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パーク ハイアット 東京のシェフが巡る、 四国の東門・小松島の美味いもん 前編

東京を代表する5つ星ホテル、パーク ハイアット 東京

新宿を象徴するビルの一つ「パーク ハイアット 東京」。

国内外のラグジュアリーホテルがひしめく東京。その中でもトップクラスの地位を誇るのが「パーク ハイアット 東京」です。今年で開業25周年を迎え、東京における外資系ラグジュアリーホテルの老舗的存在になっています。館内には日本料理の「梢」、ニューヨークをテーマにバラエティ豊かな料理でゲストを魅了する「ニューヨーク グリル」、そして、シックなインテリアの中、朝食からディナーまで楽しめる「ジランドール」があります。

その「ジランドール」の厨房を執り仕切る市塚学シェフと、ホテル内すべてのレストランの食材調達を担う資材部の田口朋浩マネージャーが、徳島県小松島市の食材を巡る旅に出ました。

四国の東門・徳島県小松島市

近年では豪華クルーズ客船も寄港する小松島港。

徳島県の東沿岸に位置する小松島市。かつては、四国と本州を結ぶ玄関口、「四国の東門」として栄えていました。しかし、明石関門海峡大橋と大鳴門橋の開通で車での移動が主流になって以降、本州と四国を結ぶフェリー航路もなくなってしまい、かつての隆盛はなりを潜めてしまいました。

そんな現状を打破しようと、小松島市は目下、「四国の東門の復活」をコンセプトに、食の分野で官民一体となって小松島のブランド化に力を入れています。今回の「パーク ハイアット 東京」の招聘は、その取り組みの一環。小松島に実際に来て、見て、味わってもらうことで、トップシェフに小松島の食の魅力を発見してもらおうと、実施されました。

ホタルやコウノトリが飛ぶ田で育つ、「いのち育む田んぼ米」

好環境下ですくすくと育つ「いのち育む田んぼ米」。美しい水も良質の米づくりに欠かせない。

最初に訪れたのは、小松島市生物多様性農業推進協議会会員で、上王子特質米生産組合顧問の北野政美さんの田んぼ。この協議会は、環境と生き物に配慮した農業の推進のために、平成22年に小松島市によって結成されました。北野さんは近辺の農家と共同で、協議会ができる前の平成元年から、化学肥料一切なし、農薬も最低限にした、環境と人に優しい米作りを実践しています。

「この辺りにはまだホタルもいますし、コウノトリも飛来するほどです。そんな環境の中で育つ米は、味もとびきりです」と北野さん。

米のうまさが引き立つ塩にぎりに舌鼓み。この地区での米づくりの歴史を語る北野さん。

北野さんら協議会の会員が作った米は、「いのち育む田んぼ米」に認証され、ブランド米として全国に向けて出荷されています。市塚シェフと田口さんは、地元のお母さんたちが握ってくれた塩にぎりをいただきました。つやつやと輝き、一粒一粒が存在感のある純白の米。塩だけのシンプルなおにぎりは、米の甘みが一層際立ちます。

コシヒカリでは珍しく全国米コンクールで賞も獲得し、天皇家への献上米にも選ばれたことがある北野さんたちの「いのち育む田んぼ米」。生き物を育めるほどの清らかな田んぼの恵みは、間違いなく小松島の大切な宝です。

小松島市商工観光課
TEL:0885-32-3089
https://www.city.komatsushima.lg.jp/komatsushima-navi/

良質なシラスをブランドに。「和田島ちりめん」

出来立てのちりめんをカメラに収める田口さん(左)と市塚シェフ。

北野さんの田んぼを離れ、次に向かったのは「和田島漁業協同組合」。ここでは良質なシラスを加工して、「和田島ちりめん」と銘打ってブランド化しています。

漁場は、小松島が面する紀伊水道。2艘1組になって海の上層階にいるシラスを獲り、すぐに加工場へ。その日のうちに釜揚げをして乾燥させる「和田島ちりめん」は鮮度抜群で、全国にファンがいるほどの大人気。炊きたてのご飯はもちろん、大根おろしに徳島名産のスダチを搾っていただくのもオススメなのだとか。乾燥室には、ふかふかの布団のように敷き詰められた大量のちりめんが……。立ち上る芳しい香りにはうっとりさせられます。

ふわふわの布団のように敷き詰められた「和田島ちりめん」。

紀伊水道には小松島を流れる一級河川の吉野川が流れ込み、山の栄養分を豊富に届けています。そんな豊かな海では、冬になると極上のワカメも採れるそう。「生わかめのしゃぶしゃぶは最高ですよ!」と、和田島漁業協同組合の上村広和さんが教えてくれました。

和田島漁業協同組合
TEL:0885-37-1621
https://www.wadajima.com/

小松島の美味しいもんが勢揃い。「あいさい広場」

小松島の“美味いもん”が勢ぞろいする「あいさい広場」は、小松島を訪れたら必ず立ち寄りたいスポット。

“郷土愛、農業愛、人間愛、高め合い&助け合い、出会い&ふれ合い”

この5つの「あい」を高めることをコンセプトに運営される「みはらしの丘 あいさい広場」は、小松島の人とモノが交流する本拠地となっています。海の物も山の物も、小松島の“美味いもん”がところ狭しと並ぶ広々とした直売所には、地元の人や観光客がひっきりなしに訪れます。

