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技のデパート! 西麻布「麻布長江 口福筵」|サトタカの「行かねば損する東京の中華料理店」

中国料理に魅せられて、国内はもとより中国にも足繁く通って取材する中華料理探訪家・サトタカさん。“中国を食べ尽くす”プロに、今行くべき東京の中華料理店を教えてもらいます。

フレンチやイタリアンでは気が大きくなっても、中華だと躊躇してしまうあなたに

国内外の中華料理を紹介して、かれこれ17年ほどになるだろうか。いろんな方と一緒に卓を囲ませていただいているが、人によって「中華料理像のイメージ」とは、かくも違うものなのだなあと思う。

先日、そのことを改めて実感する出来事があった。名づけて「1万円事件」(仮称)である。グルメな女子を、とある中華にお誘いした。話はとんとん拍子に進んだが、金額の話で流れは一転。「中華に1万円払うなんてちょっと私にはナシです」と、バッサリ斬られてしまったのだ。1万円が高いというのではない。「中華に1万円は高い」のだ。イタリアンやフレンチには1万円払っても、中華にはない……。むむむと思い、もやもやもするが、そんな方におすすめしたい店が、今回ご紹介する「麻布長江 口福筵」だ。

麻布長江 香福筵

実力ある人材を多数輩出する名店が前身

田村亮介オーナーシェフ

こちらの料理はともかく楽しい。言い換えるなら、引き出しが多い。同店の前身は、「麻布長江」として長坂松夫氏が1997年に開いたレストラン。四川料理の伝統的な技術をベースに、あっと驚くオリジナリティを感じさせる料理に定評があった店だ。

その長坂氏から見込まれて店を譲り受けたのが、現在の「麻布長江 口福筵」田村亮介オーナーシェフ。伝統をベースに現代的なアプローチにチャレンジし、食後はしっかり中華に落とし込んでいるところに、そのルーツを感じさせる。

技のデパート! 引き出しの多さをコースで満喫

この店のポテンシャルを存分に楽しむなら、昼も夜もコースがおすすめ。

一皿目は、誰もが知っている定番中華を大胆にアレンジした「儚く消える麻婆豆腐」。ここ最近の定番のアミューズだ。

儚く消える麻婆豆腐

前菜は、日本の季節感と中華の技法を堪能できるワンプレート、名づけて「運気の上がる前菜盛り合わせ」。それぞれの料理は、緩やかな曲線を描く“登り龍”のイメージで盛り付けられ、このために有田に特注した皿と、互いを引き立て合う。

運気の上がる前菜盛り合わせ

汁物も仕事が冴える。青磁の器に湛えられているのは、素材の旨みを抽出し、飲むそばから身体の栄養となりそうな滋味深いスープ。季節やコースの価格によって食材は異なるが、キレのよい味わいが、次の料理へと心地よく橋渡ししてくれる。

秋ナスのスープ

また、従来の中華にはないプレゼンテーションも楽しい。田村シェフは和食やフレンチのシェフなどとも幅広く親交があるため、他に学んだ要素を見事に中華として昇華。定番の春巻もこの通り。

丹波山村の舞茸を巻き、栗を目の前で削り落とした秋の春巻

繊細な料理があるかと思えば、猛々しい四川味のパンチも容赦ない。香辣(シィァンラー)、すなわち香り高く辛い料理が登場すると、コースの流れがぐっと引き締まり、場も盛り上がる。

厚切りの豚ロースを、2種類の赤唐辛子と生の青唐辛子等をアクセントにした辛味ダレで。

コースはさらに麺またはごはん、デザートへと続くのだが、ご紹介したのはすべて休日の5,940円(税込)のランチコースの一部。夜のコースには、さらにめくるめく中華の世界が待っている。

人それぞれに新しい中華の感動を円卓で

振り返ってみれば、いろんな方をここにお連れした。昼どきに、旧友との会食や2~3人で軽く打ち合わせをしながら……なんてときは窓際の個室がいい。

個人的には、円卓の個室が2つあるのもうれしい。円卓は、その場にいる皆の声が届き、顔が見える素晴らしい装置。ビジネスでも友人同士でも、初めて会う人同士の会食でも、みんなでおいしさと楽しさを共有すれば一体感が生まれる。距離を縮めたい方がいれば、ぜひここで夜に円卓を囲もう。口福とともに、きっといい時間が過ごせるはずだ。

サトタカ(佐藤貴子)

RECOMMENDER サトタカ(佐藤貴子)

食と旅を中心としたエディター、ライター、コーディネーター。大学卒業後、大手エンタテインメント企業で映像や音楽コンテンツの仕入、映画のPR等を務めた時、担当した映画監督が大の中華好きだったことから中華にハマる。独立後、中華食材専門商社の小売向ECサイトの立ち上げと運営を通じて中華食材に精通。雑誌、会報誌、ウェブ等で中華に関する執筆多数。中華がわかるウェブマガジン『80C(ハオチー)』ディレクター。さまざまなテーマの中華食事会も企画する。

麻布長江 香福筵アザブチョウコウ コウフクエン

麻布長江 香福筵

住所:
東京都港区西麻布1-13-14
TEL:
03-3796-7835
アクセス:
東京メトロ 千代田線「乃木坂駅」5番出口より徒歩6分、東京メトロ日比谷線、都営地下鉄大江戸線「六本木駅」2番出口より徒歩8分
営業時間:
ランチ[火〜金]11:30〜14:30(L.O.14:30)、[土・日・祝日]12:00〜14:30(L.O.14:30)、ディナー18:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日:
月曜日
支払い方法:
クレジットカード可(AMEX、JCB、DINERSCLUB、VISA、MasterCard)
URL:
http://www.azabuchoko.jp/

更新: 2018年10月23日

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