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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|広尾|「Ode」生井祐介~前編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材を紹介していただく連載「シェフの必需品」。今回は、広尾にあるレストラン『Ode』の生井祐介シェフです。グレーで統一されたシックな内装、香りと食感にこだわる独創的なフレンチで、2017年のオープン以来瞬く間に話題となった『Ode』。前編では、生井シェフが、独特の世界観で客を楽しませるガストロノミーをオープンさせるまでの道のりをお伝えします。

料理人としてのスタートは25歳。「悔しい思いもしました」

「子供の頃は、母親の料理を友達に褒められてうれしいとか、料理上手の母のもとで『おいしいものを食べてるんだ』と料理に対してなんとなく特別な想いはありました。ただ、それも今思えばですけどね」

「今思えば」という言葉の通り、子供や学生の頃から意識的に料理に興味をもっていたわけではなく、生井シェフが料理の道に足を踏み入れたのは25歳の頃。音楽の道を志していた最中に、よく出入りしていた元フレンチシェフが営む店で、おいしい料理や料理人の仕事にふれ、「おもしろそうだな」と思ったことがきっかけとなり、料理の道へ進みます。

フランス料理を選んだ理由を伺うと、「もともと絵を描くのが好きだったことがあり、白いお皿に絵を描く、とまではいかないけど、華やかなお皿や色の使い方とか、アートのように料理を表現できるスタイルに惹かれたんですかね」とのこと。

都内のフランス料理店で料理人としてのスタートを切りますが、最初から順風満帆というわけにはいきませんでした。

「料理の専門学校を出たわけでもないし、フランス料理の基礎を学んだわけではないので、そのあたりでコンプレックスや焦りがあって、自分で貪欲に知識を吸収したり、わからないことはすべて調べたり、ということはしました。本当に基本的な用語もわからなくて、悔しい思いもしました」

そんな苦労を乗りこえ、東京都内での修業を続けた後、生井シェフにとって大きな経験となったのが軽井沢での料理人時代です。

1か月のつもりが5年。軽井沢での料理人時代

「師匠である植木将仁さんから、軽井沢に新規でプロデュースする店があるから来てほしいと言われたんです。ただその頃、31歳くらいで、料理のことをなんとなくわかってきた頃だったので、フランスへ行きたいなという気持ちが強くあって1回お断りしました。ところが『立ち上げだけでいいから』とお願いされて。じゃあ1か月くらいで帰ろうと思って行ったんですけど……、結果、5年いました(笑)」

立ち上げだけのつもりが気が付いたら5年間。そこまで軽井沢での仕事に惹かれた理由は何だったのでしょうか。

「東京では電話一本で手に入る食材が、軽井沢では簡単に手に入らないことも少なくなかったです。だから、教えてもらいながら、自分で山や畑に食材を採りに行くこともありました。山に行っても最初は見えないんですよ、食材が。でもだんだんと見えるようになる。そういう経験もそうだし、食材の見方が変わるというか、朝採れた状態ってこういう感じとか、これぐらいの大きさだとこういう風味になるとか、色々なことに気づかせてもらいました。例えばズッキーニ1つにしても、今までだったらズッキーニならこんな料理かなとワンパターンだったのが、多面的に食材を見られるようになったので、全然違うアプローチで別の料理を作ることができるようになりましたね。食材が育っていく過程で色々な状態を見られたこともあり、この食材だったらこういう風にしたいなというアイデアがどんどん出てくるようになって、それは向こうにいた時ならではの経験でした」

軽井沢での経験を経て、東京に戻った後は八丁堀の『シック・プッテートル』のシェフに。そして、2017年9月に『Ode』をオープンします。

後編では、そんな生井シェフの必需品についてお伝えします。軽井沢で修業した経験をもつシェフならではの自家製調味料、ダイヤモンド砥石、料理をベストな状態に保つための調理器など、独創的な料理を生み出す縁の下の力持ちたちに注目です。

Odeオード

Ode

住所:
東京都渋谷区広尾5-1-32 ST広尾2F
TEL:
03-6447-7480
営業時間:
12:00~13:00(last entry)、18:00~21:00(last entry)
定休日:
日曜日
URL:
http://restaurant-ode.com/

更新: 2018年6月7日

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