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シェフが世界に伝える日本の良いものをご紹介します

  • 「ああ、なぜこんな店が東京にないのだろう」 名古屋「花いち」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    「ああ、なぜこんな店が東京にないのだろう」 名古屋「花いち」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    第八千九百七の夜だった。 40年弱営まれてきた店は、名古屋の閑静な住宅街の中で灯りを落とし、ひっそりと佇んでいる。開店から第八千九百七日目の夜だった。「いらっしゃいませ」。いつものように、上品な奥さんと優しい目をしたご主人が挨拶する。流麗な字で書かれた品書きに目を走らせる。 「どれも頼みたい」。この店に来るたびにそう思う。 この店を初めて訪れたのは、2004年だった。最寄り駅から歩くこと15分。ひっそりと住宅街に身を沈め、表札も看板もない。赤みを帯びた黄色い、朽葉色の瓦に生成りの土壁が品を漂わせ、よしずの前には、つつじとむくげが青々と茂って、風に揺られていた。

  • これぞフランス料理!  唸って、独りでほくそ笑む。 和歌山「オテル・ド・ヨシノ」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    これぞフランス料理! 唸って、独りでほくそ笑む。 和歌山「オテル・ド・ヨシノ」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    食べた。 唸った。 唸って、唸って、独りでほくそ笑み、首を後ろに垂らして、うっとりと虚空を見つめた。 これぞ、フランス料理である。 「かつて僕が日本とフランスで食べて感動したフランス料理を、今の感覚で再現したかったんです」 そう手島純也シェフは言われた。手島シェフの作る料理から痛切に感じたことは、3つである。   1つ目。 どの料理も余韻が永い。ワインを流し込んでマリアージュし、口の中から料理が全て消えても、その味の優美さは留まり続ける。陶酔につながる余韻がずっと残っている。単に味や香りが口腔や鼻腔に残るというだけではない。感覚として心に染み込んでいく

  • 冬になると富山に必ず行く理由。「ふじ居」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    冬になると富山に必ず行く理由。「ふじ居」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    12月が近づくと、無性に富山に行きたくなる。 「ふじ居」である。 以前は、郊外の大型ドラッグストアの片隅に小さな家を建てて、そこでやられていたが、去年素晴らしき庭を眺める屋敷へと移転された。 冬の狙いは、ブリと香箱蟹である。 まずは、コースの中でいくつか出されるブリの料理がたまらない。ある日には、ブリ料理6部作を出していただいたことがある。その日は、新湊漁港から届いた10キロ近い朝獲れを神経締めにしたブリだった。お造りは、奥からカマ、砂ずり、中トロ、大トロと並べられる。それぞれ異なる食感と味わいがあって、楽しい。カマは平貝のような食感で、クリっと歯が入っていく。砂ズリは

  • 全国から客を呼び寄せる、西表島の小さな食堂  「はてるま」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    全国から客を呼び寄せる、西表島の小さな食堂 「はてるま」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    西表島に夕闇が迫る。 とっぷりと暮れた原っぱに立つ、小さな食堂に明かりが灯る。辺りには、ほとんど飲食店などない場所である。しかし、この店を目指して全国から客がやってくるという。なぜならここには、今の日本から忘れ去られていく、“食の誠実”があるからである。先人たちが残した知恵に敬意を払った料理が生きているからである。

  • 心を動かす“山の夏”の美味 滋賀県「比良山荘」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    心を動かす“山の夏”の美味 滋賀県「比良山荘」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    京都から若狭に抜ける鯖街道沿いに佇む小さな一軒宿「比良山荘(ひらさんそう)」に、初めて訪れたのは、今から20数年前だった。 元々は比良山に登山する人のための宿として創業され、今は三代目となる伊藤 剛治氏が、宿兼料理屋として営まれている。20数年前は、まだ全国にその名が広まる前だったと思う。ここで初めて熊肉のおいしさを知った。雪のような脂身がちりちりと縮れ、深い甘みと肉の猛々しさが溶けていく官能を体験した。そして、ご主人が焼く鮎の味に、松茸の香りに、狂喜した。したたかに酔い、二日酔いながら翌朝の芋粥のやさしさに、なんど涙したことか。 去年の夏に訪れる機会を得たが、山の味わいはさらに深

