【こだわりの一皿】
オニオングラタンスープ「コンコンブル」|渋谷
渋谷の地で、本場フレンチビストロの味わいを堪能できるお店がある。
名前は、コンコンブル。フランス語で“きゅうり”を意味する店名だ。
そして、そのお店に足を運んだ際に、必ずオーダーしてほしいひと皿が「オニオングラタンスープ」である。トリュフボウルに入って出てくるスープに見惚れてしまうこと間違いない。
2001年のオープン以来、渋谷のコンコンブルで厨房を守ってきたという、奥村憲治シェフ。そんなシェフに、迫力満点のオニオングラタンスープの秘密を聞いてみた。
「オニオングラタンスープは、オープン時よりあるメニューです。そしてレシピも一切変わっていません。このスープは、私が渡仏時代にフランスのお店で習ったものをそのまま再現している一品です。もともと、オニオングラタンスープを日本で始めたのはホテルが中心でした。しかし、ホテルのスープというと少し高級な印象をもたなければならないためか、ブイヨンではなく、コンソメを使用するというレシピにアレンジされていたのです。実際フランスでは、家庭で作るスープでもあるため、コンソメはまったく使わないんです。当店では、本国の味をそのまま伝えようと、もちろんブイヨンで作っています」
作る過程でおいしくなるポイントをお伺いしたいのですが、やはり、飴色になるまで炒めるたまねぎでしょうか。
「そうですね。たまねぎは、1時間弱くらいは炒めます。その後煮込む時間によって、たまねぎの甘さが引き立ってくるので、どちらかと言えば煮込み時間がポイントかもしれません。あと、たまねぎ本来の味わいも重要です。これから日本ではやわらかい新たまねぎの季節がやってきます。しかし、新たまねぎは、オニオングラタンスープには向かないのです。なぜなら、甘みが強く出すぎてしまう上に、すぐにトロトロになって形がなくなってしまうので。そのため、当店では国産にこだわらず、カルフォルニア産など海外のたまねぎで味わいがよいものをセレクトして使っています」
なるほど。たまねぎが味の決め手になることが判明。
そして、思わずため息がでるほどのたっぷりチーズが、じゅわりと焼きあがり表面蓋になっているオニオングラタンスープ。チーズはグリエールチーズのみを使用。
オーブンで焼き上げる時間を尋ねると、
「これはオーブンに入れていないんです。サラマンダーという調理機器によって、天火で焦がしているんですよ」
とのこと。
そして、ここでシェフがこのスープの難しいところをポロリと教えてくれた。
「実は、焼き目をつけている間に、中のバケットが浮き上がってきてしまい、チーズの表面を突き破ることがあるんです。こればかりは、祈るしかなく・・・(笑)」
冬には毎週ふらりと来店し、赤ワインとオニオングラタンスープのみをオーダーするお客様もいるという。それは、まるで本場フランスのような光景だ。
このうえない味わいのとろけるたまねぎに、ブイヨンをたっぷり吸いこんだバケットとグリエールチーズのハーモニー。
コンコンブルの絶品オニオンスープをぜひ堪能してほしい。
料理長 奥村 憲治さん
1977年生まれ 愛媛県出身
20歳を期に料理人を志し、料理修行を始める。
1998年南青山フランス料理店「レ・クリスタリーヌ」に入店。
2001年姉妹店、渋谷フランス料理店「コンコンブル」開店にともない副料理長に就任。
2004年渡仏、パリ郊外のレストラン「ジャルダンドゥエ」にて研修を積む。
2006年帰国後、「レ・クリスタリーヌ」副料理長に就任。
2007年「コンコンブル」副料理長に就任。2008年「コンコンブル」料理長に就任。
コンコンブルコンコンブル
- 住所:
- 東京都渋谷区渋谷1-12-24 707
渋谷ビル1F - TEL:
- 03-5467-3320
- URL:
- http://www.lcn-g.com/concombre/
更新: 2014年3月26日
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