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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|富山県魚津市|「hamadaya LABO(ハマダヤ ラボ)」浜多雄太

グルメシーンを牽引するシェフが、料理を作るうえで欠かせない食材や道具を紹介する連載「シェフの必需品」。今回、訪ねたのは、富山県魚津市にある和食ビストロ「hamadaya LABO」。富山県東部の港町「魚津市」は、北陸新幹線「富山駅」から在来線を使い20分ほどの距離。立山連峰から富山湾の高低差3,400mの急峻な地形にあるため、その水循環により海山の豊かな恵を受けています。「hamadaya LABO」料理長の浜多(はまだ)雄太さんは、名誉利き酒師の資格をもち、日本酒×地方料理で、和食の魅力を伝えています。日本酒を追いかけるようになったきっかけや、地方料理人としての想いを語ってくれました。

地元・魚津で、日本酒を知り楽しんでもらうための店をオープン

「父が料理人だったので。他にやりたいこともなかったし、ごく当たり前のように、料理の道に進みました」と浜多さん。和食を選んだ理由も「特にないです」と言うほど、和食の料理人としての道を歩むのは、自然なことでした。

高校を卒業後に、東京の和食店で6年間修業したのち、地元、魚津に戻り、2011年に居酒屋「浜多屋」、2015年に同店の2階に「hamadaya LABO」をオープンさせます。どちらも、料理とともに日本酒を知り、楽しんでもらうことを目的とした店。「hamadaya LABO」では、富山の酒蔵や各地の銘酒の他、フレーバー日本酒や古酒などの珍しい日本酒も取り揃え、中には、浜田さん自らが酒造に携わった日本酒もあるそうです。

最年少で「名誉唎酒師」に

実は、浜多さんは全国でも36名しかいない、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会認定「名誉唎酒師」の一人であり、最年少取得者です。

日本酒に興味を持ったきっかけは、修業時代でした。修業していた和食店で、ファンがつくほど重宝されている利き酒師の姿を見て、「お酒を素敵に出せれば、料理もよりおいしくなるんだ」ということに気付き、勉強するようになったそうです。その過程で「日本酒の魅力や伝統を守り、多くの人に伝えたい」という想いが芽生えていきました。

現在では、店でだけでなく、富山県のアンテナショップ「日本橋とやま館」等のイベントに登壇して、日本酒の素晴らしさを伝えることもあります。

本来あるべき日本酒の姿を追いかけたい

「最近、もともとあった日本酒がなくってきているような気がするんです。というのも、白ワインのような日本酒が美味しいという風潮が強くなってきて、中には、そういった風味にするために、本来必要のないものが添加されているものもあって。だから僕は、本来あるべき日本酒の姿とか、作るべき日本酒を追いかけたいと思っています」と浜多さん。

しかし、“フレンチと白ワインのような日本酒”というスタイルの人気が高まったことをきっかけに、「あえて和食に足りないものがあるとしたら何だろう?」と考えるようになったと言います。そこで浜田さんが出した答えが「フレーバー」。そして、本当に良い日本酒を多くの人に伝えたい、料理と日本酒をよりベストな組み合わせで提案したい、という想いから、和食以外の料理も学ぶようになりました。いろいろなシェフのところで勉強し、また、フレンチやイタリアンのレストランへ積極的に足を運んだそうです。

地元の食材や食文化に目を向ける“地方料理人”としての道

「ただ、なんちゃって創作料理になってしまうのはすごくイヤで、じゃあどうしたらいいんだろうと思っていたときに出会ったのが、今では僕が一番、大大大尊敬している富山のフレンチレストラン『レヴォ』の谷口英司シェフでした。研修も何度か参加させてもらったんですけど、谷口シェフは作る料理を前衛的地方料理と謳っていて、作っているのはフレンチなんですけど、実際は、その枠を超えた“地方料理”なんですよ。それに感銘を受けました。そこから、自分のスタイルで大切なのは、とにかく地元の食材や食文化に目を向けることだと気が付いたんです。そこで、和食をベースにしながら、例えば、ドレッシングにしてもイタリアンっぽいものを入れてみたり、お酒に八角、ソースにクミンを入れてみたりと、最終的な着地点を考えながらも自分流のフレーバーをプラスし、枠にとらわれず、お酒と地元の食材を楽しんでもらうための料理を作れるようになりました」

浜多さんの必需品、釋永岳さんの器

そんな浜多さんの料理を生み出すモチベーションの1つになっている必需品が、富山県出身で現在、古い町並みが残る富山市岩瀬町で活動する陶芸家、釋永岳(しゃくなが がく)さんの器です。谷口英司シェフを通して知り、その存在を一目見た瞬間にビビッときて、すぐに連絡をしたのだとか。

「重厚感というか、見た瞬間に岳さんの作品だとわかるんですよ。あの人じゃないと作れないんです。これなんかレザーなのかなって思う質感ですよね」と、ぞっこん。釋永さんの器に出会ってから、盛り付けに対するスタイルも変わったそうです。

「和食のシンプルな見た目が、この器に出会ってようやく腑に落ちたというか、ただ素材を置くだけでかっこいいと思えたんです。料理を真ん中にポツンと盛り付けるだけで様になるし、和食にすごくマッチすると思います」

もともとは1日1組限定のコース料理を提供する際に使っていましたが、気も引き締まり、創作意欲が湧くと、料理の内容や値段に関わらず、あえて“普段使い”するようになりました。

富山のガラス作家の器も使用

富山には地場産業の富山ガラスがあり、全国から若手ガラス作家たちが集まっています。彼らと共に成長したいという気持ちを込めて、店では日本酒を彼らの酒器で提供。

「実際に手にとって触れることで、こんなグラスで飲んだらおいしいじゃん、とか、おしゃれじゃんと思ってもらえて、作品を身近に感じてもらえたら」とのこと。気に入った作品があれば購入も可能です。

今後は、日本酒の魅力を伝えながら、洗練された“地方料理”をカジュアルに提供するスタイルを、料理業界の1つのジャンルとして確立させていきたい、という浜多さん。“日本酒×地方料理”で、これからどんなムーブメントを起こしてくれるか、楽しみにしています。

hamadaya LABO 浜多屋魚津駅前店

hamadaya LABO 浜多屋魚津駅前店

住所:
富山県魚津市釈迦堂1-15-8
TEL:
0765-23-5775
アクセス:
あいの風とやま鉄道線 魚津駅 徒歩1分
営業時間:
18:00~23:00
定休日:
月業日
支払い方法:
クレジットカード利用不可
URL:
https://www.facebook.com/hamadaya-LABO-1618568251757097/

写真・安野 敦洋 文・若松 真美

更新: 2018年12月26日

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