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肉を使わない中華料理。藤沢「fu-fu shisen(フーフー シセン)」|サトタカの「行かねば損する東京の中華料理店」

中国料理に魅せられて、国内はもとより中国にも足繁く通って取材する中国料理探訪家・サトタカさん。“中国を食べ尽くす”プロに、今行くべき東京の中華料理店を教えてもらいます。

えっ、イタリアン? 食べれば中華です。

のっけから私事で恐縮だが、年に2回、神奈川県の藤沢市にお墓参りに行っている。不謹慎と言われても仕方ないが、実のところ墓参りの後の一番の楽しみは、湘南エリアのレストランで食事をすることだったりする。

ところで連載5回目にして「東京の中華」というお題を覆すようだが、藤沢市は東京駅から普通列車で小一時間。都内まで通勤・通学されている方も多いだろう。

私のように休日に訪れる方は、駅で温かいコーヒーを買い、東海道本線のグリーン車に乗り込めば、ちょっとした旅気分を味わえること請け合い。紹介する店は「行かねば損する」いい店なので許してください。

さて、墓参り湘南族の私だが、これが毎年のことなので、レストランはワンパターンになりがちだ。そこに彗星の如く現れたのが、この「fu-fu shisen」。オーナーシェフの廣木臣尚(たかなお)さんは、以前「芝蘭」で働いていたという“ガチ四川”出身だ。

しかしこの店、外観、内観、料理までも、見た目はまったく中華っぽさがない。一見、カフェかイタリアン。合わせるお酒はワインも充実。そして、肉は一切使わない。

“ガチ四川”からの守破離。

では、なぜ“ガチ四川”がこうなったのか。そこには飲食業でサービス経験のある、奥様のみきさんの声がある。従来の中華は男性的な印象があるが、2人でやるなら、女性も気軽に楽しめる中華の店にしたかったのだ。

そこで後押しとなったのが、藤沢という地の利である。江の島近くの片瀬漁港では、日々新鮮な魚介が水揚げされ、市の北部では野菜の栽培もさかん。いっそ肉を使わずにやってみては……というアイデアが、夫であり料理人のクリエイティブ魂に火をつけた。

例えばイワシ。そのまま焼けば家庭の台所の味になるが、ここでは爽やかな芳香を持つ青花椒に、こぶみかんの葉を合わせて炙り焼き。軽やかでエキゾチックな中国南方風の味わいは、フルーティーな白ワインがよく進む。

また、小柴産のタチウオを軽やかに巻き、おいしい熱気をたっぷり“孕んだ”春巻は季節が薫る。軽やかに揚がった1本を、パリパリと崩しながらほおばって、また冷えた白ワインをぐびり。こうなれば、肉がないなんてことはどうでもよくなってくる。

創作は、縛りがあるからおもしろい。

思えば創作は、縛りがあるからよりおもしろくなるのかもしれない。ここには担担麺も餃子もあるが、“肉なし”の創意工夫は、食べておいしく、聞いて楽しい。

この日、カウンターで廣木夫妻と料理談義に花を咲かせ、あれこれ食べて店を後にするとき、次はどんな味に出合えるのか、わくわくしている自分がいた。私は次の彼岸を狙っているが、お近くの方はすぐにでもどうぞ。

 サトタカ(佐藤貴子)

サトタカ(佐藤貴子)

食と旅を中心としたエディター、ライター、コーディネーター。大学卒業後、大手エンタテインメント企業で映像や音楽コンテンツの仕入、映画のPR等を務めた時、担当した映画監督が大の中華好きだったことから中華にハマる。
独立後、中華食材専門商社の小売向ECサイトの立ち上げと運営を通じて中華食材に精通。雑誌、会報誌、ウェブ等で中華に関する執筆多数。中華がわかるウェブマガジン『80C(ハオチー)』ディレクター。さまざまなテーマの中華食事会も企画する。

fu-fu shisenフーフー シセン

住所:
神奈川県藤沢市鵠沼橘1-1-15 富洋ビル 1F
TEL:
0466-52-8080
アクセス:
東海道線、小田急線、江ノ電、湘南新宿ライン藤沢駅から285m
営業時間:
17:00~23:00
定休日:
月曜日
支払い方法:
カード可 (VISA、MASTER、JCB、AMEX、Diners)
URL:
https://fu-fu-shisen.business.site/

更新: 2019年1月16日

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