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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品| 駒沢大学|「IL GiOTTO(イル・ジョット)」高橋直史

グルメシーンを牽引するシェフが、料理を作るうえで欠かせない食材や道具を紹介する連載「シェフの必需品」。今回訪れたのは、駒沢公園通りで17年にわたり愛され続けるイタリアン「IL GiOTTO」です。高橋直史(たかはし なおふみ)シェフの必需品は、スペシャリテのメイン食材である「肉」。その裏には、信頼を寄せる精肉店との熱いエピソードがありました。

都心に負けない美味しさを駒沢の住宅街で 「IL GiOTTO」 高橋直史シェフ

「都心からも駅からも少し離れた、“わざわざ”足を運んでくれるような場所で店を開きたかった」との高橋シェフの言葉どおり、「IL GiOTTO」は田園都市線駒沢大学駅から歩いて15分ほどのところにあります。それは、都会の喧騒を忘れ、シェフの自宅に招かれたような感覚で、料理を味わってほしいから。スペシャリテである肉の炭火焼きをはじめ、前菜、自家製パスタなど、料理はお客様が好きなものを選べるよう、全てアラカルトで提供。アットホームな空間で、一等地の高級レストランをも凌ぐ、絶品のイタリアンに出合うことができます。

駒沢に根付いて17年

「たとえば、エビとルッコラだけの前菜、炭火で焼いた牛肉に揚げたジャガイモを付け合わせただけのメインなど、2、3品の食材で構成する、シンプルな料理を心がけています」。自身の料理をそう語る、高橋シェフ。その原点は、イタリアでの修業時代にあるといいます。「もともと、いろんな要素を盛り込んだ料理は自分らしくないなと思っていたのですが、イタリアにいた頃、友人のお母さんやおばあちゃんがチャチャッと作ってくれた何気ない食事がとにかく美味しくて。裏の農家さんの自家製サラミなんて、それとワインさえあれば十分というくらい、ごちそうでした!」。

原点は、イタリアで食べた家庭の味

「素材を活かしたシンプルな料理だからこそ、食材選びや、それを仕入れる業者との信頼関係が何より重要」というのが、高橋シェフの考えです。今回、シェフが必需品として紹介してくれたのは、滋賀県の精肉店「サカエヤ」から仕入れる肉と、それを保管するための「冷蔵庫」。しかしその本質は、「サカエヤ」の代表・新保吉伸(にいほ よしのぶ)氏との間に結ばれた、固い絆でした。

「IL GiOTTO」高橋シェフの必需品とは?

取材に訪れた時、厨房には巨大なダンボール箱がありました。「ちょうど、さっき届いたばかりです」。箱の中から出てきたのは、「サカエヤ」から仕入れた「ドライエージングビーフ(=熟成肉)」。「今日の肉は、鹿児島県産の経産牛です。岡山県のブラウンスイスという乳牛の時もありますし、エージングしていないフレッシュの近江牛なども仕入れています」。さまざまな料理に使う「サカエヤ」の肉が、高橋シェフの一つ目の必需品です。

「サカエヤ」の肉

ドライエージングビーフは、鮮やかな赤色ではなく、カビで覆われた黒い色が印象的。

「サカエヤ」の新保氏は、ドライエージングの第一人者といえる人物。出会ったのは約10年前、友人のホームパーティーでのことだったといいます。「まだ新保さんの熟成肉が世に出回っていなかった頃です。カビだらけの肉の塊を見た時は、正直『こんなもの食べられるのかな』と思いましたよ(笑)。初めて食べて、その美味しさに驚きましたね」。ドライエージング技術のことを「手当て」と呼ぶ新保氏。A5ランクの牛やブランド和牛ではなく、精肉としては一般流通しない経産牛や乳牛などに「手当て」を施し旨みをのせることによって、新たな価値を生み出しています。

その中から、産地や品種など、どんな牛肉が届くかは、全て新保氏に任せているという高橋シェフ。料理人の調理法や人となりを知った上で、店に最適な肉を選ぶ新保氏に、絶対的な信頼を寄せているのだそう。「新保さんは、月に1回はここに食事をしに来ます。僕の料理を自分で確かめるために。そんな業者さんいませんよ。店と、本気で向き合ってくれているんです。日本各地へ一緒に旅もしますし、僕のことも理解してくれています。だから全て、お任せです」。

「サカエヤ」と同じ環境の冷蔵庫

厨房のすぐそばには、大きな肉の塊が入った冷蔵庫が。二つ目の必需品です。「新保さんは、サシの量や味で僕の料理に合う肉を選んでくれるだけでなく、大型店ではないうちが少しずつ使っても常にその美味しさが楽しめるよう、肉質を手当てして仕上げてくれます」。新保さんから届いた肉をいい状態で保つための環境が、この冷蔵庫です。庫内には、種菌の役割を果たす1年ほどエージングをかけた牛のもも肉を。それが微生物が常駐する状態を保ってくれます。「サカエヤ」の冷蔵庫と同じ環境を作ることで、肉が腐敗しにくくなるのだそう。

新保氏とは、互いに高め合う存在だと語る高橋シェフ。次回「足跡レストラン」では、「サカエヤ」の肉の魅力を最大限に引き出す、高橋シェフ渾身の料理をお伝えします。

IL GiOTTOイル・ジョット

IL GiOTTO

住所:
世田谷区駒沢5-21-9
TEL:
03-6805-9229
アクセス:
田園都市線 駒沢大学駅より徒歩約15分
営業時間:
18:00~24:00(L.O.22:30)
定休日:
火曜日、不定休
支払い方法:
クレジットカード可(JCB / AMEX / VISA / MASTER / Diners)

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

更新: 2019年9月19日

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