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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|銀座「SPICE LAB TOKYO(スパイスラボトーキョー)」 テジャス・ソヴァニ

グルメシーンを牽引するシェフが、料理を作るうえで欠かせない食材や道具を紹介する連載「シェフの必需品」。今回は、11月にオープンした日本初のモダン・インディアンキュイジーヌ「SPICE LAB TOKYO」を訪れ、総料理長のTejas Sovani(テジャス・ソヴァニ)シェフに必需品を紹介していただきました。

「GICROS GINZA GEMS」にオープン! 最先端のインド料理「SPICE LAB TOKYO」 テジャス・ソヴァニシェフ

2019年11月に誕生した、新たな銀座のランドマーク「GICROS GINZA GEMS(ジクロス ギンザ ジェムズ)」。その10階に、注目のレストランがオープンしました。それがモダン・インディアンキュイジーヌ「SPICE LAB TOKYO(スパイスラボトーキョー)」です。モダン・インディアンキュイジーヌとは、2010年頃にインドのホテルで始まったといわれる新しいインド料理のスタイルのこと。伝統的なインド料理をベースに、趣向を凝らしたビジュアルやガストロノミックな品々が楽しめるとして、インドで人気を博し、すでにロンドンやニューヨークでは展開されています。「スパイスラボトーキョー」は、長きにわたり「インド料理=カレー」で止まっている日本人の既成概念を覆す、インド料理の今=“Real India, now”が体感できるレストランです。

日本とインドの料理には、通ずるものがある

総料理長のソヴァニシェフは、弱冠34歳ながらもインドのラグジュアリーホテル「The Oberoi」 や「AMAN」で副総料理長を務め、コペンハーゲンの「noma」での修業経験をも持つ実力者。国内初のモダン・インディアンキュイジーヌの担い手として日本にやってきました。

日本料理では焼き鳥が好きだと話してくれたシェフにその理由を聞いてみると、「身はもちろん、皮から内臓、骨にいたるまで、食材を余すことなく使い切るという考え方は、インド料理に通ずるものがあるからです」という答えが。また、旬を大切にするところも日本料理とインド料理の共通点だと語ります。

「SPICE LAB TOKYO」は“インド料理の今”をプレゼンテーションする場

シェフは、「スパイスラボトーキョーは、インド料理のプレゼンテーションのステージ」と語ります。「“日本人がまだ知らない新たなインド料理”としてモダン・インディアンキュイジーヌを掲げる以上、オリジナリティで溢れた驚きをたくさん提供したい」とも。

しかし、あくまで「インド料理であること」が根底にあるというソヴァニシェフ。アーユルヴェーダの思想やインドの伝統的な調理法に基づいた料理に日本の食材と現代的なテイストを合わせていくのだそう。特にスパイスの魅力を表現することと、その時季に食べるべき食材を取り入れることに力を入れています。インドでは元来、スパイスや食材は身体を冷やしたり温めたりするためのものという考え方があるからです。スパイスが持つ甘み、酸味、塩味、苦味、辛味、渋味そして旨みといった味はもちろん、香り、彩り、テクスチャーを駆使し、旬の食材の美味しさを最大限に引き出します。

「SPICE LAB TOKYO」ソヴァニシェフの必需品 特注のタンドール窯

そんなソヴァニシェフの一つ目の必需品は、シェフが重んじる「伝統」を象徴するもの。特注のタンドール窯です。シェフに連れられて厨房に入ると、調理台の並びに直径30cmほどの穴が。厨房の中に深い窯が埋め込まれた光景は、インド料理レストランならではといえるでしょう。しかし、タンドール料理は技術と経験が必要とされるうえ、つきっきりで焼くという手間がかかるため日本のインド料理専門店では提供しない店も少なくありません。それでもソヴァニシェフは、インドの伝統料理には欠かせないと語ります。鉄や陶器製の窯もありますが、「スパイスラボトーキョー」ではクレイコート(粘土製)を採用。通常よりオイルを控えた「スパイスラボ」のクルチャ(インドのパン)もしっかりと側面にくっつくのだそう。窯の中の温度は300〜350度。食材や仕上げ方に合わせて食材を入れる場所や時間などを変え、火加減をコントロールするのはまさに職人技。タンドール料理にはインド料理人の伝統技術が凝縮され、オーブンでは決して再現できない美味しさがあるといいます。

味に丸みを生み出すストレーナー

もう一つの必需品として見せてくれたのは、ストレーナーです。各種ソースやピューレを濾す時のほか、インド料理の代表的なトマトスープ「ラッサム」の「スパイスラボトーキョー」バージョンを作る際にはフィルターを敷いて使うなど、さまざまな料理に活用しているのだそう。「どの料理に使う時も、こうしてひたすら手作業で濾していきます。とても手間はかかりますが、舌触りが滑らかになったり、味に丸みが出たりと仕上がりがまるで変わります。最低でも2、3度は濾すことで、スパイスも程よくブレンドされ、キメが細かく軽い口当たりになります」。このような一つ一つの丁寧な調理が、日本人がまだ知らない新たなインド料理の世界を作り上げ、私たちを楽しませてくれます。

タンドールで焼いたラムと4種のクルチャ、チキンビリヤニ

チキンビリヤニと、タンドールで焼いたクルチャはバターチキン、ネギとカニ、ウニ、プレーン。24時間以上煮こんだ豆の煮込みやヨーグルトソースを添えて。

「ロイヤリティ」は、これらの必需品を使った料理の一つです。肉、パン、米、野菜を一緒に食べるというインドの定番の食事スタイルを、「王族」をテーマに気品高く仕上げた一品。タンドリーラム、ウニやカニなどを使った4種のクルチャ、ヨーグルトやスパイスと一晩漬け込んだチキンを、バラの花びらなどのスパイスを一晩漬けて香りやエッセンスを取り込んだ水で一緒に炊き込んだ米料理・ビリヤニを合わせました。

インドでは必ず中までしっかりと火を通すラムを、ソヴァニシェフはタンドール窯でミディアムレアに。焼き時間や入れる場所を変えながら試行錯誤を繰り返し、絶妙な焼き加減を導き出したといいます。香ばしく、ステーキのようにしっとりと柔らかい食感のラムは、滑らかに仕上げた2種のソース、ホウレンソウのガーリックソテーとビーツのピクルスとともに。日本の食材を組み合わせた焼きたてのクルチャ、華やかなスパイスの香りと鶏の旨みが凝縮した繊細な仕上がりのビリヤニは、肉と一緒に食べるのはもちろん、シメとしても楽しめます。インドの伝統的な食に新たなエッセンスが加わったオリジナルの一品です。

次回「足跡レストラン」では、同店のシグネチャーコース、「インチャンテイング スパイス」をご紹介しながら、ソヴァニシェフによる最先端のインド料理のプレゼンテーションの続きをお伝えします。

SPICE LAB TOKYOスパイスラボトーキョー

住所:
東京都中央区銀座6-4-3 GICROS GINZA GEMS 10F
TEL:
03-6274-6821
アクセス:
東京メトロ銀座線、丸ノ内線、日比谷線銀座駅 C3出口より徒歩2分
営業時間:
ランチ11:30〜15:00(L.O.14:30)/ ディナー 18:00〜22:30(L.O.21:00)
定休日:
年中無休
支払い方法:
クレジットカード可(JCB、AMEX、VISA、MASTER、 Diners)

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

更新: 2019年12月19日

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