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マッキー牧元、完走! 青森ソース焼きそばトライアスロン 浪岡・平川編

どうしてかくにも、青森県人はソース焼きそばを愛すのか!
2日間で、11軒のソース焼きそば専門店を周って、つくづくそう思った。「大盛りください」「中を二つ持ち帰りで」「大盛りの大、卵付きで」どの店にもひっきりなしにお客さんがやってくる。
ソース焼きそば専門店が多くあり、そこには多彩なスタイルがある。「私はここ」「僕はあそこ」と、皆それぞれに贔屓があり、週何回も食べている人が多くいるという。こんな県は、他に知らない。青森県は、ソース焼きそばの地であった。

黒石編、青森市編に続く最終回「浪岡・平川編」をお届けする。

素朴なようで主張のある麺が癖になる 「兼平焼きそば店」

今は様々なソース焼きそばがあるが、ここが黒石焼きそばの北限だという。

「小をひとつちょうだい」

昔、学校帰りの小学生が、百円玉を握りしめて食べに来たのだろう。

浪岡の「兼平焼きそば店」は、そんな気軽さと温かみがある店である。

焼きそばのメニューは、店内で小220円、中330円、大550円、特大770円。持ち帰りで、小216円、中324円、大540円、特大756円。

実にリーズナブルだ。

注文すると、麺を水洗いしてから中華鍋に入れ、途中でカゴメソースを入れつつ菜箸で炒めること2分、皿に盛り、具をのせて完成である。

具は炒めた豚肉と白菜に紅ショウガと、これまた素朴である。

でも、50年前に創業したというおばあちゃんの時代には、麺だけで具は一切なかったというから、これでも豪勢になったのだろう。

中太やや平打ち麺は、つるんと唇を滑り抜けながら、もちっ、しこっと、歯の間で存在感を示す。だから、途中でソースを“追いがけ”してもソースに負けない。この素朴なようで主張のある麵が癖になる。それが長年やれている秘訣なのかな。

兼平焼きそば店
住所:青森県青森市浪岡大字浪岡細田191
TEL:0172-62-3185
営業時間:9:00〜17:00 *麺・野菜がなくなり次第、終了。
定休日:不定休
支払い方法:現金のみ

太麺と細麺、2種類をオーダすべし! 「味助」はお母さんの味

さあ次は、平川市尾上の「味助」に向かった。

「いらっしゃい!」

明るく、元気なお母さんが出迎えてくれる。

中華そばやチャーシュー麵、チャーハンもあるが、人気はやはりソース焼きそばである。麵が2種類あり、「太麺やきそば」650円、「ジャンボやきそば」1,100円、「細麺やきそば」650円、「特大やきそば」1,100円とある。

あっ。太麺の大盛りが「ジャンボ」で、細麺の大盛りが「特大」と名づけられている不思議があるが、ここは細麺と太麺のスタンダードを頼もう。

お母さんがつくるのを見ていると、ただ麺の太さが違うだけでなく、細かい技も入っている。まず、ラードで玉ねぎを炒め、次に豚肉、キャベツ細切り(太麺はキャベツが入らない)を炒め、麺(細麺は茹でてから水にさらす)を投入して、一度、余分な油を捨てる。次にソース(太麺は2種をかける)、キクラゲをいれ、入念に炒め、炒めて完成だ。

食べれば、麵そのものが美味しいことに気づく。細い縮れ麺はシコシコして麺の甘みを感じ、太麺はもちもちして楽しい。黒石の「工藤食堂」の麺だそうで、お母さん曰く、「防腐剤入ってないからおいしいの」だそうである。何気なさの中に深さがあって、しみじみおいしい。

褒めると、27年やってらっしゃるというお母さんは言われた。

「麺と鍋がいいからね。誰でもできるの」

いやいや、そうは思いません。焼きそばを炒める時の、お母さんの真摯な眼差し見ましたよ。

「これ食べてって」

帰ろうとすると、お母さんが「ひやむぎ」を持って来た。

これは表メニューではないけど、同じくおいしい。するってえと、中華そばもいいに違いない。今度来るときは頼むからね。

味助
住所:青森県平川市高木原富209
TEL:0172-57-5733
営業時間:10:30〜16:00ごろ
定休日:月曜、第1火曜
支払い方法:現金のみ

玉ねぎたっぷり! ラーメン屋さんのソース焼きそば「大十食堂」

さて最後は、「大十食堂」である。

こちらは近所のラーメン屋さんといった風だが、多くの人が頼むのはソース焼きそばである。平川の人は、「大十食堂=ソース焼きそば」という頭になっているのだろう。

創業は明治43年で、現主人のお父さんがソース焼きそばに合う麺を開発したのだという。その麺は中太縮れでモチモチ、しっこりと弾み、そこにソース焼きそばでは珍しくたっぷりと入った玉ねぎが、シャキシャキとした歯ごたえでアクセントになる。ソースの甘みに玉ねぎの甘みが溶け込んでいて、その味が豚バラ肉の油の甘い香りと合う。聞けば、青森の出汁の定番・焼き干しも自家製で6時間かけて作っているという。

「こんな大変なことは、今は誰もやらないし、僕の世代でこの店は終わりです」と言われる。そう、この店には手間暇をかけることこそが誠実だった時代の、“良き仕事”が生きているのであった。

大十食堂
住所:青森県平川市尾上栄松19-1
TEL:0172-57-2022
営業時間:11:00〜16:00
定休日:月曜(祝日の場合は火曜)
支払い方法:現金のみ

マッキー牧元

マッキー牧元

1955年東京出身。㈱味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。日本国内、海外を、年間600食ほど食べ歩き、雑誌、テレビなどで食情報を発信。「味の手帖」「朝日新聞WEB」「料理王国」「食楽」他連載多数。三越日本橋街大学講師、日本鍋奉行協会顧問。最新刊は「出世酒場」集英社刊。

写真:広瀬 美佳 文・FOOD PORT.編集部

更新: 2020年1月3日

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