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食に携わる注目の人物をインタビュー

表参道「& éclé(アンドエクレ)」×日本各地の米|料理を支える、「和」の食材~前編~

人気レストランとその料理を支える国産食材を紹介する「料理を支える、和の食材」。今回は表参道の『& éclé(アンドエクレ)』が舞台です。ひとつの食材としての「日本の米」に魅了され、まったく新しい米料理『クーリシャス』を生み出した、総料理長のオリヴィエ・ロドリゲスシェフ。フランス人シェフならではの「米のとらえ方」は、わたしたち日本人にとって非常に新鮮なものでした。米の新たな一面に気づかせてくれます。

一流のガストロノミー技術をカジュアルに味わえる「ネオビストロ」

「一流シェフによるガストロノミーの技術やその料理を、もっと気軽に楽しんでほしい」。『& éclé』は、星付きレストランでのキャリアを持つオリヴィエシェフの理想を実現させた「ネオ(=新しい)ビストロ」という新しいスタイル。価格も装飾もカジュアルに。ランチセットやリーズナブルなディナーコース、さまざまなアラカルトを揃え、あらゆるシーンで本物の技術、味を楽しむことができます。店名は、フランス語の「éclectique(=折衷的)」から。「文化や価値観、アイデアを融合し、より素晴らしいものを作りあげたい」。フランス、イタリア、そして日本と、多くの文化に触れてきたオリヴィエシェフの想いが、この場所で具現化されていきます。

オリヴィエシェフが語る「米」の魅力とは?

来日して約20年。「ネオビストロ」という自身の理想をカタチにするにあたり、オリヴィエシェフがひとつのテーマに掲げたのが、日本人の主食であり文化である「米」へのチャレンジ。「ごはん、リゾット、パエリア、寿司…...。お米を使った料理はたくさんあるけど、もっと新しくて楽しい食べ方があるんじゃない?」。日本語をたくみに使いこなしながら、終始にこやかな表情で、そして熱く、米を語ります。

「食感も味も香りも、品種によってまったく違う。おもしろいよね」。オリヴィエシェフにとって米は「ごはん」ではなく、あくまで肉や魚と並ぶ、ひとつの食材。それぞれの品種の特徴を活かし、料理にしていきます。その真骨頂ともいえるのが、シェフ自身が生み出した『クーリシャス』。野菜や果物をピューレにし、裏ごしして作るソース「クーリ」と、品種によって炊き分けた米を合わせた、まったく新しい米料理です。名前は「クーリ」+「デリシャス(=おいしい)」から名付けました。フレンチでは肉料理のソースやサラダのドレッシングなどによく用いられるクーリ。肉の種類に合わせて調理法やクーリを変えるかのように、品種ごとに加えるスパイスやブイヨンを変えて炊き込んだ米と、最高の相性に仕上げた野菜のクーリを添えた『クーリシャス』。日本人にはなかった斬新な発想です。「一緒に食べるのはもちろん、クーリだけで食べても、お米だけで食べてもいい。楽しいでしょ?」。

オリヴィエシェフのこだわり1|さまざまな米との出会いのきっかけに

『三代目小池精米店』小池理雄さん

『& éclé』で扱っている米は常時8種類ほど。その中から、この日オリヴィエシェフが見せてくれた米は2つ。1つは茨城県・大久保農園の「カミアカリ」。100%玄米を使います。「すごく粒が小さくて、シャクシャクした食感が印象的だった」。コシヒカリを苗付けした田んぼで偶然発見され、改良を重ねて生まれたとされる品種です。「ユニークだよね」と、そんな裏話を教えてくれたのもシェフ自身。米そのものに真摯に向き合う姿勢から、オリヴィエシェフの米への愛情が伝わってきます。「クーリシャスのテーマのひとつは、いろんな品種のお米を使うこと。本当に全然違うから。この『カミアカリ』も、玄米は普通ハードすぎるから白米とブレンドするけれど、食感が独特で粒も小さいから100%で使うことができる」。「カミアカリ」に惹かれた理由をそう教えてくれました。

どのようにいろいろな種類のお米を?  と問うと「コイケさんだよ」と、シェフ。原宿で唯一の米店『三代目小池精米店』の小池理雄(こいけ ただお)さんのことです。「直接話がしたいから、近くの店がいい」と、探していて偶然出会ったのだといいます。お米マイスター五ッ星の資格を持つ小池さんは、シェフにとって頼れる存在。緑米や赤米、酒米などの珍しい米との出会いも小池さんがきっかけ。「新しいお米ない?」と、相談もよくするのだそうです。

オリヴィエシェフの口から何度も出る「あの人に聞いてみた」「この人に教えてもらった」という言葉。「お米の楽しさを伝えたい」という熱意がそうさせるのでしょう。星付きレストランでの経験を持つほどの一流シェフでありながら謙虚で、米へのたゆまぬ探究心は、日本人にも勝るものを感じます。

オリヴィエシェフのこだわり2|作り手とのつながり

もうひとつの米、滋賀県の『古株ファーム』の古株昇治さんが作る有機栽培の「みずかがみ」とも、そんなシェフの探究心がきっかけで出会いました。「粘り気が少なくて、サラサラとした口当たりが特徴。粘りの強いコシヒカリとは、明らかに違うよ」。

「みずかがみ」をはじめ、ほとんどの食材を生産者から直送で仕入れる『& éclé』。もともと昇治さんの娘の古株つや子さんが作るナチュラルチーズを使っていたシェフが、「おいしいお米知らない?」と尋ねてみたところ、返ってきた言葉はなんと「私のお父さん!」。『古株ファーム』では、つや子さんが『古株牧場』の運営とチーズやジェラート作りを、兄の治明さんが近江牛の飼育を、そして昇治さんが米作りを担っています。堆肥を米栽培の肥料に、田んぼで出た草を牛の飼料にと、ファーム内での循環型製法を取り入れ、環境にやさしい農法で作られた「みずかがみ」。有機、減農薬といった栽培方法にこだわるだけでなく、作り手ときちんと顔が見える関係を築くことも大切にしているオリヴィエシェフ。「間に入る人はできるだけ少なく」。そう、言い切ります。

オリヴィエシェフによって提唱される「食材」という新しい米のとらえ方。それぞれ米の違いをどのように表現するのでしょう。気になる『クーリシャス』の全貌は、後編で。

三代目 小池精米店

住所          :東京都渋谷区 神宮前6-14-17

TEL          :0120-006-723

古株ファーム(有限会社 古株牧場)

住所          :滋賀県蒲生郡竜王町小口1183-1

TEL          :0748-58-2040

& écléアンドエクレ

& éclé

住所:
東京都港区南青山5-5-4 LUCE南青山2F
TEL:
03-6712-5018
アクセス:
東京メトロ 銀座線・千代田線「表参道駅」より徒歩3分
営業時間:
ランチ/11:30~14:30(L.O)ディナー/月〜土・祝 18:00~21:00(L.O)、日・連休最終日18:00~20:00(L.O.)
定休日:
不定休
支払い方法:
クレジットカード可(VISA / MASTER / JCB / AMEX / Diners / セゾン)
URL:
http://and-ecle.com/

写真・安野 敦洋 文・山本 愛理

更新: 2018年10月18日

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