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マッキー牧元、完走! 青森ソース焼きそばトライアスロン 黒石編

専門店がそこかしこに。ソース焼きそば天国、青森

どうしてかくにも、青森県人はソース焼きそばを愛すのか!
2日間で、11軒のソース焼きそば専門店を周って、つくづくそう思った。
「大盛りください」「中を二つ持ち帰りで」「大盛りの大、卵付きで」
どの店にもひっきりなしにお客さんがやってくる。
ソース焼きそば専門店が多くあり、そこには多彩なスタイルがある。
「私はここ」「僕はあそこ」と、皆それぞれに贔屓があり、週何回も食べている人が多くいるという。
こんな県は、他に知らない。青森県は、ソース焼きそばの地であった。
それでは今回から3回にわたって、「青森県ソース焼きそば事情」を報告したい。

題して「青森ソース焼きそばトライアスロン」である。

全国B級グルメの常連、黒石の「つゆやきそば」

第1回は「黒石つゆやきそば」の名店2軒を紹介する。
1軒目は、市内一番の人気店だという、黒石市前町にある黒石やきそば専門店「すずのや」に向かった。出てきたのは、「黒石やきそば」450円、「黒石つゆやきそば」550円、以上。潔い。

まずは焼きそばからいってみよう。

調理過程は、フライパンで豚肉とキャベツを炒め、麺を入れ、スープを少し入れ、ソースを入れ、うま味調味料、再びソースを入れ、1分ほどで完成してしまう。
魅力はまず、もちっと弾む平打ち中太麺にある。昔、中華麺用カッターを購入できずに、うどん用カッターで製麺したことから生まれたという太麺である。そいつをずずっとすする。噛めば、ソース味が丸く、不思議なことに醤油的旨みも感じる。

「すずのや」店主の思い出の味を復活

続いて「黒石つゆやきそば」が運ばれた。炒めたソース焼きそばを丼に入れ、鰹節だし醤油味のスープを注ぎ、揚げ玉とネギをのせた焼きそばである。スープに浸かってはいても堂々たる焼きそばの味だが、温かい汁に浸かったせいで、麺はくにゃりと軟らかくなっている。この麺には工夫があり、普通の焼きそば麺だと伸びてしまうため、粘りの強い粉をブレンドして製麺しているのだという。

一方、具で重要なのは天かすであり、天かすの食感と油分が入らないと「わさびのない寿司のように腑抜けになります」と、店主は言う。ソース焼きそばのようでありながら、かけそばのようであり、その曖昧さに親しみが湧く。つまり、ソースと醤油の両方のスイッチを押されるわけで、そこがクセになってしまう。それゆえか。食べてしばらく経つと、妙に恋しくなって、再び店に足を運びたくなるのである。ちなみに、「化け焼きそば」というのもあり、普通の焼きそばが丼で出され、途中で熱々のスープを注いで変身させる一品である。

諸説ある、つゆやきそばのルーツとは?

さて、このつゆやきそばは、いかにして生まれたのだろうか。

昭和30年代に「美満寿」という店が、作り置きしていた焼きそばを温めるために熱いつゆをかけたという説と、腹持ちを良くするために汁そばにした、など諸説あるという。

その後、「美満寿」は閉店し途切れたのだが、数十年後に「すずのや」店主が昔を思い出して作ってみたところ、人気が再燃したという話である。今では、20数軒が「つゆやきそば」を提供し、黒石市の名物となった。

ねぷた絵師が腕をふるう名店「妙光」

では次に、元祖を名乗る黒石市元町の「妙光食堂」に行ってみよう。

具は、細切りキャベツ、玉ねぎ、もやし、人参少々 豚肉で、中華鍋に火につけてラードを溶かし、具を炒めてから麺を入れ、ソースを注ぎ、スープ大さじ3杯ほど入れて炒め、蓋をする。

この「炒め、蓋をして蒸らす」を、4回繰り返して完成となった。

まず「焼きそば」600円(味噌汁、お新香、ミニカレー付き)は、甘みのあるソース味が麺とみごとに馴染んだ優しさがある。

次に「元祖つゆやきそば」700円を食べてみよう。

うむ、スープの味がまろやかである。

濃いソース味をスープで薄めた感じがあって、その良い意味での中途半端感に切なくなる。ここにこの日の付け合わせの、カレーをちょいと入れてみた。トマトの酸味とカレー香が加わって、これはソース焼きそばかカレーラーメンかという感じだが、そのどちらでもない。新たな天体が生まれている。

さてこの店が元祖を名乗るのは、「店は創業41年になるけど、20数年前につゆやきそばを始めた時には、他はやっていなかったからね」と、黒石ねぷたの絵師でもあるご主人はにこやかに話された。その屈託のない笑顔には、元祖としての矜持というより、美味しいものをたっぷり食べてもらいたいんだよね、という気持ちがにじみ出ていた。

「青森ソース焼きそばトライアスロン第2回」も、お楽しみに。

すずのや
住所:青森県黒石市前町1-3
TEL :0172-53-6784
アクセス:弘南鉄道弘南線「黒石」駅より徒歩約15分
営業時間:11:00〜15:00
定休日:火曜
支払い方法:現金のみ

妙光食堂
住所:青森県黒石市元町66
TEL:0172-53-2972
アクセス:弘南鉄道弘南線「黒石」駅より徒歩約15分
営業時間:11:00~18:00
定休日:不定休
支払い方法:現金のみ(2019年10月より消費税増税に合わせて値上げあり)

マッキー牧元

マッキー牧元

1955年東京出身。㈱味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。日本国内、海外を、年間600食ほど食べ歩き、雑誌、テレビなどで食情報を発信。「味の手帖」「朝日新聞WEB」「料理王国」「食楽」他連載多数。三越日本橋街大学講師、日本鍋奉行協会顧問。最新刊は「出世酒場」集英社刊。

写真・広瀬 美佳

更新: 2019年9月25日

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