ばしく軽やかな揚げものの到来に心躍り、ガツンと辛い煮込み料理に悶絶。肉や魚の登場で卓上は撮影会場と化し、〆は台南の屋台で定番のおこわ・油飯か、雲南省の米粉の麺・米線を使ったスープ麺。ほっと安らいだところで、最後は甘いものが待っている。

水岡シェフ

しかしなんだかんだ言ってもこの店で一番楽しみなのは、水岡シェフがニコニコしながら料理が生まれた背景を語ってくれるところだろう。

現地を旅し、体験したエピソードや、料理の創意工夫を聞いていると、さらに料理が深く楽しめるだけでなく、水岡さんその人の味わい深さを感じることができる。唯一無二の歩みがあるからこそ、誰もが真似できない料理が作れ、場が作れる。なぜ「南三」はこんなにも愛されるのか? やっぱり人、なんですねえ。

 サトタカ(佐藤貴子)

サトタカ(佐藤貴子)

食と旅を中心としたエディター、ライター、コーディネーター。大学卒業後、大手エンタテインメント企業で映像や音楽コンテンツの仕入、映画のPR等を務めた時、担当した映画監督が大の中華好きだったことから中華にハマる。
独立後、中華食材専門商社の小売向ECサイトの立ち上げと運営を通じて中華食材に精通。雑誌、会報誌、ウェブ等で中華に関する執筆多数。中華がわかるウェブマガジン『80C(ハオチー)』ディレクター。さまざまなテーマの中華食事会も企画する。

南方中華料理 南三

住所:
東京都新宿区荒木町10-14 伍番館ビル 2F B
TEL:
03-5361-8363
アクセス:
東京メトロ 四谷三丁目駅から4分
営業時間:
18:00~21:00(最終入店)
定休日:
日曜日・祝日
支払い方法:
カード可 (JCB、AMEX、Diners)
URL:
https://www.facebook.com/tokyoyeshi/

更新: 2019年2月8日

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