大地と月のあいだ エスキス コラボレーションイベント イン 能登|美しい日本が生まれる風景

仏人シェフ、リオネル・ベガ氏が率いる東京銀座「エスキス」が、石川県能登で「大地と月のあいだ」と題したコラボイベントを開催。“美しい日本”にフレンチのエッセンスが出会ったひとときをレポートする。

「今年は雪が少ないですね」と、地元の人が教えてくれたが、思わず身震いしてしまう能登の冬。今回のイベントの会場となった千代浜の目前に立つ「ハイディワイナリー カフェ&レストラン」に着くと、これから始まる饗宴の序章のようにみごとな虹が海とカフェの間にかかり、冬枯れの能登に七色の光を降らせていた。

今回のコラボは、リオネルシェフと輪島塗の塗師・赤木明登氏、そして「L’ Atelier de NOTO」(輪島市)の池端隼也シェフと「Villa della Pace」(七尾市)の平田明珠シェフの4人が集まり、「大地と月のあいだ」をテーマに1つのコースを仕立て上げるというもの。食材はもちろん能登産、器はすべて赤木氏の漆器という贅沢さだ。

・輪島で漆器の可能性を追い続ける赤木明登さん ・左から池端隼也シェフ、リオネル・ベガシェフ、平田明珠シェフ

リオネルシェフは今回のテーマについて、「満月の日に塗りの仕上げをするとより美しく仕上がる、と赤木さんに伺いました。また、金蔵という集落を訪れた時は、昼と夜との明るさの差が大きければ大きいほど、米や野菜の成長がよくなるとも。人口的な灯りがほとんどない金蔵では満月がもっとも明るい光なので、都会に比べて昼夜の光の差が大きく、美味しい米や野菜が採れるそうです。漆も野菜や米も土から育つもの。私たち人間も、月からイマジネーションをもらうことが多い。東京にいると感じませんが、能登のような自然豊かな場所にくると、月と大地の力を強く感じます。今回は、そんな月と大地に思いを馳せたかったのです」と語る。「みんなで月の色について話したのですが、ある人は青白いと言い、ある人は黄色、金色と言う。私はベージュだと。同じ月の色でも見る人によってこんなに違うのですね」とも。自然からのインスピレーションの受け方は人それぞれ――能登の月と大地は、そんなこともリオネルシェフに気付かせてくれたようだ。

今回、塗師という立場で食のイベントに参加した赤木氏は、「日本が誇る漆の伝統をフランス料理でも使って楽しんでほしい」とスピーチ。ナイフとフォークを漆器で使うことに一瞬躊躇うが、能登の食材を使った美しい料理、窓の外の田んぼや海の素朴な風景に、これ以上に似合う器はない。まさに千載一遇の貴重な体験……輪島塗の新たな可能性を感じた。

「親密な風景〜Paysaes Intimes」 Meiju HIRATA

米、七面鳥と海藻

七面鳥のシャキシャキ感のあるモモ肉としっとりの胸肉。ずっと口の中に留めておきたい名残り深い味。能登産のイタリア米とコシヒカリと海苔の焼きリゾットを添えて。

「ふたつの世界のあいだ〜Entre Deux Mondes」 Toshiya IKEHATA

大根、イカと柑橘類

ハマグリのお汁でコトコトと炊いた大根に、イカとゆずを添えて。異なる3つの食材のグラデーションを楽しむ一皿。

「闇に光を〜Clairs Obscurs」 Lionel Beccat

ブリ、海藻と根菜

旬を迎えたブリをフロマージュブランと麦味噌、自家製ゆずペーストでマリネ。リオネルシェフの手で宝石のように輝くブリ。その味もこの上なく美しく……。

更新: 2019年2月6日

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