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賀茂鶴の原点回帰 広島「賀茂鶴酒造」|美しい日本が生まれる風景

南北に長細い島国、日本。国土は狭いけれど、豊かな自然と清い水がそこかしこにある美しい国です。そしてその美しい風景から、日本の美味しいものが育まれています。この連載では、大都会では見られない日本の原風景から生まれる美味しいものを紹介します。

灘、伏見と並ぶ日本三大銘醸地・広島県東広島市西条。現在も7つの蔵が街の中心地に軒を並べる、全国でも珍しい「日本酒の街」です。それは、いつもより少し目線を上げて歩けば一目瞭然。各蔵の敷地から聳える赤レンガの煙突が、青い空とのコントラストで美しい風景を作り出しているからです。賀茂鶴酒造は、西条を代表する酒蔵で、今年、法人設立100周年を迎えます。

「酒造りは掃除に始まり、掃除に終わる」。酒造りの邪魔をする悪い菌を寄せつけないため、蔵人は常に掃除を怠りません。広々とした酒蔵も丁寧に掃き清められ、埃一つない清々しさです。創業から代々拡張されてきたこの蔵を舞台に、原点に立ち戻り、「味わいを大切にした賀茂鶴らしい酒」を醸すという、賀茂鶴の挑戦が始まりました。

原料の酒米が蔵の周囲でつくられることの少ない日本酒。テロワールを重視するワインと大きく違うのはこの点で、県をまたぎ遠方から酒米を取り寄せる蔵もあるほどです。そんな中、賀茂鶴は、酒米の最高峰を目指して20世紀前半に誕生したものの、栽培の難しさから幻となっていた「広島錦」の復活に成功。酵母も「賀茂鶴酵母」と呼ばれる、20世紀初頭に賀茂鶴で誕生した酵母を採用しました。そして、酒造りの重要なファクターとなる水も、周辺の賀茂山系の伏流水で。こうしてメイド・イン・ヒロシマを目指した結果、日本酒の味わいの特徴である米の旨みをしっかりと感じさせ、爽やかでキレのある酒「広島錦」ができあがりました。

蔵を訪れた日は、ちょうど今年の酒造り最終日。ひっそりと静まり返った蔵の中で、最後のひと搾りの出来立ての酒を、杜氏の椋田茂さんが真っ白な杯に汲み、テイスティングします。「爽やかな香り。マスカットのようですね」。手塩にかけて醸した酒の出来上がりに自信をのぞかせていました。

日本酒の売り上げが伸び悩み、廃業となる酒蔵も多い中、オール広島をめざす賀茂鶴。郷土愛こそがその挑戦の原動力です。次なる百年を見据えて……。

賀茂鶴

賀茂鶴

URL:
http://www.kamotsuru.jp/

写真・伊藤徹也 文・FOOD PORT.編集部

更新: 2018年5月15日

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