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食に携わる注目の人物をインタビュー

料理を支える、「和」の食材|「ピエール・ガニェール」× 泳ぐホタテ「ヤマキイチ商店」~前編~

「泳ぐホタテ」。なんともキャッチーなネーミングです。人気レストランとその料理を支える和の食材。今回は、フランス本国でミシュラン3つ星を獲得し続ける、世界の名店「ピエール・ガニェール」の東京店でエグゼクティブシェフを務める赤坂洋介氏に、その食材との出会いを聞きました。赤坂シェフは、ガニェール氏のもとで15年余り仕事をし、そのスピリットと感性を受け継いでいます。岩手県、三陸の釜石から養殖ホタテを提供する「ヤマキイチ商店」の君ヶ洞剛一さんも駆けつけ、生産者と料理人の深い絆から生まれる料理に対する想いを語ってもらいました。

本当に泳いでいた、その意外性にビックリ

海と山の食材を絶妙に組み合わせるのが、「ピエール・ガニェール」の料理の特徴。その中でも、食材自体に力があるホタテは、メインの食材として使うことができる魅力的な海産物なのだと言います。「ピエール・ガニェール」では、それまでホタテを築地から仕入れていたのですが、鮮度や大きさなど、赤坂シェフが納得できるものにはなかなか出会えなかったそう。そんな時に知人から紹介されたのが、「ヤマキイチ商店」の「泳ぐホタテ」でした。

赤坂洋介シェフ

「本格的に使い始めたのは、ここ1年くらいですね。最初に『泳ぐホタテ』と聞いた時、泳ぐ? ということにとても興味を持ちました。君ヶ洞さんが持参した発砲スチロールに耳をすますと、ゴソゴソとホタテの動く音が聞こえました。その中には、海水の中で動いているホタテがいて。殻を開けたら、身もピクピクしている感じでした。生で試食してみたのですが、軟らかさはもちろん、甘みやふんわりとした磯の香りなどが、口の中いっぱいに広がって。今までのホタテとは、全く状態が違うと思いました」。赤坂シェフはそう話します。「泳ぐホタテ」は三陸沖の漁師が水揚げしたものを生け簀に入れ、数日程度休ませた後、海水に浸されたまま出荷されます。「ゆったり休ませる、というちょっとしたひと手間が、ホタテの味を大きく左右します」と君ヶ洞さん。海の中にいるのと同じ状態の鮮度が保たれ、ストレスをかけることなくシェフの元に届けられるのです。そのままの状態で、1週間程度保存することも可能です。

左から常務取締役 君ケ洞秀綱氏、 代表取締社長 君ケ洞幸輝氏、専務取締役 君ケ洞剛一氏

三陸沖は、親潮と黒潮が交差する場所で世界三大漁場の一つ。背後に控えた山の森からのミネラルも海に注がれることで、豊かな栄養素が交わり合う稀有な場所でもあります。ホタテの水揚げシェアは北海道がダントツですが、三陸のホタテはその栄養をたっぷり吸い込んだ上質で大きなものが獲れることで知られ、浜値は日本一。なかでも選りすぐりの浜から鮮度・中身・大きさなどを基準に最も良いホタテを仕入れ、出荷しているのが「ヤマキイチ商店」です。貝殻の直径は約13㎝程度のビッグサイズが中心で、なかには18㎝以上となる幻のホタテもあるとか! その見立てには定評があり、数々の一流レストランから絶大な信頼を得ています。

「関東の市場でたまたま見かけたホタテは、いつも私たちが見ているイキのいいホタテではなく、くたっと弱っている感じのものがほとんど。三陸の漁師は、皆プライドを持って、丁寧に愛情をかけてホタテを育てているから、それらとは一緒にされたくなかったのです。そんな思いを伝えるためにも、100%活きたまま届けることができたら……。試行錯誤を続けた結果、24時間365日絶えず海水が循環する生け簀の整備や、独自の発送方法を考案し、それを可能にしました」

「泳ぐホタテ」は、料理の幅も広げてくれると赤坂シェフ。さあ、どんな料理になったのか、後編で紹介していきます。

写真・安野 敦洋 文・ナイキ ミキ

ピエール・ガニェール

ピエール・ガニェール

住所:
東京都港区赤坂1-12-33
ANAインターコンチネンタルホテル東京 36階
TEL:
03-3505-1185(レストラン予約センター)
営業時間:
11:30~13:30(L.O.)/18:00~20:30(L.O.)
定休日:
毎週月曜日 ※祝日の場合は例外あり。
URL:
http://anaintercontinental-tokyo.jp/pierre_gagnaire/

更新: 2018年8月16日

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