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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|銀座|「六雁(むつかり)」秋山能久 ~前編~

グルメシーンを牽引するシェフが、料理を作るうえで欠かせない食材や道具を紹介する連載「シェフの必需品」。
今回は、臨場感あふれるフルオープンキッチンから”魅せる”日本料理で多くの客を魅了し続ける、銀座『六雁(むつかり)』の総料理長、秋山能久さんです。日本固有の伝統を継承しながらも、それに囚われすぎない自由な発想を組み合わせて表現される、全く新しい日本料理の数々。「伝統と、その先」を目指し続ける秋山さんが考える「料理人」に、そのルーツがありました。

秋山さんが最初に入った料理の世界は、たった6つの客席で客を迎える『割烹すずき』でした。小さい店ながらも、訪れるひとりひとりのお客様を誠心誠意もてなす心意気を約10年にわたり徹底的に学び、その後今は無き表参道の精進料理店『月心居(げっしんきょ)』へ。使う食材は野菜のみという精進料理の世界。一見異色にも見える経歴ですが、野菜がもつポテンシャルを見出し、生み出し、自らの料理にしてお客様へ振る舞う……。食材や調理技術はもちろん、使う器・道具、店の空間、自らの所作にいたるまで、料理人を取り巻くあらゆるものと真正面から向き合うこと。それが、おいしさの追求のみならず、その先のお客様の幸せを生み出す『六雁』のルーツとなったのでしょう。

料理人はストーリーを紡ぐ表現者

「料理は『誰とどこで、そして何を食べるか』なんです」

取材中、何度もこの言葉を口にする秋山さんが非常に印象的でした。彼曰く、料理人は”表現者”。「良い食材や高い調理技術で、美味しいものを作るだけが料理人の仕事じゃない」と話します。「心地いい空間とサービスはもちろん、お客様の目の前で我々料理人が行う小さな所作ひとつ、使う道具ひとつ、盛り付ける器・箸ひとつ……。全てのものには作り手がいて、そこにはストーリーや思い、そして意味がある。料理人がそれらを結い合わせ、”表現作品”として一皿の料理に仕上げ、お客様にお出しするのです」。それが表現者・料理人としての役割であり、美味しさの先――、極上の幸せを生み出すおもてなしにつながるのだと言います。調理のあらゆる工程をお客様の前で”魅せる”「六雁」のスタイル。「料理人はストーリーを紡ぐ存在」という彼の思いをもってすれば、それはごくごく自然なことなのかもしれません。

だからこそ「六雁」では、初めて目にするような新たな日本料理の中にも、伝えていきたい数々の日本古来の伝統技術がちりばめられています。しかし、その伝統も「こうあるべき」という固定概念にはとらわれません。あくまで料理人はたくさんのストーリーを結い合わせる表現者。「どうすればこの伝統を伝え、お客様に極上の体験で喜んでいただけるか、それを追求し続けるだけです」。

表現者として秋山さんが欠かせない必需品は「二葉商会の柳包丁」「Japonica(ヤポニカ)の器と箸置き」「自らの手」の3つ。後編では秋山さん自身がそれぞれに込めた熱い思いとともにお伝えします。

六雁むつかり

六雁

住所:
東京都中央区銀座5-5-19 銀座ポニーグループビル 6F・7F
TEL:
03-5568-6266
営業時間:
17:30〜23:00 *土曜日のみ17:00〜
URL:
http://mutsukari.com

更新: 2018年7月5日

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