特産の鱧をはじめ、港に水揚げされる魚介の新鮮さとお手頃価格に、目を見張る市塚シェフと田口さん。ここにそろう品物を見るだけで、小松島の食材の豊富さが一目瞭然です。

みはらしの丘 あいさい広場
住所:徳島県小松島市立江町炭屋ヶ谷47-3
TEL: 0885-38-0112
営業時間:8:30~17:30
定休日:第3 火曜日・年末年始

世界を幸せにする農業を。「樫山農園」

「樫山農園」の代表取締役、樫山直樹さん。

親子二代にわたり農業を営む「樫山農園」の農作物も、「あいさい広場」の直売所に彩りを添えています。代表取締役の樫山直樹さんは、幼い頃からムシ嫌い、農業嫌い。

「そんな僕だからこそ、科学的有機農業を志しました。法人として農業を営み、徳島の農業を応援し、その結果として世界を幸せにしたい、そう考えています」と、語ります。

まるで宝石のように輝く「珊瑚樹」。

高糖度トマト作りにも早くから着手。徳島県に工場を持つ大手ビールメーカーと協力し、ビールの搾りかすで土作りをするなど、様々な試行錯誤を重ねてようやく糖度10度以上のトマト「珊瑚樹」が誕生しました。甘みだけでなく、トマトならではの酸味をあわせ持つと評判で、国内はもとより、マレーシアやシンガポールにまで輸出しています。

樫山さんがプロデュースするブランド米「泣く子もだまる米」。

また、地域の米の担い手として、条件を問わずに農家から田んぼを引き受け、今では約85ヘクタール、県下でも一二を争うほどの面積の田んぼを耕している樫山さん。その米は、「泣く子もだまる米」とネーミングされ、出荷されています。その他にも、麦、有機小松菜、菌床しいたけ、最近ではアントシアニンが豊富でスーパーフードとして人気のもち麦も栽培しているのだとか。

地域を一つの農場として捉え、農業での地域活性化を目指す樫山さん。そのクレバーな経営手腕に、市塚シェフと田口さんも感心しきりの様子でした。

樫山農園
住所:徳島県小松島市坂野町字松木12
TEL:08850-37-2011
https://www.facebook.com/kashiyama.nouen/

生産量全国1位、徳島の名産・菌床しいたけ。「サンマッシュ櫛渕協同組合」

年間生産量は約1500トン。敷地内には多くのハウスが立ち並ぶ。

日本各地で生産される菌床しいたけ。そんな中、徳島県は全国の年間生産量約75000トン中、約8000トンと全国1位を誇りますが、その内の多くが小松島市で生産されています。小松島市はまさに“菌床しいたけ王国”なのです。

小松島市櫛渕町の「サンマッシュ櫛渕協同組合」は、高品質な菌床しいたけの安定生産をめざす技術集団で、年間生産量はなんと約1500トン。県内の実に約2割の生産を担っています。

市塚シェフも菌床しいたけの収穫を体験。

同組合は、全国で40の生産者が加盟する「協同組合日本茸師の会」に所属。良質な種菌を組合員間でシェアし、菌床しいたけの質の向上やブランド化をめざしています。なかでもプレミアムしいたけ「天恵菇(てんけいこ)」は、通常のしいたけのサイズの約5倍。香り高く、肉厚で、味も良いと評判です。

「グアニル酸も通常のしいたけの約3倍、雑味や苦みは10分の1で食べやすいのが特徴です」と、「サンマッシュ櫛渕協同組合」代表取締役の浜田光且さん。「水分を多く含んでいるので、油との相性は抜群。オリーブオイルで炒めたり、天ぷらにしたり、また、トンカツのように調理して食べるのも最高です」。

菌床しいたけの王様「天恵菇」。

高級な肉に勝るとも劣らない、“食卓の華”となりうるポテンシャルをもつ「天恵菇」。国内だけでなく、海外の富裕層向け食材として人気を呼びそうです。

サンマッシュ櫛渕協同組合
住所:徳島県小松島市櫛渕字山口37-7
TEL:0885-35-7150

小松島、旅の初日を終えて……

「地域全体で相互にサポートし、良いものを生み出す姿勢が各所で見られるのは、素晴らしいことですね」と、市塚シェフ。様々な生産者に出会い、質問攻めだった田口さんも「作り手の方と直接お会いしてコミュニケーションをはかることで、どのような資料よりも有益な情報を得ることができました」と語ります。

市塚シェフと田口さんが巡る小松島の食材探しの旅。近日公開予定の後編では、あの高級食材、鱧と明治30年創業の地元の醤油蔵を訪れます。後編もご期待ください。

ジランドール

住所:
東京都新宿区西新宿3-7-1-2 パーク ハイアット 東京 41F
TEL:
03-5323-3459
営業時間:
朝食6:30~10:30 (土日祝は11:00まで)、ランチ11:00~15:00(土日祝は11:30〜)、ライトスナック15:00~17:00、ディナー17:00~21:30
URL:
https://restaurants.tokyo.park.hyatt.co.jp/grd.html

写真・広瀬 美佳 文・FOOD PORT.編集部

更新: 2019年10月11日

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