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食に携わる注目の人物をインタビュー

料理を支える「和」の食材|Ristorante HONDA × OSADA FARM ~前編~

人気レストランとその料理を支える国産食材を紹介する連載「料理を支える『和』の食材」。第1回目は、2004年のオープン以降ミシュラン1つ星を10回獲得、『Ristorante HONDA』の本多哲也シェフにお話しを伺いました。シェフのこだわりの国産食材は、”オーダーメイドの地鶏”! シェフの出身地である神奈川県小田原の地鶏を、シェフ好みの鶏へ仕上げるまでの開発秘話と、その生産者である『OSADA FARM』の魅力に迫ります。

お肉も、野菜のように直接生産者とディスカッションして作りたかった

料理の肝となる食材選び。一流の料理人であれば、新鮮でベストなものを、さまざまな生産者を通して、手に入れているのではないでしょうか。ただ「鶏に関しては、国内ではなかなか理想のものに出会えなかった」とう本多シェフ。

そんなシェフのこだわりの国産鶏が、神奈川県内初の地鶏でもある「小田原地鶏」をオーダーメイドした“Hondaスペシャル”。生産者は、シェフの地元、小田原の知人を通して知り合ったという『OSADA FARM』の長田龍典さんです。

当初は、長田さんが以前に扱っていた馬肉を注文していたものの、顔を合わせたことはなかったといいます。その後、長田さんが地鶏を扱いはじめた試作段階で、本多さんが「美味しい、こんな鶏を作ってくれないのかな?」と興味をもったことから、”理想の鶏”へ向けた2人の二人三脚が始まりました。

鶏をオーダーメイドする――。野菜や果物では珍しくはありませんが、食肉に関してはあまり馴染みがない発想です。本多シェフも、初めての経験だったそう。「食材に関しては、あるものを探しに行って、それが今までですよね、でも、すごい手がかかったり、入手がなかなか難しかったり、海外のものがインフルエンザにかかったり、どんどん厳しくなって、鶏肉に関しても、野菜やフルーツのように、もっと身近に、自分たちが直接生産者と『こういうものが欲しいんですよね』とディスカッションすることができないかなと、そう思っていた矢先だったんです」と本多シェフ。しかし、理想の鶏が完成するまで、一筋縄ではいきませんでした。

旨みを生成するために、ミネラルを豊富に与える

本多さんが、求めた鶏は、身質が軟らかく、繊細で、歯ごたえがあり、味深いもの。まず、鶏肉があまり大きいと硬くなってしまうため、どんなに大きくても1.5kg、それくらいで味深いものにいしてほしいと、長田さんに伝えます。

「最初に調べたのは去勢。色々、日本でも九州のほうでやってる方がいたんですが、意外と復活してしまうし、採算性が合わない。それで、その前に出荷することにしました。精巣が発達する前の100日くらいで身が硬くなるので。100日を目安に仕上げるんです。あと、旨み成分を生成させるために、うちは仕上げの餌として海藻を使っているんですけど、その海藻を2週間前に与えて、出荷しました。ただ、これだとまだちょっと味が弱いということで、海藻を与えるのを40日、50日前まで引き上げていきました。最終的に出荷の2.5か月前、雛が生まれてから1か月目に海藻を、特にミネラル分を豊富に与えることによって、100日くらいで理想の鶏に仕上げることができたんです」と長田さん。

このように、採算面や飼育期間、餌のタイミングなど、さまざまな試行錯誤を経て、完成した”Hondaスペシャル”は、本多シェフの希望通り「身がしまっていて、軟らかく、味わい深い」仕上がりに。

雛の交配は、父親は軍鶏、母親は黄斑プリマロックの父とロードアイランドレッドの母をもつ雌鶏です。軍鶏というと独特の弾力があり、硬いイメージがありますが、”Hondaスペシャル”は硬すぎるということはなく、既存の軍鶏と比べ身質もとても繊細です。

競走馬を預かっていた経験を活かし、始めたオーダーメイドの地鶏

意外なことに『OSADA FARM』の事業は、昨年始まったばかり。長田さんは小田原で400年続いた農家のご出身です。高校を卒業後はおじいさまの農業を手伝っていたそう。その後は、自力で20,000坪もの敷地を借り、競走馬を預かる仕事をします。調教師の話を聞きながら、トレーニングを行ったり、餌やサプリメントを馬の状態にあわせて一頭一頭変えて与え、レースまでのコンディションを整える仕事です。競走馬の仕事のつながりから、馬肉を取り扱うようになり、続いて地鶏の飼育を始め主軸をそちらに移しました。

「そんなノウハウ、健康状態などによって餌を使いわけることができるっていうのが、一番の強みですよね」と本多シェフ。

現在、オーダーメイドの地鶏は、『Ristorante HONDA』以外からも注文があります。それぞれ受注元の希望に合わせ、飼育方法や餌、育成期間などを変え育てています。

後編では、『OSADA FARM』×『Ristorante HONDA』のオーダーメイド地鶏を使った料理と、強力なパートナーを得た本多シェフの今後の展望についてお伝えします。

Ristorante HONDAリストランテ ホンダ

Ristorante HONDA

住所:
東京都港区北青山2-12-35 1F
TEL:
03-5414-3723
営業時間:
12:00~13:30(L.O)、18:00~21:30(L.O)
定休日:
月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日火曜日)
URL:
http://www.ristorantehonda.jp/

更新: 2018年5月18日

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