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マグロを巡るストーリー~前編~|旅する鮨職人、ヨシさんが語る「鮨の心」第二回

アメリカ、ヨーロッパ、アジアと世界を飛びまわる鮨職人、「松乃鮨」のヨシさん。「鮨は刺身がご飯の上にのったものだけではない」というヨシさんが、鮨に込める職人の想いを語ります。

鮨ネタで一番の人気といえば、やはりマグロ。日本のお客様だけでなく、外国のお客様も、みなさんマグロは必ずといっていいほど召し上がります。そんなマグロは、我々鮨屋にとっても重要なネタのひとつ。マグロの格が鮨屋の格を決めると言っても過言ではありません。

そんな鮨ネタの王様・マグロは、季節、とり方によって、実は味が違うということをご存知でしょうか?

マグロは鮨ネタにしては数少ない、1年を通して召し上がれるネタ。そのため、いつ食べても味に変わりがないと思われている方が多いようです。しかし、実は時期によっても、個体によっても大きく味が異なります。では、なぜマグロの味に変化があるのか、日本の海でとれるマグロを例えにお話しします。

国産の本マグロは、1年を通して日本近海を回遊しています。そして、梅雨から夏にかけて、沖縄や九州付近で産卵。秋にはサンマやスルメイカ(特にワタが彼らの好物!)を目指して、どんどん北上していきます。サンマを食べて筋肉質に、スルメイカを食べて脂を蓄える。そして、津軽海峡の荒波でたっぷりとエクササイズ。身が大きくて引き締まり、さらに脂がのっているという3つの好条件がそろうのが、冬の津軽海峡のマグロなのです。そして、そのマグロがとれるピークが12月ごろ。年末に揚がった大間のマグロが、年を越して築地の初セリにかけられ高値がつくことで、津軽海峡のマグロの代表の産地である大間は有名になったのです。マグロは、その後、1月になると南下し、九州や沖縄方向に戻っていきます。

このように、1年を通じて泳ぎ回るマグロは、水温も餌も時期によって異なるため、当然、身の質が違ってきます。一般的に、冬の津軽海峡のマグロは身に凝縮感があり、脂に余韻があってコクもあリます。それに比べて夏はさっぱり爽やか。しかしながら、同じ時期でも、日本海の定置網で捕れたマグロは、香り高く上品で高貴な印象です。

このことをご存知のお客様は、「夏のマグロになったねえ」とか「寒くなって脂がのってきたねえ」、なんてお話しされながらマグロを楽しまれています。四季の移り変わりを目で愛でるように、マグロの変化を舌で感じる……そんな鮨の楽しみ方も、ちょっと面白いのではないでしょうか?

手塚 良則

手塚 良則

幼少の頃から魚の仕入れに同行し、学生時代から包丁を握る。慶應義塾大学商学部卒業後、海外文化とホスピタリティーを学ぶため、プロスキーガイドとしてヨーロッパ・北米に4年間駐在。世界100ヶ所以上のスキー場のガイドや、豪華客船のワールドクルーズやヨーロッパワイナリー巡りといった富裕層向けのガイドをして活動。スタンフォード大学への留学、ガイド業務で培った異文化コミュニケーションを生かし、海外への発信に力を入れる。体験握りを取り入れた「五感で楽しむ鮨講座」は好評を博している。

松乃鮨

松乃鮨

住所:
東京都品川区南大井3-31-14
TEL:
03-3761-5622
営業時間:
昼11:30~13:30(L.O.)  夜16:30~22:00(L.O.)
定休日:
日曜・祝日
URL:
http://matsunozushi.com/

更新: 2018年7月31日

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