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漁業を改革する政治家、小林史明に漁業の未来を聞く

近頃、漁業が話題だ。「本マグロの減少」「ウナギの絶滅?」などの情報を、気軽にキャッチアップできるようになったことで、私たち一般消費者は、その問題について興味を持ち始めた。FOOD PORT.でも、「一般社団法人Chefs for the Blue」の活動や「まぐろミーティング Vol.1」をレポートして、食材として質の高い魚を求めるシェフたちと共に、持続可能な漁業について考えてきた。そのようなタイミングで、70年ぶりに可決された水産改革関連法案。そして、今、漁業がまた大きくクローズアップされることになった。簡単に改正というが、70年間放置されてきた漁業制度を見直し、転換のための道筋をつけていくことは並大抵のことではない。そんな今回の法案改正の立役者となったのが、小林史明衆議院議員だ。日本の漁業を光り輝く成長産業にするべく、政策作りに日々奔走する。小林議員に、日本の水産業の未来について聞いた。

海と魚に囲まれ幼少期を過ごす

小林議員は、広島県福山市出身だ。瀬戸内の穏やかで美しい海の光景を見ながら幼少期を過ごした。家業は100年以上続く漁網メーカー。創業者であった曽祖父は、海から網を引き上げる漁業者の重労働を考え、海水の抵抗が極力少ない結び目のない漁網を考案し特許をとった。また、結び目で魚が傷つきやすい従来の網を改良することで、質の高い魚が市場に流通することを願った。つまり、曽祖父の時代から、持続可能な漁業に取り組んできたと言っても過言ではない。小林議員には、そのDNAが受け継がれているようだ。「ほかの子供より、漁業に触れ合う機会が多かったと思います。当選後、改めて水産業の世界に目を向けると、漁業の衰退が進んでおり、その要因として、資源管理の失敗がありました」。危機感を持って自民党水産部会の会議に出席して驚いた。「漁獲量の規制など、構造的な問題を解決しなければ先に進めないのに、目の前の問題ばかり。議論すべきポイントが違うと感じました」。気になることが日増しに大きくなり、長い間、棚上げされてきた漁業問題に、自ら取り組もうと決めたという。「よーいドン」の早獲りで、出来るだけ早く多く、獲れるだけとってきた結果が漁業の衰退を招き、また資源の枯渇に繋がったのも知っていたからだ。「船の性能や魚群探知器など、漁業の技術も格段にアップしたのに、昔と同じやり方をしていたら獲れ過ぎちゃうのは目に見えています。国がきちんとルールを定め、現場の実態にそって制度設計していくことが必要なのです」。そのために6年ほど前から地道に問題提起をし、民間の有識者、世論を巻き込んだ議論や関係省庁の調整を行った結果、70年ぶりの漁業法改正が実を結んだのだ。

早採り競争をやめ、量から質の漁業へ

漁業は、儲からない。そういった話をよく耳にする。しかし、世界に目を向ければ、漁業は成長産業。日本は大きく水をあけられているのが現状だ。四方を海に囲まれ、類い稀で豊かな漁場を有する環境にありながらも養殖を含む国内の漁獲量は、約430万トンで、ピーク時の3分の1ほどしか魚が獲れなくなっている。その解決の糸口となるべく、今回の法改正が行われたのだが、一番大きな改革点は資源管理にあるという。「早獲りをやめ、漁獲量の上限を定めることで、質を追求する資源管理型漁業へと導きます。魚をたくさん獲り過ぎると、市場はダブつき、当然価値も値も下がります。漁獲量と売上は比例しないのが通常で、それによって漁業者が儲からないという悪循環が生まれていました。獲る量をあらかじめコントロールできれば、漁の年間計画も立てやすく、値も安定し、収入の底上げに繋がっていくと思います。そのためには魚種別に、漁獲可能量(TAC)を設定します」。漁業者や船ごとに、個別に漁獲枠を配分するIQ方式を採用し、まずは沿岸、小規模漁業者に一定量の割り当てを行った後、その残りを大規模漁業者に割り当てる。諸事情で漁に出られない時は、IQ枠を他漁業者に貸し出したり、資源量が回復するまで漁を休む必要がある時は、休業補償をするなど、現場の漁業者の浜の暮らしを持続させるために配慮している点が特徴だ。それ以外には、養殖業の発展に向けた漁業権の権利の明確化、野放しになっている密漁に罰金刑を課す、などが盛り込まれた。今後は、追跡番号から漁船情報、漁獲方法、水揚げ場所、魚を漁獲したエリアなどを確認できるトレーサビリティーの導入、海のエコラベル「MSC」などの認証制度の普及も早急に進めたいと考えている。

持続可能な豊かな浜の生活を目指して

しかし、法を改正したものの、実現に向けた制度設計やどの魚をいつまでに漁獲上限の対象とするのか……課題は山積みのようだ。「それぞれの実行は、管轄する都道府県が責任を持って行うことになるのですが、まずは、漁業に携わるすべての人たちが、制度の意味をしっかりと理解して、皆が納得する形でよい成果を出していくことが大切です。日本には、その地域に根ざした浜の生活や文化があります。季節によって獲れる魚、古から伝わる伝統的漁法、魚の保存法や調理方法……。ローカル色豊かな浜の生活は、まさしく日本の誇るべき文化そのもの。世界中の人たちが、美味しい魚を食べるために、お目当ての地方を訪れればそれは地域の活性にも繋がると思います。浜がより豊かになるためには、まず漁業者の生活が安定し、十分な収入を得られるようにしなければなりません」と小林議員は話す。今回の改正は、その第一歩に過ぎない。私たち消費者も、現場目線で今後の成り行きを見守って行きたい。

取材・文=ナイキ ミキ

更新: 2019年3月4日

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