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富山の名産品「ます寿し」を食べ比べ|美しい日本が生まれる風景

海や山の豊かな自然のもと、多彩な食材や食文化に恵まれた富山。そんな富山の名物といえば、"ます寿し”です。青々とした笹の葉を開くと、鮮やかなピンク色のサクラマス、その下には真っ白な富山のお米。観光客はもちろん、地元の人々にも手土産や来客時のおもてなしの品として親しまれています。今回は、富山市へ足を運び、ます寿しを3店舗食べ比べ。また、「川上鱒寿し店」の3代目である川上弥(わたる)さんに、ます寿しの歴史や文化について話を伺いました。

富山市内のます寿しを食べ比べ

富山市内には30店舗ものます寿しの専門店があります。今回は、市電・環状線・セントラム乗り放題券と、ます寿し店8店舗と富山名物の甘味店5店舗の中から、好きな3店舗を選んで食べ歩けるクーポンがセットになった「ぐるっとグルメぐりクーポン♪」(1000円)を使って、富山市内のます寿しを食べ比べてみました。

熟成系、脂がのった系、あっさり系など、お店の個性が光るます寿し

今回立ち寄ったのは、次の3つのます寿し専門店。実際に食べ比べてみると、それぞれ、ます寿しの味が全く違うことに驚きました。

創業明治40年「高田屋」のます寿しは、熟成系。肉厚のマスは旨みたっぷり、そしてその旨みがもちもちのごはんと一体になって、絶妙な美味しさ。

創業明治11年「せきの屋」のます寿しは、あっさり系。また、今回食べ比べした中では、しっかりマスがしめられていました。クセがなく、全体的に優しい味わいです。

肉厚のマスが食べ応え満点だったのが、「吉田屋鱒寿し本舗」のます寿し。少し酸味があり、脂がのったマスとのバランスが抜群でした。

それぞれのお店の伝統と個性が光るます寿し。食べ比べてみることで、各店の違いだけでなく、自分の好みのお店を見つけるのも楽しいでしょう。

ます寿しのルーツは平安時代

食べ比べをした後は、大正12年創業「川上鱒寿し店」へ。3代目であり現在の店主、川上弥さんに話を伺います。まずは、ます寿しの歴史について教えてくれました。

「諸説ありますがます寿しのルーツは、平安時代と言われています。毎年、豊漁を願って、川で獲れた魚を神社にお供えしていました。塩漬けにしたサケを京の都から来た勅使に献上したのがます寿しの原型だと伝えられていますね。もともと川魚でなれ寿しを作っていたので、あゆ寿しもあれば、さけ寿しもあり、その季節ごとの魚を使ってなれ寿しを作っていました。江戸時代には、徳川8代将軍吉宗公へ、あゆのなれ寿しを献上した話が有名です。その後時を経て、昭和初期には、ます寿しは家庭でも作られるようになり、郷土料理として根付いていきました」

「川上鱒寿し店」も、もとは富山市内に流れる神通川で獲れた魚を売る川魚店でしたが、押し寿しも作るようになり、その後、ます寿し専門店として創業し、現在に至ります。

昭和の半ば頃に行われた河川改修やダム建設などによる環境の変化により、現在、神通川では漁獲量が激減してしまいましたが、北海道や海外など他の産地のマスを使いながら、富山のます寿し文化は今日まで続いてきました。

すべてが手作業。老舗のます寿し作り

「川上鱒寿し店」では、創業当時から変わらぬ味を守りながら、製造から梱包までのすべてを手作業で行っています。仕込みは早い日は夜中の3時半から。ます寿しの製造工程や材料はシンプルですが、そのぶん、調味料の配合の仕方、笹の葉やマスの並べ方など、微妙な違いで味が変わってしまいます。作業員が細かいところまで作り方を身に付けるには、一朝一夕ではありません。

