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見た目を裏切る美味しさ 白山「シチリア屋」| ハヤシコウの「行かねば損する東京のイタリアン」

日本人初のイタリア人! イタリア渡航歴24年。イタリアをライフワークに活躍するハヤシコウさん。自宅には醤油がない(つまり和食は食べない!)ほどイタリア料理好きなコウさんに、今行くべき東京のイタリアンを教えてもらいます。

わざわざでも行きたくなる店

ブルーの壁とお父さん手製の家具が印象的な「シチリア屋」の内観。

美味しそうな料理が美味しいとは限らない。 お店は、白山駅と春日駅の中ほどにあり、 どちらの駅からも徒歩10分ちょっとで、大きな通りをひとつ入った路地にある。 やや唐突な青い壁が印象的な店内には、シェフのお父さん手製のカウンターやテーブルが並んでいて、少々変わった形の木製テーブルが素っ気ない店内にアクセントを与えている。

シチリアを自転車で周ったシェフ

シチリアを自転車で知り尽くしたシェフの大下さん。

シェフの大下竜一さんは、イタリアで2度修業をしたそう。 フィレンツェでの修業の後、日本で働き、2度目の修業はシチリアへ。 シチリアで最初に働いたお店はすぐに辞めたそうだが、次を探さず、借りていたアパートのキッチンで独り、料理をしていたという。 その時に仲良くなった「エノテカ」の店主の紹介で、ミラッツォという港町のレストランで働くことに。

ミラッツォは、イタリア本土とシチリア島を繋ぐメッシーナに近い港町で、立派な城壁の残る旧市街と、港にはエオリエ諸島行きの船もあり、小さいながらもヨーロッパでは有名な観光地。 大下さんはこのミラッツォを拠点にしつつ、まとまった休みにはシチリアを自転車でぐるっと周り、土地の味を肌で感じたという (ちなみに、地中海最大のシチリア島は四国よりも大きくて、九州の約2/3程の大きさ)。自転車での移動は、道端での発見や会話を生む。 そんな経験から生まれる料理だからこそ、派手さはないが説得力のある美味しい料理になるんだろう。

レモンに旨みを感じるサラダ

いつかは大きな皿ごと食べてみたい「レモンのサラダ」

「シチリア屋」の料理には、見た目を裏切る美味しさがある。 先ずはつきだしの「レモンのサラダ」から。 見た目はスライスしたレモンに赤タマネギが刻まれているシンプルなもの。 タマネギを落とさないように慎重に口へ運ぶと、思っていた酸っぱさとはまったく異なるレモンの味。酸味はあるけれど、レモンをマリネしたことで味が凝縮されて旨みをしっかりと感じる。そういえば、イタリアのレモンって旨みがしっかりあるよなって思い出す料理(いつかは大きなお皿で目一杯食べてみたいヤツ)。

シチリアの香りがぎっしり詰まったお団子

シチリアの雑草のようなフィノキエットを使ったお団子。

今回の訪問でもっとも楽しみにしていたのは、前菜の「フィノキエット団子」。フェンネルの野草種で、結球しない種類のものをフィノキエットというのだけど、シチリアでは道端にわんさか生えている雑草のようなもの。日本ではあまり見かけないフィノキエットだけど、数年前から千葉の「エコファームアサノ」で栽培されている。この国産フィノキエットをパン粉、卵、チーズで団子にして、トマトで煮たものが「フィノキエット団子」。冷たい料理なので、運ばれた時にはそれほど香らないが、いざ口に入れると、フィノキエットの甘やかで爽やかな香りにびっくりする。断面を見ると、ほとんど草っていうくらいにみっちりとフィノキエットが! トマトもソースというよりペースト状なので、酸味は穏やかで旨みをしっかり感じる。爽やかな草の香りとトマトの旨み。見た目からは想像できない程に、充実感のある料理。道端に生えてる草を食べて感動するってあまりない経験。メインには、「羊肉のクスクス」があるというので迷わずそちらをいただく。クスクスは北アフリカや中東の料理としても有名だけど、シチリアのトラーパニやサルディーニャの料理として有名。イタリアっぽくない見た目だけど、見かけたらぜひ食べてもらいたい。

ワインももちろんシチリア産で

ワインはボトル3,000円から。料理はシチリアセット4,000円、おまかせコース6,500円。

ワインも素朴な中にシチリアらしさを。お店にはワインの専門スタッフはいないけれど、基本的にシチリア産のワインばかりなので、どれを選んでも料理との相性を大きく外すことはない。今回ボトルでオーダーした「COS」は、創業者3人の頭文字を取って名付けたワイナリーで、近年はアンフォラという容器で造られるワインメーカーとしても有名。今回の白ワインもワイン名のとおり、ピトス(アンフォラ)で熟成された白ワイン。グレコニカ種主体のワインで、とても引き締まった果実味と穏やかな酸が心地よい。飾り気なく素朴な味わいで、まさにシチリアのワインといった味。でもって、こうしたワインと一緒に食べたくなるのはやっぱりここ「シチリア屋」の料理。

お店を出る時にもう一度青い壁を見てほしい。入って来た時の印象とは違って、シチリアの海と空の色に重なるはずだから。

ハヤシコウ

ハヤシコウ

株式会社ミズコルビノデザイン 代表。多摩美術大学卒、都内イタリアン勤務の後、イタリアのマルケ州ウルビーノISAに留学。帰国後、都内ワインバー勤務の後、2005年ミズコルビノ・デザイン設立。24年にわたりイタリアと日本を往復する中で培ったイタリアへの造詣を生かし、東京のイタリアンを中心に国内外の店のロゴやマーク、内装デザイン、メニューの監修などを手掛ける。2018年、「サルメリア69」の新町賀信氏と共に一般社団法人おいしい生ハム普及協会設立。

シチリア屋(白山)

シチリア屋(白山)

住所:
文京区白山1-5-5 MC白山ビル1F
TEL:
03-5615-8713
アクセス:
都営三田線白山駅A1出口より徒歩7分、東京メトロ後楽園・都営三田線春日駅より徒歩8分、東京メトロ東大前駅より徒歩8分
営業時間:
18:00~22:00(土日はランチも12:00~)
定休日:
月曜日
支払い方法:
クレジットカード可(VISA、MASTER、AMEX)
URL:
http://www.sicilia-ya.com/

更新: 2018年12月19日

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