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マグロを巡るストーリー~後編~|旅する鮨職人、ヨシさんが語る「鮨の心」第三回

アメリカ、ヨーロッパ、アジアと世界を飛びまわる鮨職人、「松乃鮨」のヨシさん。「鮨は刺身がご飯の上にのったものだけではない」というヨシさんが、鮨に込める職人の想いを語ります。

マグロの中でも大人気のトロ。現在では多くの国の方に大変人気の高い鮨ネタです。しかし、その歴史は意外と浅くて、戦前くらいから食べられるようになったといわれています。その理由の一つは、流通技術。優れた冷蔵・冷凍方法が確立されていなかった当時、足の速いトロは鮮度を保ったまま輸送することができず、トロよりも比較的日持ちがする赤身は、ヅケにして人気があった、という記述があります。

「松乃鮨」では、生の本マグロは国産をメインに使い、季節・産地での国産本マグロの味の違いをお客様に楽しんでいただいております。冷凍マグロを選ぶ際は、日本船が獲ったもののみを選んでおります。処理の技は、日本の業者さんの右に出るものはありません。すぐに内臓を取り除いて瞬間冷凍したマグロは、品質的にまったく問題なく、安定供給が可能な分、乱高下しがちな生の国産本マグロに比べて値段が安定する、というのも魅力の一つです。

あまり知られていませんが、マグロはセクションごとに異なる仕事をするプロがいる魚でもあります。漁師さんは、マグロを取るプロ。マグロたちがどこを泳いでいて、何を今食べていて、どうすれば釣れるか。私が船に乗せてもらっていた時は、まるで海のマグロと会話しているように思えました。獲った後の処理も一流です。仲買さんは、1匹丸ごとを見て品質を判断します。(実は、丸ごとでは鮨職人には良し悪しはわかりません!)。故にマグロの値段は、競りにて彼らが決めます。鮨職人は、その仲買さんから買ったマグロの身を見て、どれくらい熟成させるか、食べごろと切り方を判断し、最上の状態にしてお客様に提供をします。

また、マグロは身が大きいくせにとてもデリケート。漁法(釣り、巻き網、はえ縄、定置網、など)によって同じマグロでも味が変わります。置き方によっても違い、ゴロンと置いた時の上身と下身で値段が変わる場合もあります。下身はそのマグロの体重(重い時は200キロオーバー)の重さがかかり、身が崩れたり割れたりすることがあるからです。

海から港、市場から鮨屋のカウンターへと旅をするマグロと、それに関わるプロたちのストーリー。マグロを召し上がる際に思い出していただければ光栄です。

手塚 良則

手塚 良則

幼少の頃から魚の仕入れに同行し、学生時代から包丁を握る。慶應義塾大学商学部卒業後、海外文化とホスピタリティーを学ぶため、プロスキーガイドとしてヨーロッパ・北米に4年間駐在。世界100ヶ所以上のスキー場のガイドや、豪華客船のワールドクルーズやヨーロッパワイナリー巡りといった富裕層向けのガイドをして活動。スタンフォード大学への留学、ガイド業務で培った異文化コミュニケーションを生かし、海外への発信に力を入れる。体験握りを取り入れた「五感で楽しむ鮨講座」は好評を博している。

松乃鮨マツノズシ

住所:
東京都品川区南大井3-31-14
TEL:
03-3761-5622
営業時間:
昼11:30~13:30(L.O.)  夜16:30~22:00(L.O.)
定休日:
日曜・祝日
URL:
http://matsunozushi.com/

更新: 2018年8月29日

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