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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|東銀座|「寛幸(ひろゆき)」佐藤寛幸

グルメシーンを牽引するシェフが、料理を作るうえで欠かせない食材や道具を紹介する連載「シェフの必需品」。高級店がひしめく銀座だからこそ、ピシリと張った気をほぐし、くつろげる場を。「寛幸(ひろゆき)」で出会えるのは、贅沢な食材と確かな技術を駆使して作る、馴染みある家庭料理の数々。懐かしくもあり、それでいて趣向が凝らされた日本料理には、大将・佐藤寛幸(さとう ひろゆき)さんの温厚な人柄がにじみ出ています。そんな佐藤さんが愛用する必需品もまた、実に気取らないものでした。

幸せになれる、贅沢な家庭料理 「寛幸」 佐藤寛幸さん

今回の取材にあたり、佐藤さんから受けた一番の印象は「自然体」。岐阜の名店「たか田 八祥」で13年勤め上げたのち、ミシュラン2つ星の東京・三田「晴山」の立ち上げに携わったという経歴を持ちながら、常に柔らかな物腰。飛騨牛の肉じゃがやカレーに、生海苔のお茶漬け……。銀座の一角で、贅沢な食材を使いながらもどこかホッとする、家庭料理を軸とした日本料理を提供しています。

「たか田 八祥」「晴山」、名だたる店を経て自身の店を

料理の道に進んだきっかけを伺うと、「中学生のとき、パン屋になりたかったんです(笑)」と、やはり飾り気のないまっすぐな答え。「調理師学校に通っている間になんとなく、日本人だし日本食もいいなって思うようになって。甘いと言われるかもしれませんけど」。卒業後、岐阜市・柳ヶ瀬の料亭「たか田 八祥」へ。客席から離れた地下の厨房で、同志とともにひたむきに料理と向き合う日々。13年間勤めた後「少し遊びたかったんです(笑)」と、一度はこの世界から離れたことも。

「たか田 八祥」時代の後輩であった山本晴彦さんの「晴山」の立ち上げを手伝うかたちで、地元・愛知県から上京。再び料理の道に戻ってきました。「晴山」ではホールも担当。「これまでお客さんと接することがほとんどなかったので、すごく刺激的で楽しかったです」。いつかは自分の店を——。「晴山」がミシュランを獲得し、若手が増えてきたことを機に、秘めていた自身の想いを実現させることを決意します。

「寛幸」に込められたのは「寛ぎ」と「幸せ」

店の名は、自身の名前に。「たまたまなんですけど、銀座という飾られた街の中で、『寛ぎ』と『幸せ』を感じてもらえたらと思っています」。「寛幸」という自らの名が、佐藤さんが表現したい「贅沢な家庭料理」と見事に合致したのです。「銀座には、格式高い日本食や割烹のお店はたくさんある。銀座に来る方は、そういうお店をすでにたくさん知ってると思うんです。だからこそ、ちょっとホッとするような料理が求められている気がして」。

佐藤さんの必需品とは?

言葉の端々からおおらかな人柄が滲み出る佐藤さん。愛用する必需品も、実に飾らないもの。「話に聞いたことがあって。火を消して、ほったらかしにできる土鍋釜のことを」。コースの最後に必ず組み込むという、炊き込みご飯に使う土鍋が「寛幸」を支える必需品です。

無印良品の「土釜おこげ」

「3合炊きのもので、5,000円くらいです。全然見劣りしないでしょ(笑)」。そう言いながら見せてくれたのは、直火で炊飯ができる「無印良品」の土鍋、「土釜おこげ」。もちろん家庭用に市販されているもの。「強火にかけて吹いてきたら火を止めて、あとは蒸らすだけ。とにかく使い勝手が良い。伊賀焼だから火回りが良く、仕上がりも抜群。うちはガス台が2台しかないのですごく重宝しています」。

毎日必ず使う土鍋。「どんなに高価で優れたものでも、メンテナンスが大変だったり、買い替えや買い足しが難しいとなると使えない。それに比べて『無印良品』の土鍋は頼もしいですよ」。年に一度買い替えながらも、オープン以来使い続けるほど、なくてはならない存在だといいます。

土釜おこげで作る 季節の炊き込みご飯

「土釜おこげ」が登場するのは、コースの締めくくり。秋には名古屋コーチンを使った「鶏ごぼうと銀杏の炊き込みご飯」や「ブリご飯」などで楽しませてくれます。釜ごとに目の前に現れた時のインパクト、蓋を開ける瞬間の高揚感も、土鍋ご飯の醍醐味。

そんなお客さんの反応を肌で感じながら、カウンターに立つことが楽しいと話す佐藤さん。洗練された中にも懐かしさを感じる料理の全貌は、来週公開の「足跡レストラン」で。

寛幸ひろゆき

寛幸

住所:
東京都中央区銀座4-10-1 HOLON-GINZA 6F
TEL:
03-6264-3317
アクセス:
東京メトロ日比谷線・都営地下鉄浅草線「東銀座」駅より徒歩1分、東京メトロ銀座線「銀座」駅より徒歩5分
営業時間:
ディナー/月〜土 18:00~21:30(L.O.) ランチ/土・日・祝 12:00~13:00(L.O.)※事前予約のみ
定休日:
不定休
支払い方法:
クレジットカード可(VISA / Master / JCB / Amex / Diners / DC)
URL:
https://www.instagram.com/hiroyuki_sato1016/

写真・安野 敦洋 文・山本 愛理

更新: 2018年11月18日

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