マグロ2019年初セリ |旅する鮨職人、ヨシさんが語る 「鮨の心」 第五回

アメリカ、ヨーロッパ、アジアと世界を飛びまわる鮨職人、「松乃鮨」のヨシさん。「鮨は刺身がご飯の上にのったものだけではない」というヨシさんが、鮨に込める職人の想いを語ります。

新しい年を皮切るビッグイベント

あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 1月5日は豊洲市場で今年初めてのマグロのセリが行われました。 今や本マグロの初セリは、業界関係者だけでなく、日本の年始の風物詩、さらには全世界で、日本人はマグロにいくら払うのかということで注目を浴びています。 マグロの初セリは毎年高値で取り引きされることから、通常の本マグロの仲卸さんだけでなく、冷凍マグロの仲卸さん、また他の海産物の仲卸さんなども集まって、多くのプロたちの注目の中、行われます。私たち鮨屋さんは見ることができても参加することができません。また、報道機関、一般の方は見ることもできません。

たった10秒で決まるマグロの値段

競りがスタートする10分前くらいから独特の雰囲気になります。話すことすらままならない緊張感、張り詰めた空気、1匹のマグロの値段は通常10秒ぐらいで何百万円から何千万円が決まるため、何も喋れない雰囲気になります。 今年は、青森県大間産の278キロの大物が史上最高値の3億3360万円(1キロ120万円)で落札されました。1キロ単価も史上最高。 日本では、初物を食べると75日寿命が延びると昔から言われており、初物は皆さん高いお金を払ってでも食べる文化があります。 今や1年中食卓に上るマグロは、この初セリが初物と考えられていることもあり、大注目! それでも、マグロ1匹に3億円というのは、食べ物の値段としては異常です(笑)。しかし、広告宣伝費として考えれば高くはないのではないでしょうか。おそらくこのマグロのことと、競り落としたお鮨屋さんの名前はニュースにも流れますし、新聞の一面も飾ります。

世界中の人が話題に出し、お鮨好きの日本人であるならば必ず注目する出来事の一つです。 今後、文化面とビジネス面、両方を兼ね備えた日本の魚がどのように将来変化していくか楽しみですね。

手塚 良則

手塚 良則

幼少の頃から魚の仕入れに同行し、学生時代から包丁を握る。慶應義塾大学商学部卒業後、海外文化とホスピタリティーを学ぶため、プロスキーガイドとしてヨーロッパ・北米に4年間駐在。世界100ヶ所以上のスキー場のガイドや、豪華客船のワールドクルーズやヨーロッパワイナリー巡りといった富裕層向けのガイドをして活動。スタンフォード大学への留学、ガイド業務で培った異文化コミュニケーションを生かし、海外への発信に力を入れる。体験握りを取り入れた「五感で楽しむ鮨講座」は好評を博している。

松乃鮨マツノズシ

松乃鮨

住所:
東京都品川区南大井3-31-14
TEL:
03-3761-5622
営業時間:
昼11:30~13:30(L.O.)  夜16:30~22:00(L.O.)
定休日:
日曜・祝日
URL:
http://matsunozushi.com/

文・手塚 良則

更新: 2019年1月3日

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