今回は、ます寿し作りの一部を、特別に見せてもらいました。

まず、専用の容器に笹の葉を敷きます。均等な角度で美しく並べられた様は、職人の技です。続いて、塩漬け後に甘酢でしめておいたマスを笹の上に並べていきます。さらにその上に、富山産コシヒカリの酢飯を載せていきます。その後は笹で包み、蓋をし、数個ごとに重しを載せて15分ほどの時間を置いたら完成です。「川上鱒寿し店」では、あっさりした優しい味付けと食べ応えのある肉厚のマスが特徴。マスは鮮やかな見た目の通り、フレッシュで上品な味わいです。マスをしめる時間によって熟成度は変わるそうですが、「川上鱒寿し店」では、飽きずに食べられるような味わいに仕上げています。また、「作りたての味を提供したい」とその日に作ったものしか販売しないのもポリシーです。

容器や重しにも富山の歴史や文化が

重しとして使用されているのは、初代が神通川で手に入れた石。見た目はそこまで大きくありませんが、密度が濃く、27キロもあるそう。その重さや大きさによって、ます寿しにかかる圧力が異なり、仕上がりも左右されるため、100年も使われているというこの石は、今では伝統の味になくてはならないものの1つです。

ちなみに、ます寿しの容器も、富山ならではもの。ベニヤやエゾ松で作られた桶のような形をしています。これは、”越中富山の薬売り”で知られる売薬さんが薬を持ち運ぶのに使用していた小さな桶のような容器が、清潔で密封性が高かったことをヒントに作られたものだそうです。

作り手の想い、富山の文化がつまった伝統の味

川上さんは、老舗の3代目として店を守るだけでなく、とやまの街をフィールドに様々な講義を実施する「とやままち大学」で、「ます寿しテイスティング講座」や「ます寿し作り体験」の講師など、ます寿しの魅力を伝える活動も積極的に行っています。さまざまなお話を聞いて、「美味しいものを提供したい」「多くの人に富山に来てほしい」という想いが伝わってきました。

作り手の想い、富山の歴史や文化など、さまざまなものが詰まった伝統の味、ます寿し。今後も、大切な郷土料理の1つとして、脈々と受け継がれていくことでしょう。

川上鱒寿し店
住所:富山県富山市丸の内1-2-6
営業時間:6:30~18:00(売り切れまで)※クーポン引き換えは8:00〜15:00まで
定休日:火曜日
TEL:076-432-5129
市電・環状線「丸の内」から徒歩3分
※クーポン引き換えできない期間:8月13日〜8月16日、12月29日〜1月3日

高田屋
住所:富山県富山市丸の内1-1-13
TEL:076-432-4774
アクセス:市電・環状線「丸の内」から徒歩4分
営業時間:7:00~18:00(売り切れまで)※クーポン引き換えは8:00〜15:00まで
定休日:水曜日
※クーポン引き換えできない期間:8月10日〜8月17日、12月25日〜1月7日

せきの屋
住所:富山県富山市七軒町4-11
TEL:076-432-5104
アクセス:市電・環状線「丸の内」から徒歩3分
営業時間:7:30~18:00(売り切れまで)※クーポン引き換えは10:00〜15:00まで
定休日:水曜日、1月1日
※クーポン引き換えできない期間:1月1日

吉田屋鱒寿し本舗
住所:富山県富山市安野屋町2-6-6
TEL:076-421-6383
アクセス:市電「安野屋」から徒歩1分
営業時間:7:00~19:00(売り切れまで)※クーポン引き換えは10:00〜15:00まで
定休日:日曜日、8月13日〜8月16日、12月29日〜1月5日

ぐるっとグルメぐりクーポン

料金:
1,000円(市電、環状線、セントラム乗り放題券付き)
販売所:
電鉄富山駅・富山地鉄乗車券センター(電鉄富山駅ビルエスタ)、西町乗車券センター等
URL:
https://www.chitetsu.co.jp/?p=16397

写真・安野 敦洋 文・若松 真美

更新: 2018年12月18日

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