  • 自然と料理に心で向き合う。大阪高槻「心根」(ココロネ)|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    自然と料理に心で向き合う。大阪高槻「心根」(ココロネ)|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    山奥にひっそりとその店はあった。 大阪府高槻駅から車で約40分、山道を走らせてたどり着いた集落に、築百年以上の民家を改築した割烹である。 周囲は数軒の民家しかない。 鬱蒼とした緑と澄んだ空気に囲まれた場所である。店主・片山城さんは、大阪の郊外の住宅街で店をやられていたが、「草喰 なかひがし」の中東さんや「美山荘」を敬愛するあまり、ずっと思い描いていた山奥へ、2年半前に移転したのだという。今の時期だけという「山桃ソーダ」をいただいた。近隣の山で採ってきた山桃だという。赤いソーダは、甘みがスッキリとして澄んでいる。カウンターの目前に広がる緑を眺めながらいただくと、慌ただしい都会の時間

  • なくなっていく皿を見つめ、別れのため息をつく。京都「cenci」(チェンチ)|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    なくなっていく皿を見つめ、別れのため息をつく。京都「cenci」(チェンチ)|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    日本の各地には、地の野菜を巧みに使ったイタリアンやフレンチがある。 しかし、その難しさを一番感じているのは、京都にある店ではないだろうか。京都の伝統野菜は、営々と和食で使われて、絶対的な味わいを形成しているからである。それを長年食べ続けている京都の人を、相手にしなくてはいけない。他県から訪れる人も、まず数多ある割烹を経由して洋食を訪ねるだろうから、そうした人の舌も満足させさせなくてはいけない。

  • 豊かな北海道の素材を生きるように揚げる 札幌「天ぷら あら木」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    豊かな北海道の素材を生きるように揚げる 札幌「天ぷら あら木」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    「同じことはやりたくないんです。だから、いつも新しい仕事を考えています」 札幌市の繁華街・すすきのに店を構える「天ぷら あら木」の店主・荒木啓至(よしゆき)さんは、そう言われた。 たとえば、そのまま揚げると水分が多すぎて衣が剥がれてしまうカブは、室に1か月も置いてから揚げる。 新鮮なまま揚げると食感は活かされるが、甘みが足りないと感じたアオリイカは、小さめのサイズをわざと選び、2週間寝かせてから2枚を抱き合わせて揚げる。 ゴボウは常温でどれだけ寝かせると最も状態がいいかを、試行錯誤する。エビは2匹出すが、火の入れ方をそれぞれ変えてみる。

  • 将来が楽しみな若き料理人。焼津「茶懐石温石」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    将来が楽しみな若き料理人。焼津「茶懐石温石」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    仕事が綺麗である。 余計な飾り付けや量というものがなく、少し引いたところでピタリと収まっている。真鯛ではなくチダイを使った煮物椀や黒ムツの皮炙りなど、地のものをけれんみなく使って、料理に仕立てている。  

  • 「うまいぜよ!」 高知で魚を食べるなら断然「ゆう㐂屋」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    「うまいぜよ!」 高知で魚を食べるなら断然「ゆう㐂屋」|マッキー牧元の美味しいから旅をするのだ!

    高知で美味しいものといえば、皆さんが思い浮かべるのは、カツオではないだろうか。 そのイメージどおり、高知市内を歩けば、どの店も“カツオのたたき”の文字が踊って、お客さんを誘い寄せる。名物をうたうだけあって年中あり、どの店に入ろうとも美味しくいただける。しかし、どの道にも頂点はある。高知に通って10年、毎年数回高知に行くようになってからは、もうカツオはこの店以外では食べなくなってしまった。 高知市内にある「ゆう㐂屋」である。 なにしろ今まで食べてきた概念を変えるカツオが出されるのである。カツオは刺身と銀皮作りがあるが、両方食べてほしい。まず運ばれてきた瞬


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