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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品| 芝公園「イタリア料理 樋渡」 原耕平

グルメシーンを牽引するシェフが、料理を作るうえで欠かせない食材や道具を紹介する連載「シェフの必需品」。2020年を迎え最初に必需品を伺いに訪れたのは、2019年10月にオープンしたばかりの「イタリア料理 樋渡(ひわたし)」。多くの人を惹きつける原耕平(はら こうへい)オーナーシェフの朗らかな人柄の裏側には、確かな美味しさのイタリア料理とそこに懸けた熱き料理人魂がありました。

“イタリアンが食べたい!”を満たすレストラン「イタリア料理 樋渡」 原 耕平シェフ

令和元年10月1日、東京・芝公園にオープンした「イタリア料理 樋渡」。まるで和食店のような店名は、原耕平オーナーシェフの家に代々受け継がれてきた屋号から。「純粋に“料理”を楽しむことを目的とした“レストラン”でありたい」と、アルコールが苦手な人も大歓迎だと笑顔で語る原シェフ。だからこそ最高にいい料理が提供できるよう、事前予約のコースディナーのみに絞り、万全の準備を整えてお客様を迎えます。日本の食材を積極的に使用しつつ「イタリア人のお客様がいらしても絶対に満足していただける、イタリア料理として自信のあるものしか提供しません」と断言するシェフからは、日本の食材とその生産者、そしてイタリア料理への心からのリスペクトが伝わってきます。

イタリア料理一筋。気づけば自分にとって当たり前の存在に

「25歳でイタリアに行って35歳までに独立すると決めていました。目標がないと、ダラダラしちゃうタイプなんです(笑)」。常に明るい笑顔で話す姿とは裏腹に、18歳で立てたというその人生設計を現実のものとすべく、服部栄養専門学校在学中から麻布十番のイタリアンレストラン「ラ・コメータ」で毎晩遅くまでアルバイトをし、経験を積んできたという原シェフ。卒業後には同店へ就職。その後、今はなき表参道の人気イタリアン「フェリチタ」で岡谷文雄総料理長に師事します。人生設計に従い25歳で単身イタリアへ渡り、1年間の修業を経て帰国した後、「再び岡谷シェフのもとで学びたい」と岡谷シェフが独立して立ち上げた「ロッシ」(麹町)へ。

「初めはただ漠然と、和食より海外の料理に憧れを持っていただけだったんですけどね。続けているうちにいつしか僕にとって、料理=イタリアンが当たり前になっていました」。料理人人生、イタリアン一筋。33歳となった昨年、満をじして、「イタリア料理 樋渡」をオープンしました。

最高の料理を提供できる環境をつくる

「樋渡」の料理は、原則として事前予約制のディナーコースのみ。「ふらっと来たり、その場でアラカルトかコースかを選んだりできないことは、お客様にとっては少し制限になってしまうかもしれません。ただ今までの経験から、前もって来店時間や人数がわかった上で、すべてを準備をしてご提供する料理と、出るか出ないかわからなくても準備できる料理とでは、同じ値段でも絶対的にクオリティが違うと感じてきました」。予め来店がわかっていれば、その日にいちばん美味しい食材を仕入れたり、生パスタを仕込んだりできる。時間に合わせて肉の温度を最適に戻しておけば、最高に美味しくキレイに焼くことができる……。「料理人として最高の状態で料理を味わってほしいからこそ、そこだけは貫かせていただいています」。そう力強く語る姿に表れる、原シェフのイタリア料理への愛。ただそれ以外の部分では、できるだけ制限を作りたくないといいます。「一人でも多くの人に、純粋に美味しい食事を楽しんでほしい。アルコールを飲むかどうかやスタート時間などは、お客様の自由です」。

「イタリア料理 樋渡」原耕平シェフの必需品 親友が育てる米

そんな原シェフが一つ目の必需品として、少し照れくさそうに持ってきてくれたのが、魚沼産コシヒカリの米袋。そこには生産者である高橋英人さんの名前が刻まれています。「英人は僕の親友です。この米は、彼が作っています」。二人の出会いは専門学校時代。その後、実家の農家を継いだ高橋さんの米を、シェフは20歳の頃からずっと食べてきたといいます。「炊きあがった時、甘い甘い、本当にいい香りがするんです。お金に苦労した頃も、いつも英人が米を送ってくれて。自分の店を開いたら、絶対にこの米を使いたかった」。人生を支えられたと、目の前の米を見つめる原シェフ。

高橋さんの米の特徴は、非常に小粒であること。さらに、1年を通して新米のみずみずしさを常にキープしているため、水分量の調節などが必要ないのだそう。「イタリアンといえばオリーブオイルやチーズなど、イタリアならでは食材が重宝されるかもしれませんが、僕にとっては高橋英人の“日本米”こそ、どんなものよりも欠かせない食材です」。

自由自在に熱を操ることができる、サラマンダー

もう一つの必需品は、上火式の調理器具「サラマンダー」。通常は、グラタンやドリアなどの仕上げに焦げ目をつけるために使われるものです。原シェフはこれを、コンベクションオーブンの代わりに、肉をローストする時に使用します。「正直、みんなもっと使えばいいのにと思っています(笑)」。

三段階の火加減と、熱源と食材との距離をコントロールすることで、細かな温度調整が可能に。「僕は低温でじっくり火を通していく使い方が多いのですが、高温にして近づけて一気に加熱したり、電源を切って保温状態を作ったりすることもできます。オーブンだといちいち扉を開けなければなりませんし、急に庫内の温度を変えることはできないでしょう? でも、これならいつでも見えますし、お客様のペースを確認しながら火入れを自由自在に調整できる」。何より、四方八方から熱を加えるオーブンと異なり、食材に負担なく火を通すことができるといいます。「料理をもっとも美味しい状態でお客さまのものとへお出しするためにも、欠かせない道具です」。

次回、「足跡レストラン」では、親友・高橋秀人さんの米を使ったシェフ渾身のリゾットや、サラマンダーで焼いたメインディッシュを紹介しながら、原シェフが考えるイタリア料理と日本食材との在り方に迫ります。

イタリア料理 樋渡

イタリア料理 樋渡

住所:
東京都港区芝2-15-4
TEL:
03-6809-3037
アクセス:
JR浜松町駅、都営大江戸線大門駅より徒歩10分、都営三田線芝公園駅より徒歩7分
営業時間:
火〜土 17:30〜23:00 / 日 12:00~18:00(アラカルトのみ)
定休日:
月曜日
支払い方法:
クレジットカード可(JCB、AMEX、VISA、MASTER、Diners)

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

更新: 2020年1月23日

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