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シェフの必需品|代々木八幡|「「Les Chanterelles(シャントレル)」中田雄介~後編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材を紹介する連載「シェフの必需品」。今回は、代々木八幡にあるフレンチレストラン『シャントレル』の中田雄介シェフです。前半では、日本での修業時代やフランスのミシュラン三ツ星レストラン『レジス・エ・ジャック・マルコン』での経験など、シェフご自身についてお伝えしました。後編では、中田シェフのフレンチに欠かせない、築地で仕入れている魚とフランスから輸入しているきのこ、フランスでの経験を思い出させてくれる大切な書籍を紹介します。

本場の味を表現するのに欠かせない、フランスのきのこ

店名にもなっているほど、中田シェフにとって欠かせない食材が、きのこです。といっても、スーパーで目にするような種類のきのこは、まいたけと松茸以外は使いません。天然、それもフランス産のものがメインです。

「最近は、地産地消のスタイルをとっているシェフも増えているけど、うちはちょっと違うかな。フランスでの経験や味を東京で伝えたいと思っているので」と中田シェフ。この日見せていただいたフランス産のきのこは、シャントレルとジロール茸。秋になると、これらのきのこの他、セップ茸、ポルチー二茸、ピエ・ド・ムートンなどなど……、なんと10種類ものきのこが厨房に並び、様々な食材たちと共にお客の前に登場します。シグネチャーディッシュの「きのこのお茶」などをはじめ、 “本場の味”を再現する食材として活躍しているのです。

シェフが惚れ込んだ、築地で仕入れている魚

『シャントレル』のフレンチにもう1つ必要不可欠な食材が、築地のとある仕入れ先の魚。

店をオープンさせた当初は、お肉のパテ、フォアグラのソテーなども取り入れたオーソドックスなフレンチのコースを提供していたと中田シェフは言いますが、この仕入れ先に出会い、今では、デザートと肉料理の一皿ずつを除く7皿が魚介を使った料理になりました。

「僕なんか、頭を下げて買わせてもらっているんですよ。本当に新鮮で質も良く、同じ魚でも他と全然違う。例えば、他の店にカツオがたくさん並んでいても、その店だけ売っていないなんてこともあるんです。売れるとわかっていても『今日のカツオはよくなかったから』って。それだけこだわっている」と中田シェフ。「いいものしか売らない」という徹底したスタイルや、長年のツテを使い独自のルートで仕入れた魚も並ぶ、一流の寿司屋からも信頼されている仲卸業者なのだとか。

この仕入れ先に出会ってからは、生食の料理や、できるだけ手を加えずに素材を活かした料理が増えるなど、調理方法まで変化したといいます。また、料理人として、より季節感を意識するようになったそうです。

「たとえば、僕のスペシャリテでいえば、以前は通年でタスマニアサーモンを使っていました。味もいいし、お客さんも美味しいって言ってくれた。でも、それだと季節感がない。『料理人として本当にそれでいいのかな?』そんな風に思い始めて……、その頃出会ったのが、今の仕入れ先だったんです。だから今は、タスマニアサーモンの代わりに、季節ごとに、天然のサクラマス、ホンマス、トキシラズを使っています。魚に関しては、季節の旬のものを使うようになりました」と中田シェフ。

この日見せてくれたのは、愛知のイワシ、北海道のサンマ、鹿児島の車エビ、千葉房総のイサキ、鹿児島出水のシンイカ、カマスなど。他に、厨房には、アユ、アワビ、トキシラズなど、毎日およそ10種類の魚介類が、お客やコースの内容に合わせて調理されます。

レジス・マルコン氏の書籍

店内にあるレジス・マルコン氏の書籍の数々。そこには中田シェフがかつてフランスで、目で見て、舌で感じ、そして、手を動かし作ったレシピや、きのこや野草などの山の食材について、そして、マルコン氏のレストランがある大自然に囲まれた村の美しい風景などの魅力がつまっています。

現在でも、マルコン氏の来日の際には必ず会い、家族ぐるみで親交があるとのこと。書籍のページを毎日開くわけではありませんが、中田シェフにとっては、料理のインスピレーションを得るだけでなく、尊敬するシェフであり、そして一人の友人でもある大切な人を思い出させてくれる、あるだけで心強いお守りのようなものなのかもしれません。

店をできる限り長く続けたい

日本での修業ののち、フランスで更なるテクニックや経験を積み、独立してからも料理人としての追求心は尽きることなく、オリジナリティ溢れる料理でお客を喜ばせている中田シェフ。今後の展望を伺うと「とにかく店をできる限り長く続けたい」とのこと。

「フランスで経験した本場の味を、そして一口食べて美味しいと思える料理を提供したい」というシェフの想いがつまった『シャントレル』。今後も、多くのお客に愛されながら、歴史を重ねてゆくのでしょう。

Les Chanterellesシャントレル

Les Chanterelles

住所:
東京都渋谷区元代々木町24-1 アブニ―ル元代々木 1F
TEL:
03-5465-0919
アクセス:
小田急小田原線 代々木八幡駅より徒歩5分、東京メトロ千代田線 代々木公園駅 より徒歩6分、東京メトロ千代田線/小田急小田原線 代々木上原駅より徒歩8分
営業時間:
[火~金]ディナーのみ18:00~20:30(L.O.)、[土・日]ランチ 12:00~13:30(L.O)、ディナー 18:30~20:30(L.O.)
定休日:
水曜日
支払い方法:
クレジットカード可(AMEX、JCB、Diners、VISA)
URL:
http://www.chanterelle.jp/

写真・安野 敦洋 文・若松 真美

更新: 2018年9月13日

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