シリル・ブラン×手塚良則 シャンパーニュと鮨の出会い 第二弾

第一弾に続く、「松乃鮨」のご主人・手塚良則氏とシャルル・エドシックの最高醸造責任者のシリル・ブラン氏による、マリアージュ検証第2回目です 。

シャルル・エドシックの最高峰、ブラン・デ・ミレネール

第2回目のシャンパーニュは、シャルル・エドシックのブラン・ド・ブランの最高峰ブラン・デ・ミレネール。ミレネールは、1983年に最初に発売されて以来、85年、90年、95年、2004年と35年の間に5回しか造られていない。今回のマリアージュに使用したのは、2004年ヴィンテージ。ブリュットと比較するとより酸度が高く、テンションが感じられ、図形に例えるとブリュットがキューブであるのに対し、ミレネールは三角形だ。「14年ものとは信じられない」と手塚氏が言うように、まだまだある熟成のポテンシャルには驚愕させられる。

ブラン・デ・ミレネール合うネタは?

このテンションの高いミレネールの、ナンバーワンパートナーに選ばれたのは、マグロ。部位は、霜降りのトロの部分。トロの脂とミレネールの酸味がとてもよく合い、手塚氏がたった1秒素早く炙ると(さわると言う表現が正しい)、スモーキーさが加わり、驚くほど全く異なる風味になる。このスモーキーさは、ミレネールのミネラリティにぴったり寄り添う。「コクのあるシャンパーニュなので合うと思った」と、うれしそうに手塚氏が微笑むように、素晴らしいマリアージュだ。

ブラン氏は、「再確認しないといけないから」と撮影用に握ったマグロもニコニコしながら食していた。よほど、お気に召したマリアージュと見た。さらに手塚氏が「今日のマグロはまだ若く、私たちはブリブリと呼ぶ状態。あと4〜5日すると最高の状態になります」と言うと、「スーツケースに入れて持って帰りたい!」と、名残惜しそうなブラン氏の表情が愛らしい。

最上級の穴子は塩と。

二番目に合うネタに選ばれたのは、穴子。羽田沖の穴子は、「松乃鮨」のスペシャリティだ。120キロの穴子の中から1キロほどしか取れない、最高級のもののみが、「松乃鮨」ではサーブされる。獲れた穴子は2〜3日かけて泥をはかせ、絞められる。「松乃鮨」に到着した後にさばかれるのだが、その後、なんと1000回も揉まれ、15分煮た後に焼かれる。最高級の穴子できちんと取り扱われたものでないと、1000回の揉みに耐えることはできない。

100年もの間、足して使用しているツメを塗った 穴子を食したブラン氏は、「アンビリーバブル! 本当に美味しい!」と感激の面持ち。さらに、ツメを塗らずに塩を載せたものも試食。最終的にブラン・デ・ミレネールのパートナーに選んだのは、塩の方であった 。

穴子は焼くことによって風味に高さが出る。そこに塩をふると、さらに高さが出て、図形に例えると三角形のブラン・デ・ミレネールに類似した骨組みになる。強いミネラル感のある塩は、ミレネールのミネラル感とぴったりとマッチ。

醸造家と鮨職人との共通項

マリアージュ検証の最後に、手塚氏が静かに語った。「私たちの仕事はとても似ている。ブランさんはブレンドすることによって、シャンパーニュを造り出す。私は、魚、調味料、薬味、米でブレンドし、鮨を握る」。手塚氏のコメントに頷きながら、ブラン氏は「手塚さんが魚に手を加えることによって、ネタが素晴らしく変化するように、シャンパーニュをサーブする温度を変えることによって、シャンパーニュの風味もより引き立てることができる。シャンパーニュと鮨は似ていることばかりだね 」と。

二人のコラボレーションが日本に止まらず、海を越えて行きそうな予感を強く感じながらインタビューを終えた。

シャルル・エドシック ブラン・デ・ミレネール 750ml 33,000円(税別)

コート・デ・ブランのマスターピースと言われるブラン・デ・ミレネール。5つの主なクリュからなり、オジェからは滑らかさとストラクチャー、メニル・シュル・オジェからはバランス、アヴィーズからはミネラリティ、クラマンからは複雑さ、ヴェルテュスからはフレッシュさとフローラルな含みを求め、各クリュのシャルドネがブランドされる。

レモン、りんごの花の含み、バターのようなニュアンスを持つ香り。風味のイニシャルアタックは柑橘類で、クリスピーさを感じる。その後、力強さが出て来て、パーフェクトな骨組みを示す。洗練された泡が印象的で、ミネラル感たっぷり。

熟成すると、チョコレートを使用したデザートにさえぴったりと合ってしまう、数少ない貴重なシャンパーニュ。ストラクチャーの偉大さには、目を見張るものがある。

【シャルル・エドシックに関するお問い合わせ】
日本リカー
TEL:03-5643-9770
URL:http://www.nlwine.com/winery/charlesheidsieck/

松乃鮨マツノズシ

松乃鮨

住所:
東京都品川区南大井3-31-14
TEL:
03-3761-5622
営業時間:
昼11:30~13:30(L.O.)  夜16:30~22:00(L.O.)
定休日:
日曜・祝日
URL:
http://matsunozushi.com/

写真・広瀬美佳 文・ウィラハン麻未

更新: 2018年12月14日

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