fbpx

PEOPLE

食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|外苑前|「An Di(アンディ)」内藤 千博

グルメシーンを牽引するシェフが、料理を作るうえで欠かせない食材や道具を紹介する連載「シェフの必需品」。今回の主役は、選び抜かれたワインとモダンなベトナム料理のマリアージュが味わえる、外苑前「An Di(アンディ)」の料理長・内藤千博(ないとう ちひろ)シェフです。元フランス料理人である内藤シェフが日本の食材を使って目指すベトナム料理の姿を、必需品を通して探ります。

モダンベトナミーズ・レストラン「An Di」 内藤 千博シェフ

外苑前駅から徒歩5分。日本を代表するソムリエ・大越 基裕(おおこし もとひろ)氏がオーナーを務める「An Di」は、豊富な種類のワインとベトナム料理とのマリアージュが楽しめるレストランです。料理長・内藤シェフが作る料理は「モダンベトナミーズ」と称され、日本の食材を使ったり、ベトナム料理には珍しいコース料理を提供したりと、新たなスタイルのベトナム料理を味わうことができます。

ソムリエとフレンチシェフが意気投合して生まれた最強タッグ

調理師学校を卒業後、レストランやケータリングサービスなどを手がける西麻布の「サイタブリア」に入社した内藤シェフ。同社が経営するフレンチの名店「レフェルヴェソンス」で才能を発揮し、スーシェフにまで登りつめます。そこで出会ったのが「An Di」のオーナーであり、当時「レフェルヴェソンス」のワインを監修していたソムリエ・大越さんでした。ワインと相性のいいベトナム料理を軸に、それらのマリアージュを楽しめる場を作りたいという彼のビジョンと、内藤シェフが抱いていたアジアの食文化への探究心が出会い、ふたりは意気投合。2018年に「An Di」料理長の就任に至りました。

日本の食材×フレンチの技で再構築するベトナム料理「An Di」

フレンチの料理人であった内藤シェフですが、ベトナム料理には自然に溶け込んでいったと話します。「もともとエスニック料理には興味がありました。それにベトナムはフランスの植民地だったので、フレンチの流れを汲むところがある気がするんです。オーナーと店の構想を話している中で『やってみたい』と思うことがたくさん浮かんできて、楽しく作ってますよ」。

その中でも変わらず大切にしているのは「レフェルヴェソンス」の生江史伸(なまえ  しのぶ)シェフから学んだ食材への向き合い方です。「それ以前は、クリックひとつで食材が届くことが当たり前だと思っていた」と、内藤シェフ。実際に農園や加工現場に足を運び、数え切れないほどの工程を経て食材が作られることを知ってから、見方が変わったといいます。「この人が作ったものを使いたい」と、強く思うように……。

内藤シェフは、ただおいしいオーソドックスなベトナム料理ではなく、それら日本の食材とフレンチの技法による「ベトナム料理の再構築」を目指しています。

内藤シェフの必需品とは?

そのための必需品として教えてくれたのが、まさに日本ならではの食材といえる日本茶と、サンダー・キャッツ氏の発酵にまつわる著書の数々です。

福岡県・八女「星野製茶園」の茶葉

「うちの生命線です(笑)」と、福岡県・八女の「星野製茶園」の茶葉を手に微笑む内藤シェフ。“生命線”と呼ぶ理由は、「An di」のシグネチャーディッシュである「ティーリーフサラダ」に欠かせない食材であるから。日本茶の産地では、お茶の出がらしを食べる文化があると聞いて「ぜひ取り入れたい」と、食べて美味しい茶葉を探して出会ったのが「星野製茶園」でした。「An Di」では、季節ごとに煎茶やほうじ茶を4〜5日ほど自然発酵させて使っています。

「今はコースの初めとアラカルトで提供している『ティーリーフサラダ』にしか使っていませんが、今後は、食後のドリンクやデザートにも取り入れたいですね。“お茶で始まり、お茶で終わる”という流れが作れたらおもしろいなって」。ベトナム料理を日本の食材で“再構築”する、その構想を膨らませています。

「発酵」の権威、サンダーキャッツ氏の著書

茶葉に限らず、発酵の技法を多く料理に取り入れている内藤シェフの愛読書が、発酵の第一人者であるサンダー・キャッツ氏の著書です。発酵に興味を持ち始めたのも「レフェルヴェソンス」の生江シェフの影響だそう。「当時は、酢やぬか漬けを作ったり、はちみつも発酵させたりしていました。発酵は、料理の幅を広げてくれます」。今回見せてくれた3冊の中でも、まるで論文のように小さな文字で書かれた『発酵の技法』には、発酵に関わる情報が盛りだくさん。バリエーション豊かな発酵方法とそのトラブルシューティング、レシピにいたるまでが網羅されています。「理論だけが書かれているのではなく、全て彼の実体験に基づいて綴られているんです。信頼できるし、すんなりと入ってくる。新しい料理を考える時のヒントに使っています」。「An Di」でも、鮎と塩を使った魚醤造りに取り組んでいます。

日本の食材とフレンチの技から生まれるモダンベトナミーズとは一体どんな料理なのでしょう? ふたつの必需品を取り入れた『ティーリーフサラダ』など料理の全貌は、次回「足跡レストラン」でご紹介します。

An Diアンディ

An Di

住所:
東京都渋谷区神宮前3-42-12-1F
TEL:
03-6447-5447
アクセス:
東京メトロ銀座線 外苑前駅 3番出口より徒歩5分
営業時間:
土・日 12:00〜13:30(L.O.)、18:00-22:00(L.O)  火〜日 18:00〜23:00(L.O.)
定休日:
月曜日、その他不定休あり
支払い方法:
クレジットカード可(VISA / MASTER / AMEX / Diners / JCB)
URL:
http://andivietnamese.com/

写真・安野 敦洋 文・山本 愛理

更新: 2019年4月4日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop