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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品| 日比谷「morceau」 秋元さくらシェフ

グルメシーンを牽引するシェフが、料理を作るうえで欠かせない食材や道具を紹介する連載「シェフの必需品」。今回は、9月に11周年を迎えた日比谷のフレンチレストラン「morceau(モルソー)」の秋元さくらシェフの元へ。秋元シェフが必需品と語った道具は、シェフの料理と人への一途な愛を象徴するものでした。

非日常のフレンチにアットホームなエッセンスをプラス 「morceau」 秋元さくらシェフ

確かな技術に裏打ちされた料理と一流のサービスを持ち合わせながら、アットホームな心地いい時間が過ごせるフレンチレストラン「morceau(モルソー)」。メディアでも広く活躍する秋元さくらシェフの元へは、全国からお客様が訪れます。“転職”をして料理の世界に飛び込んだ秋元シェフの「morceau」が多くのお客様に支持されるのは、紛れもなく、シェフの絶え間ない努力とお客様への愛の賜物。プロとしての確固たる技術に愛情というスパイスをたっぷりと添えて、すべてのお客様を心を込めてもてなします。

大切な人の明日への活力になる、料理の力に魅せられて

秋元シェフが料理の道を志し始めたのは26歳の頃。大学を卒業してからそれまでの4年間は、日本航空でキャビンアテンダントの職に就いていました。当時はいわば、人並みの“料理好き”。しかし夫の一言が彼女の人生を大きく変えたと言います。「一生懸命作った料理をすごく喜んで食べてくれて。『これで明日も頑張れるよ』って言ってくれたんです」。自分の作ったものが誰かの明日の活力になるーー。そんな料理の力に惚れ、キャビンアテンダントのキャリアを手放し辻調理師専門学校に通い始めた秋元シェフ。卒業後は新宿「カフェ モンド」で修業を積み、さらに白金「AU GAMIN DE TOKIO(オー・ギャマン・ド・トキオ)」の木下威征シェフに師事します。寝る間も惜しんで料理に打ち込み、2009年に目黒に「morceau」をオープン。2018年には東京ミッドタウン日比谷の開業と同時にその2階へ移転。2020年9月18日に11周年を迎えました。

一途に貫く、料理と人への愛

「『すごい転職だよね』とよく言われるのですが、目の前の人を喜ばせたい、心地のいい時間を過ごしてもらいたいという気持ちに、前職の頃から何らブレはありません。おもてなしの一つの形として、料理があるだけです」と、秋元シェフ。料理人を目指すきっかけが、最も身近な人が喜ぶ姿だったシェフは、当初、大皿を家族みんなで囲むイタリアのマンマの料理に憧れていました。しかし専門学校時代、季節や食材の魅力を繊細に表現する調理技術、美しい盛り付けやそのエスプリに感銘を受けてフレンチの世界へ。それでも、根っこにあるものはいつだって揺らぎません。「カテゴリで言えばフレンチですが、格式張った近寄りがたい店ではなく、アットホームな場でありホッとできる料理を提供したい」と語るシェフの言葉はとても力強く、また温もりに溢れています。

もちろん、味や技術が確かであることは大前提。その上で、「愛情に勝るスパイスはない」という師・木下シェフの教えや、親交の深い先輩料理人たちの姿や言葉一つ一つをとても大切にしていると、秋元シェフは語ります。料理家・栗原はるみさんからは、家族のために毎日作る食事と同じように、すべてのお客さまに対して継続的に愛を注ぐ心意気を、一方で恵比寿の人気和食店「賛否両論」の笠原将弘シェフがかけてくれたのは「お母さんの味はたまに塩っぱい、たまに酸っぱい、だから飽きない。けれど、プロはいつでも完璧に美味しくなければならない」という言葉。だからこそ、親しみやすさの中にも、プロとしての絶対的な差を表現できるよう、常に自らの料理と向き合っていると言います。「一般論としてではなく、自分に向けてかけてくださった言葉は本当に心に響きますし、とても意味があるもの。どれも大切にしています」。シェフにとって料理は、お客様をもてなす時も自らが学ぶ時も、ただ優れた味や技術に価値があるのではなく、それを通して得られる人との絆を何より大切にしているように感じられます。

「morceau」秋元さくらシェフの必需品 19cmのテフロンパン

そんな、料理とお客様への一途な愛を象徴する、秋元シェフのスペシャリテがオムレツ。必需品は、そのオムレツ作りに欠かせない「19cmのテフロンパン」です。シェフ曰く「現場での修業を始めた頃、一番苦労したのがオムレツ作りでした」。どう頑張っても、トロトロふわふわ、表面がつるんとしたオムレツが作れず、毎日50個以上の卵を使って何度も何度も巻き続けたと言います。なんとか形になったと自分で思えた頃には、当時のヘッドシェフから「さくらちゃんが一番オムレツ作りが上手だから任せるよ」と言われるまでに。「自分の“武器”ができて嬉しかったですね。自分の店でも絶対にメニューに入れたかった料理の一つです」。

まさに卵料理は、非常に身近な存在。そして日常的であるがゆえに、プロの技が問われるものです。上手くオムレツを作るコツは、卵の数に合ったフライパンを使うことだと語るシェフは、店のオープンから約12年、ずっと19cmのテフロンパンを使い続けていると言います。「面が広すぎると卵が流れてしまい高さが出ず、すぐに火が入ってしまって硬くなってしまいます。3〜4個分の卵を使うオムレツにはこのサイズがベスト」。テフロンが剥がれては買い替え、そのサイクルはなんと持って1ヶ月! もう何百台を共にしてきたシェフの相棒なのです。

料理、そして人への揺るぎない愛情を強く感じる、秋元シェフの言葉の数々。後編の「足跡レストラン」では、必需品を使って作るスペシャリテのオムレツと供に、シェフが料理やサービスに懸ける想いに迫ります。

morceauモルソー

住所:
東京都千代田区有楽町1-1-2
東京ミッドタウン日比谷 2F
TEL:
03-6550-8761
アクセス:
東京メトロ千代田線・日比谷線、都営地下鉄三田線 日比谷駅直結
営業時間:
ランチ 11:00〜15:00(L.O.14:00)/ディナー 18:00〜23:00(L.O.22:30)
定休日:
なし
支払い方法:
クレジットカード可(JCB、AMEX、VISA、MASTER、Diners)
URL:
http://morceau.pinoko.jp/

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

更新: 2020年10月20日

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