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【番外編】シェフの必需品|恵比寿「GEM by moto(ジェム バイ モト)」千葉麻里絵 ~後編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材をご紹介していただくコーナー「シェフの必需品」。前回は恵比寿の「GEM by moto」の千葉麻里絵さんが日本酒を好きになったきっかけやお店づくりで意識していることなどを伺いました。そして、今回お聞きしたのは千葉さんにとっての“必需品”について。早速ご紹介していきます。

スパイス

スパイスは、お酒のアクセントや料理とのペアリングの際に欠かせない大切な必需品であると語ります。

「まず古酒に入れるスパイスは『アムチュール』。未熟な青いマンゴーを乾燥させて粉状にしたものです。枯れた酸味があるのでフレンチのペアリングの際に使いました。古酒はシナモンも良いですね。シナモンの香りってちょっと入ってるだけでも人が感じやすい香りなので、シナモンの香りでお酒をマスキングさせてあげて飲んでもらったり。濁り酒とかだと、まったりしているので山椒を少しいれると爽快感がアップします。あとは...熟成した甘いお酒にはブラックペッパーを入れて輪郭をつけてあげたりしています。他にもまだまだありますが、日本酒とスパイスにはまだまだ可能性があると感じていて、常に色々な組み合わせにチャレンジしています。」

千葉さんは20種類以上のスパイスを使用しているそうですが、もともと日本酒とスパイスを始めたきっかけは、とあるイベントで偶然組み合わせてみたのだとか。そんな偶然が生まれるのも、常に日本酒のことを考えているからこそ、インスピレーションが湧くのでしょうね。これから挑戦していきたいのは“辛味”とのこと。痛覚と味覚のタイムラグを上手く利用して表現していきたいとおっしゃっていました。

ノート・本

お次にご紹介してくださったのは、2010年から書き続けている「ノート」と、より良いものを提供するために必要な歴史や知識をインプットするための「本」。

「ノートは蔵に行ってからずっとつけているもので、これで3~4冊目になります。ノートに書いたことは忘れないために毎日確認しています。蔵に行く前は、去年の記録を見て“去年こういう造りしていたんだな”と思い出して、今年はあそこの部分どうなったんですかと聞いたりとか。1年前、2年前の自分が考えていることと比較することも大切に思っています。本は、まず『日本酒の来た道』。日本酒の歴史背景を書いていたりとか、ワインがこの時代に入ってきたからアロマを意識して日本酒も評価されるようになったとか、そうした歴史について詳しく書かれています。『ハーブ・スパイスの事典』は、組み合わせでハーブって効能・香りの感じ方が変わるのでそういった新しい発見を教えてくれます。新しいインプットだったり発見をしたいときに読む本です。飲食で新しいものが出てきた時って、一見新しそうにみえるんですけど、昔の文献と言っていることが同じだなっていう発見もあったりするので面白いです。」

常に知識を身に付けていくことを怠らない千葉さん。感覚的な美味しさだけでなく、科学的な説明や歴史的背景をしっかりと理解しているからこそ、新しい試みが思いつくのだと実感させられますね。

スズちろり

最後にご紹介してくださったのは、スズで作られた「ちろり」。新宿で働いていた頃から、長年使い続けているのだとか。

「お燗は温めるだけのお酒というイメージが強いと思うんですけど、湯煎の温度やスピード、ちろりの素材次第でだいぶ変わってくるんですよ。なのでお燗は調理で言うと、"肉の火入れ"のようなイメージです。熱く一気につけるとドライになって酸味が強くなる。でもゆっくりつけると甘みがでる。例えばあるお酒を52℃→48℃→50℃と変化をつけると、お燗に輪郭ができて美味しくなります。お肉も火の入れ方によって全く違う料理になりますよね。このちろりを使うとそんな風に自由自在に味を変えることができるんです。素材がアルミだと熱が入りすぎたりするので、このスズのちろりが最適なんですよ。」

調理をするように、お燗をつけているとは驚きです!お燗の付け方ひとつをとっても研究を重ねているからこそ、それぞれの日本酒を最高の状態で提供できるのだと感じます。

使命感を持って、次の世代に日本酒を残していたきたい

最後に今後の展望を伺いました。ひとつは日本酒を世界に広めていくこと、そして日本酒をサービスするという仕事の価値をあげることでした。

「日本酒を世界に広めていくために、まずは今まで取り組んだことのないスペインや中華などのジャンルとのコラボをしてみたいと思っています。それから海外進出。海外にお店を持って、日本酒を含めた日本の文化を持ち込みたいです。ただ、そこはきちんと相手の懐に入ることが大事。そのために日本だけではなくて海外の食文化だったり、プレゼン能力や英語力などを学んでいくつもりです。いいものを作ればいいという時代ではないと思うので、その土地に合わせて日本酒や日本文化を広げていきたいです。もう一つの展望としては、この仕事の価値をあげること。ソムリエさんは資格として認知をされていて、仕事が確立していますよね。でも日本酒って、利き酒の資格持ってますと言ったところで一般の方も持ってるし、待遇もあまり良くないことが多い。私がどこまでできるか分かりませんが、日本酒のプロとしてちゃんと世界に通用するジャンルを作ってあげられると、次の世代の子たちもそれに憧れて入ってくる。日本酒のソムリエをやっていたと言うとすごいね、と言われるような、憧れる職業のひとつの選択肢になりたいなと思います。」

繁栄し続けることがすごく大事だと熱く語ってくださった千葉さん。使命感を持って仕事をされている、そんな千葉さんの今後の活躍から目が離せません!

GEM by motoジェムバイモト

GEM by moto

住所:
東京都渋谷区恵比寿1-30-9
TEL:
03-6455-6988
営業時間:
火~金 17:00~24:00 土日祝13:00~21:00
定休日:
月曜日

更新: 2018年1月3日

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