PEOPLE

食に携わる注目の人物をインタビュー

|血統の一皿[13]|
名店から生まれたセカンドライン
EPISODE 13
味坊鉄鍋荘 -湯島- 【梁宝璋】

日本を代表する名料理人、名店。料理やサービス、店づくりに対する想いを受け継ぎながら、自らの“色”を打ち 出している。そんな名店のセカンドラインを、元となるお 店(1st)の主義と感性をお伝えしつつご紹介。

13「味坊鉄鍋荘」 中国料理/湯島

連日、大盛況の「味坊」。オーナーの梁宝璋さんは中国黒竜江省・チチハルの出身。肉といえば羊、主食は小麦粉という郷土の味を紹介してきました。そんな梁さんのプロデュースで昨年末、誕生したのが「味坊鉄鍋荘」。かの地の家庭料理を存分に楽しめます。

日本の特産物を積極的に取り入れた中国の味

写真中央が梁宝璋さんさん。1963年中国・黒竜江省チチハル生まれ。1995年に来 日し、竹ノ塚に自身の店「味坊」を開く。2000年に味坊 は神田へと移転。炭火の焼き台などを備え、見る見る うちに人気店へと成長させていった。

床から什器に至るまで、すべて自身の手作りという店内で微笑む梁さん。各テーブルに嵌め込まれた鉄鍋は、キッチンにある大鍋とお揃いで、「全部、チチハルで買い付けて来た」とまた笑顔。その鍋で作る煮込み料理の専門店です。しかし、「蒸篭を乗せれば、蒸し魚や蒸し餃子、花巻などの主食も、出来立てを提供できる」と胸を張ります。「私の故郷では各家庭にこの大鍋があって、朝昼晩、家族で囲んで食事をするのが当たり前でした」。キッチンで腕を揮う料理人は北京のホテルでも研鑽を積んだ張子謙さん。粉物担当は「味坊」にも在籍した馬延平さん。2人が心掛けているのは化学調味料や添加物は一切使わないことで、これは「味坊」から受け継いだ絶対のポリシー。前菜で供される腸詰などのほか、薬味に使うニンニクの醤油漬けもすべて手作りです。この日の鍋は「酸菜魚(サンツァイユー)」。中国では主に川魚を用い、白菜の古漬けで調味する鍋ですが、ここでの魚はスズキ。漬物は高菜を使っています。「福岡県うきは市で出合った、おばあちゃん特製のヴィンテージ高菜漬です」。「味坊鉄鍋荘」がもうひとつ、大切にしているのは日本の各地にあって知られざる、美味しい食材を積極的に取り入れていくこと。梁さんはこの店をプロデュースするに当たり、全国を飛び回り、その素晴らしさを知りました。「本当に良い食材がいっぱいあることがわかった。そうした食材をできる限り、使っていきたい」。日本の特産品で作る中国の家庭料理。それは食べるゲストにとっても幸せな邂逅といえるでしょう。

酸菜魚(白身魚と発酵高菜の煮込み)1人前1,680円、拌干絲(押し豆腐の冷菜)780円、蒜泥茄子(蒸 し茄子のニンニクソースがけ)680円。鍋は高菜の酸味と旨みが味の決め手。たっぷりの野菜も嬉しく、前菜も現 地同様の味わい。主食200円~。トウモロコシで 作る黄色い饅頭は梁さんが「故郷でよく食べた味」。餃子の皮も、もちろん手作りでモチモチの食感

【1st】味坊

炭火で香ばしくスパイシーに焼き上げる羊の串焼き、やはり炭火で鍋を沸かす羊肉しゃぶしゃぶなど、中国東北地方の郷土料理を本場と同じスタイルで供する人気店。添加物を嫌い、食材や調味料も吟味。自然派ワインの充実ぶりでも知られており、中国料理の新しい美味しさと楽しみ方を啓蒙してきた。

味坊
03・5296・3386 
東京都千代田区鍛冶町2-11-20 1F・2F 
11:30~14:30、17:00~22:30LO 
日・祝定休

味坊鉄鍋荘アジボウテツナベソウ

味坊鉄鍋荘

住所:
東京都台東区上野1-12-9
TEL:
03-5826-4945
営業時間:
11:30~14:30LO、 18:00~23:00LO (*日・祝は完全予約制)
定休日:
無休

Photo大谷次郎 Text田代いたる

※こちらの記事は2016年1月20日発行『メトロミニッツ』No.159に掲載された情報です。

更新: 2017年2月6日

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