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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|日比谷|「Restaurant TOYO Tokyo」大森雄哉 ~後編~

グルメシーンを牽引するシェフが、料理を作るうえで欠かせない食材や道具を紹介する連載「シェフの必需品」。
今回は、日比谷『Restaurant TOYO Tokyo』の大森雄哉シェフです。「食材がすべて」と語り、極限まで食材の力を引き出したフレンチを生み出します。ひとりひとりのお客様のために、その日最高の食材で作られる季節感あふれる料理の数々。それを支える陰の立役者たちの秘密を紐解いていきましょう。

毎日の相棒、TOYOの宝「ゴロゴロ」

「道具の名前はわかりません(笑)。でもコイツがいなければ、この店は成り立たない。宝です」。そう大森シェフがにこやかに笑いながらも愛情いっぱいに見つめる先には、買い付けた食材を積み運ぶための、使い込まれたカート。「うちはみんな“ゴロゴロ”って呼んでいます(笑)」。

素材が主役の『Restaurant TOYO Tokyo』において、いかに新鮮でいい食材を仕入れるか、そこからすべてが始まります。毎朝その日使う分だけ買い付けた食材を、”ゴロゴロ”に積み店までシェフ自身で運びます。「たくさんある食材の中から、自分の目で見極めて選ぶ。自分で選ぶことで、ひとつひとつの食材に思いが入るんですよね」。何十キロにもなる食材を積み、毎日を共にする相棒。3月のオープンからすでに三代目にもなるそう。新鮮な旬の食材の力強さに加えて、シェフの思いを乗せた”ゴロゴロ”は、実際の重量よりもはるかに大きなものを背負っているのでしょう。細いからだで『Restaurant TOYO Tokyo』の核を担う、まさに「宝」なのです。

バイブルの「フランス料理のソースのすべて」

シェフの思いと一緒に“ゴロゴロ”によって運ばれた旬の食材が、今度は彼の手により料理へと姿を変えていきます。しかし「食材の力が強いから、極力手はかけない。できるだけシンプルに、を心がけています」と話す大森シェフ。

その上で大切にしているのが、ソースの使い方。前編で「僕のフランス料理の土台」と話してくださった上柿元シェフの著書『フランス料理のソースのすべて』(柴田書店)は、彼のバイブル。基本のヴィネグレットからデザート用ソースまでが185、ベースとなるフォンデュなども40種掲載された、文字通りソースのすべてが詰まった一冊です。

「あくまで主役は食材自身。とはいえ、塩やオリーブオイルばかりではフレンチとはいえない。やっぱりフレンチの基本はソースなんですよね」。さっぱりと軽めのもので仕上げることが多い中、素材次第で肉や魚にしっかりとしたソースを合わせることも。「親父(上柿元ムッシュ)から教えてもらったことがベースとなって体に染み付いている。毎日見るわけではないけど、ちょっとヒントがほしいときに見直します。親父には今でも頭が上がりません(笑)」。

豊かな香りを生み出す「USU」

「香りの立ち方が驚くほど違うんです」。そう目を輝かせながら見せてくれたのが最後の必需品、「RE・LEAF」の『crush&bloom Hammer USU(ウス)』。crush=砕く、bloom=花咲く、という意味を持ち、スパイスやハーブ、ナッツなどを砕くための特殊な調理器具です。東京・大田区の町工場の職人により、最後は手作業で仕上げられたもの。「これまで使っていたミル挽きのものと比べると、胡椒も塩も格段に香りが違う。香りは挽きたてがいちばん立ちますからね」。その場でアーモンドを砕いてくれると、カウンター越し2、3メートル離れた場所にまでも香ばしい香りが漂ってきます。極力手をかけない調理の中で「香りは大切なアシスタント」と、大森シェフ。『USU』により大森シェフの料理はますます多彩な表情を見せています。

思いをのせた食材を”ゴロゴロ”に積み、今日も大森シェフは築地から帰ってきます。シェフにより繰り広げられる「食材が主役」の舞台。全身で日本の季節を体感できるはずです。

写真・広瀬 美佳 文・山本 愛理

Restaurant TOYO Tokyoレストラン トヨ トウキョウ

Restaurant TOYO Tokyo

住所:
〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷3階
TEL:
03-6273-3340
営業時間:
ランチ 11:30〜14:30 ディナー 17:30〜23:00
定休日:
無休
URL:
http://toyojapan.jp

更新: 2018年8月9日

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